Janne Da Arc『child vision~絵本の中の綺麗な魔女~』考察〜母は本当に被害者?白馬の騎士の正体を読み解く〜
先日仕事帰りに音楽をランダム再生していたら流れたこの曲。
もともと高校時代からジャンヌは好きだったのですが、改めて聞くといいなあと。
10代の頃に影響を受けた曲は、定期的に聞き返したくなります。
さて、そんなJanne Da ArcのChild vision-絵本の中の綺麗な魔女-ですが、この曲は歌詞が怖い曲として有名です。
https://sp.uta-net.com/song/20652/
詳しくは上のURLから歌詞を見て欲しいのですが、Child visionは児童虐待について、虐待される赤ん坊の視点から描かれています。
10代の時にこれを聴いた時はエグい曲を作るなあ位の印象だったのですが、改めて今聞くと、色々「読み解ける」ところがある気がしたので、今回の歌詞考察にしてみました。
魔女の正体を探る(前編)
「ねえママ、、、まだ帰ってこないの?」
こう始まるchild vision~絵本の中の綺麗な魔女~は赤ん坊(後にわかる)が母親の帰りを待つ場面から始まります。
そして続くAメロ後半で「あの人お部屋に入れないで」ときます。
「あの人」の正体は続く部分で「僕をあやすのが仕事」と出てくることから、家政婦さんやベビーシッターさんのようであることが分かります。
少し不穏では有りますが、ここだけでは全貌は分かりません。
状況がわかるのは続くBメロ。
〈僕が泣き叫んでいても知らん顔で面倒臭そうに 瞳を見開いて蹴り飛ばしタバコの火を足に押しつけて 目の前で笑っているのは絵本の中で見た綺麗な魔女?〉
この部分でこのお家で雇っている家政婦?ベビーシッター?が赤ん坊に虐待を加えていることが分かります。
そして続くサビでは「絵本に出てくる魔女」に例えてこのままだと家族がボロボロにされるよとお母さんに訴えかけます(著作権の都合があるので歌詞は割愛します)
家政婦?ベビーシッター?の本性を知ってこのままだと家庭が崩壊することを必死に「ママ」に訴える赤ん坊。
赤ん坊虐待の情報はわかりましたが、これだけではなぜ「家庭崩壊」に繋がるのかまでは分かりません。
更なる悲劇がわかるのは2番です。
魔女の正体を探る(後半)
〈ねえパパ、、、ママのいない時だけあの人となんでねんねしたりするの〉
2番のAメロがこう始まりまることで、1番に出てきた家政婦?ベビーシッター?がやがて夫と不倫関係になったことが分かります。
詳しい時系列はここからは読み取れませんが、可能性としては仕事で家にきた→不倫関係→幼児虐待が自然な様に思います。
ここにきて1番のサビにあった「家庭が崩壊してしまう」という意味も分かりました。
この子だけは一部始終を見ているので、何が起こっているのか分かるわけです。
そしてBメロを経て2番のサビに行くと、夫婦関係は末期に近づいています。
〈いつのまにかパパとママは喧嘩ばかりして 目の前で僕が流してる血にも気づかない 早くしなきゃお姫様は殺されちゃうんだよ?〉
夫婦関係がここまで悪化しているのは、父の不倫が分かったからと考えるのが妥当でしょう。
そして、子どもの窮地にも気づかないくらいの夫婦喧嘩を続ける。
ここでいう「殺されてしまうお姫様」は可能性は色々考えられますが、とりあえずは1番意味が通りやすい主人公としておきましょう。
2番では重傷の子供を放って喧嘩が始まってしまいました。
ここでギターソロが入り、曲は最後のサビに向かいます。
最後のサビでは「魔女」の悪事は全て暴かれ、その女は逮捕され警察に連れてゆかれます。
〈綺麗な魔女物語は現実の無言劇と化して、、、手錠をかけられてあの人は連れてゆかれた〉
歌はこれでハッピーエンド。
child vision~絵本の中の綺麗な魔女~の最後は次のように締められます。
〈"お姫様は白馬の騎士の騎士のキスで目を覚ます、、、"ねえママ、、、大丈夫 僕が助けてあげるから〉
これで魔女に殺されそうになっていたお姫様(おそらくママでしょう)は救われました。
この様に終わるchild vision~絵本の中の綺麗な魔女~。
僕はこの曲を今まで赤ん坊が母親の幸せを願う歌だと思っていました。
でも、今回改めて聞いた時、「おや待てよ」と思うことがあったのです。
それが続きの考察です。
王子様も「悪者」である可能性のシナリオ
僕が違和感を覚えたのは、現状を打破するためにキスをしてお姫様を目覚めさせた「白馬の騎士」とこれからは僕が守ると言った「赤ん坊」が同一人物であるとしたらストーリーが成り立たないのでは?というところ。
家政婦?ベビーシッター?による不倫や虐待は現時点の問題です。
それはこの歌詞を見る限り、たしかにこの歌詞の進む最中に解決されている。
一方で、この歌の主人公である赤ん坊の「僕」は間違いなく四つん這いで口も聞かないような幼子です。
そんな子どもが不倫や児童虐待を暴く「白馬の騎士」にはなり得ないんですよね。
とすると、「ママ」にとっての「白馬の騎士」は他にいることになる。
こう考えた時、僕の中でこの歌のもう一つの仮説が浮かび上がりゾッとしました。
冷静にこの歌詞の登場人物を列挙していくと、主人公である「僕」、僕の母と父、そして父の不倫相手で僕に虐待をしている家政婦?ベビーシッター?の4人です。
どう考えてもここに現状を打破してくれる「白馬の騎士」はいないんですよね。
ということは新たな5人目の登場人物を想定する必要が出てきます。
その人は「ママ」の見方で、「パパ」の不倫相手の女の児童虐待を告発していざこざを解決に導いてくれる。。
そして「お姫様」に「キス」をして(目の前にある悪夢から)「目を覚ま」させてくれる...
これらの情報を積み上げたとき、僕にはこの「白馬の騎士」がママの不倫相手にしか思えませんでした。
僕が思う子の曲のコンセプトをまとめると夫の不倫の仕返しに自分も不倫した女の話」です。
しかもその上でどちらも不倫だけれども、自分を助けてくれた母方の不倫相手に好意は抱きつつ、根っこの部分ではママの不倫相手も信頼し切っていないからこそ、「僕が助ける」と決意する赤ん坊。
ジャンヌダルクさんの「child vision~絵本の中の綺麗な魔女~は」こんな歌なんじゃないかというのが僕の仮説です。
皆さんはどう聞きましたか?
アイキャッチはchild vision~絵本の中の綺麗な魔女~が入ったアルバムD・N・A