9月から逆転内定の就活術③〜面接が上手くなる「戦闘会話力」を身につけよう〜
前のエントリ(9月から逆転内定への道②〜面接が盛り上がらない理由と解決策〜 - 新・薄口コラム(@Nuts_aki))では、面接とはそもそも何を求められているものなのか?というゲームのルールについて説明しました。
ざっと振り返るなら、「面接のゴールは短時間で君と一緒に仕事がしたいと思わせること」、そしてそのための手段は「信頼を積み上げること」というものでした。
今回は、信頼を積み上げるための面接準備の実践編ということでまとめていきたいと思います。
内容の前に「戦闘会話力」を身につけよう
さて、早速自己PRや志望理由のテクニックを、、と思ったかたもいるかもしれませんが、ちょっと待って下さい。
例えばスポーツを始めていきなり大技を学ぼうとしても意味がないように、面接においても「内容」以前に身につけておかなければならないことがあります。
それが「戦闘会話力」です。
「戦闘会話力」というのは僕の造語なのですが、僕たちは日常生活の中で、実は2種類のコミュニケーションを行なっています。
ひとつは友達や家族、恋人やサークルメンバーといった、いわゆる「仲間内」でのコミュニケーションです。
このコミュニケーションは一回限りのものではなく、長期的に関係性が継続することを前提に行われます。
一方もうひとつには、初対面の人や年の離れた人と行う一過性のコミュニケーションがあります。
ここでは、基本的にその場限りのやりとりであることが前提となります。
僕はこの二つのやりとりをそれぞれ、「協調会話力」と「戦闘会話力」と呼んでいます。
自分でコミュニケーションが得意と思っている人がいる場合、案外得意なのは協調会話力の方だけで、戦闘会話力は低かったりする人が少なありません。
一方で就活で必要になるのは戦闘会話力の方。
(因みに社会に出た後はその両方が一定水準で必要となります)
今まで面接を何度も受けて上手くいかなかったという人がいるならば(自分ではコミュニケーション力が高いと思っていた人なら特に!)、おそらくこの戦闘会話力がまだまだ鍛えられていないというのも大きな原因の一つでしょう。
したがって内容面の前に、戦闘会話力の向上を日々意識することが大事になってくるわけです。
「天気の話」で盛り上がれますか?
「今日はいい天気ですねぇ。」
「ええ、本当に。」
「最近は少しだけ温度も下がってきてくれて。」
みなさんはこんな話題から始まるおじいちゃんおばあちゃんの会話を聞いて、何面白くない会話をしているんだろうと思ったことはありませんか?
そう思った人は戦闘会話力がまだまだ低いかもしれません。
「天気の話」は、先に僕が書いた協調会話力においては最も価値が小さな話題のひとつである一方、戦闘会話力の中ではかなり使い勝手のいい話題です。
例えば毎日会っていて、話の話題も相互のキャラクターも熟知していて、何なら経験も共有している人たちにとっては、「天気の話」なんて話題のきっかけいらないですよね。
そんなもの無くても「あんなー、聞いて」で受け入れて貰える。
初対面の場合はそうはいきません。
まずはお互いを知り、共有空間を作り出す作業から始めるのがコミュニケーションになる。
そのきっかけづくりの話題として必要な条件は、①誰もが反応できて、②誰もが経験していること。
その意味で戦闘会話力の分野では「天気の話」は非常にコスパがよいのです。
いきなり「あつし(彼氏)がホンマうざいねん」とか言われても、最近上手くいっていないことが共有されている仲間内からいきなり共感から入れますが、初対面の人だと「あつしって誰やねん!?」ってなってしまいます(笑)
こうならないために対外的な人と話す際に使うのが戦闘会話力。
戦闘会話力は次の3つで構成されています。
①共通点を探る力
②情報開示
③相手への関心
3つのスキルを協調会話力と比べながら見ていきましょう。
第一のスキル「共通点を探る力」
まず、①の共通点を探る力というのは、初対面の人と話題のきっかけを作るために、相手と自分に共通する話題がないかを探る力です。
「どこの学校出身?」とか「何部だった?」とか「何学部?」とか。
入学式の日にこんな会話をした覚えはありませんか?
こういった話のきっかけを探る力が①で、これは協調会話力でも必要な力ではあるのですが、協調会話力では今後の関係性づくりのきっかけとして行うのに対して、戦闘会話力においては、全ての基本動作として使う点が異なります。
協調会話力の中で①は、きっかけさえ作ってしまえば役を終えるため、非常に面倒でエネルギー消費が激しいけれど、今後のために必要な投資という位置付けです。
それに対して戦闘会話力の文脈では基本の所作になる。
実は協調会話力が既にある程度身についている人はできない訳ではないスキルなので、あとは共通点を探るやりとりを意識的に練習し、苦が無くできるように訓練すればいいわけです。
第二のスキル「情報開示」
②の情報開示というのは、自分というキャラクターをわかりやすく相手に伝える能力です。
実はサークルや仲間などの内輪ノリが得意な人はここが一番苦手な場合が多いです。
なぜなら、そういった協調会話力で戦えるコミュニティにおいては、すでに自分のキャラクターが認知されている場合がほとんどだからです。
友達同士の場合、どこでどんなことを言うのか、どういう性格なのかという情報が既に共有されていますが、初対面の場合はそうはいきません。
まずは自分の「らしさ」を知ってもらうことから始めなければいけません。
そのために必要なのが⑴自分のキャラクターを言語化して自覚しておくことと、⑵そのキャラクターに基づいて会話に若干のデフォルメをすることです。
例えば自分ならどういう話題を振られたらどんな反応をするのだろうというのを書き出したり、自分が頑張った時や大笑いした時の理由を書き出したりして、共通点を見つけてみる。
これが⑴の作業です。
また、それが分かったら会話の中で意識的に「らしさ」が出そうな部分は協調し、「らしくない」部分では一歩引いてみるというようなことをしてみるのが⑵です。
こうして自分はどういう扱い方をすればいいのかという取扱説明書を提示するのが情報開示です。
第三のスキル「相手への関心」
最後に③について。
③は相手の話題や相手自身に対してどれだけ興味を持てるかというもの。
これも苦手な学生さんが多い印象です。
以前学生さんの悩み相談に乗っていたら、「志望度合いが高くないから興味が持てない」といわれ、「ん?」と思ったことがありました。
「興味を持つ」ことは相手由来のことじゃ無くて自分のスキルの問題だよ、と。
「好きだから興味を持つ」は協調会話力の世界では必要なスキルの一つですが、戦闘会話力の世界では「興味を持つ」は自分で意識的に使いこなすことが必要なスキルです。
極端な話、居酒屋で飲んだくれてマウントを取ってくるオッサンに対しても自分で興味を持とうと決めたらどんどん観察・質問・掘り下げができるのがこのスキルです。
戦闘会話力を磨きつつ面接準備を進めよう
以上が僕が考える戦闘会話力です。
いわゆる大学でコミュニケーション能力をウリにしている学生さんがいう「コミュニケーション能力」とは少し違いませんでしたか?
もちろん仲間同士で盛り上がるスキルは必要です。(特にこれがないが故に会社に入ったあと、能力はあってもうまくいかないと悩む人も...)
しかし、殊就活においてはそれだけでは突破できません。
戦闘会話力は就活以外にもあらゆる場面で役に立つコミュニケーション手法です。
今、何かしら就活で苦戦をしていると思う方がいたら、日頃のコミュニケーションから、「戦闘会話力」というものを意識してみてください。
アイキャッチは「人は聞き方が9割」