新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



松尾芭蕉『奥の細道』を徹底解説!定期テストに役立つ重要ポイント

松尾芭蕉(まつおばしょう)は、江戸時代の俳諧師で、日本の文学史に大きな影響を与えた人物です。彼の代表作『奥の細道』は、日本各地を旅しながら詠んだ俳句と、その旅の様子を記した紀行文です。中学校の国語の授業や定期テストでも取り上げられることが多いこの作品について、重要なポイントを解説します。

奥の細道』の背景

奥の細道』は、元禄2年(1689年)に芭蕉が弟子の曽良(そら)とともに旅をした記録です。この旅は、江戸を出発して東北地方や北陸地方を巡り、大垣(現在の岐阜県)に至るまでの約2400kmに及びます。

この作品は、芭蕉が旅先での風景や出会いを詠んだ俳句を中心に構成されていますが、単なる旅行記ではなく、「自然と人間の調和」や「人生の無常」を深く考えさせる文学作品として評価されています。

奥の細道』の特徴

俳句と紀行文の融合『奥の細道』は俳句と文章が一体となった作品です。旅先での景色や感動を俳句で表現し、それを補足する形で文章が綴られています。この形式は、芭蕉独自のスタイルとして広く知られています。

無常観(むじょうかん)の表現芭蕉は、『奥の細道』の中で、時の流れや自然の変化に対する無常観をしばしば表現しています。これは、仏教的な思想に基づいたもので、日本人の感性に深く響くテーマです。

旅の目的芭蕉の旅の目的は、単なる観光ではなく、「詩的な心を養うこと」や「古人(こじん)の足跡をたどること」にありました。これが作品全体に高い文学性を与えています。

有名な俳句とその意味

奥の細道』には多くの名句が登場します。定期テストで出題されやすい俳句をいくつか挙げ、その意味を解説します。

1. 夏草や 兵どもが 夢の跡

この俳句は、平泉(現在の岩手県)で詠まれたものです。かつての奥州藤原氏の栄華が滅びた後の平泉の荒れた姿を見て、過ぎ去った時代の無常を感じた芭蕉の心情が表れています。

2. 五月雨を 集めて早し 最上川

山形県最上川を見て詠んだ句です。五月雨(さみだれ:旧暦5月の長雨)が川に流れ込み、勢いよく流れていく様子をダイナミックに表現しています。この句からは自然の力強さを感じ取ることができます。

3. 荒海や 佐渡によこたふ 天の川

新潟県の海岸で詠んだ句です。荒れた海の向こうに佐渡島が見え、その上には天の川が横たわる光景を詩的に描いています。広大な自然に対する畏敬の念が感じられます。

テストで押さえるべきポイント

奥の細道』の旅の目的芭蕉が旅をした目的や、その背景を理解しておくことが重要です。「詩的な心を養うこと」や「古人の足跡をたどる」という目的を覚えておきましょう。

有名な俳句の意味テストでは俳句の解釈が出題されることがあります。それぞれの句が詠まれた場所や背景、芭蕉の心情をしっかり押さえましょう。

無常観の理解『奥の細道』全体に流れる無常観を理解することで、作品のテーマを深く掴むことができます。芭蕉が自然や歴史の中で何を感じたのか考えてみましょう。

まとめ

奥の細道』は、芭蕉が自然や人々との触れ合いを通して深めた思想や感性が詰まった作品です。定期テストでは、有名な俳句の意味や、作品全体のテーマが問われることが多いので、しっかり復習しておきましょう。この作品を学ぶことで、日本の伝統文化や俳句の美しさをより深く理解することができます。

定期テスト直前!『走れメロス』の重要ポイントをわかりやすく解説

太宰治(だざいおさむ)の『走れメロス』は、中学校の国語の教科書でも取り上げられることが多い名作です。この作品は友情や信頼の大切さをテーマにしながら、人間の弱さと強さを描いた物語です。今回は、中学生が定期テストで役立つように、『走れメロス』のあらすじやテーマ、重要ポイントを解説します。

あらすじ

メロスはシラクスという国に住む正義感の強い青年です。この国の王であるディオニスは、他人を信じることができず、冷酷な独裁者として恐れられていました。

ある日、メロスは友人セリヌンティウスのもとへ行く途中、王の悪政を目の当たりにし激怒します。そして王に「お前のやり方は間違っている」と訴えますが、捕らえられてしまいます。

メロスは処刑されることになりますが、「自分の妹の結婚式に出席するため、3日だけ猶予をほしい。その代わり、親友のセリヌンティウスを人質として置いていく」と申し出ます。王は「約束の時間までに戻らなければ、人質のセリヌンティウスを処刑する」と宣告します。

メロスは妹の結婚式を終え、急いで戻ろうとしますが、道中でさまざまな困難に直面します。大雨や強盗に遭い、一時は絶望しかけますが、彼は「自分を信じてくれたセリヌンティウスを裏切るわけにはいかない」と決意し、全力で走り続けます。

ギリギリのところでシラクスに戻ったメロスを見て、王ディオニスは「人間を信じる気持ち」を取り戻し、処刑を取りやめます。メロスとセリヌンティウスの友情が勝利した瞬間でした。

主なテーマとメッセージ

走れメロス』には、いくつか重要なテーマが含まれています。

友情と信頼メロスとセリヌンティウスの間の友情は、この物語の中心です。他人を信じることの大切さや、その信頼を裏切らない行動の尊さが描かれています。

人間の弱さと強さメロスは途中で「もう無理だ」と諦めかけますが、最終的にはその弱さを乗り越え、使命を全うします。この姿から、誰しもが弱さを抱えながらも、それを乗り越える強さを持つ可能性があることが示されています。

信じる力の復活ディオニス王が冷酷だった理由は、他人を信じられなかったからです。しかし、メロスたちの行動によって、彼の心が変化し、人間を信じることの価値を再発見します。

登場人物の特徴

メロス正義感が強く、信頼を重んじる青年。さまざまな困難を乗り越え、友情と信頼を守り抜きます。

セリヌンティウスメロスの親友で、人質として捕らえられる人物。メロスを信じ続け、最後までその友情を裏切りません。

ディオニス王冷酷な独裁者として登場しますが、メロスとセリヌンティウスの姿を見て、他人を信じる心を取り戻します。

テストで押さえるべきポイント

タイトルの意味「走れメロス」というタイトルは、メロスの行動そのものを象徴しています。彼が走る理由や背景を理解しておくことが重要です。

メロスの葛藤と成長途中で挫けそうになりながらも、最後には自分の弱さを乗り越えるメロスの姿は、物語のクライマックスです。この変化を具体的に説明できるようにしましょう。

ディオニス王の心の変化冷酷だったディオニスが、最後には人間を信じるようになる過程は物語の大きなメッセージです。この変化を理解しておくと、テストで役立ちます。

友情の価値セリヌンティウスが命を賭けてメロスを信じたことが、全体のテーマである「友情と信頼」を象徴しています。この点を具体的に書けるようにしましょう。

まとめ

走れメロス』は、友情や信頼、人間の成長を描いた感動的な物語です。メロスの行動やディオニス王の心の変化をしっかり押さえることで、テスト対策にも役立つでしょう。この作品を通して、人と人のつながりの大切さを考えるきっかけにしてみてください。

魯迅『故郷』の簡単思考&テーマ解説:中学生向け完全ガイド

魯迅『故郷』のあらすじとポイント:中学生向け解説

魯迅(ろじん)は、中国近代文学を代表する作家で、『故郷』は彼の有名な短編小説の一つです。この作品は、中国の伝統的な農村とそこで暮らす人々の変化を描きながら、社会の問題や人間関係の変化を考えさせる内容となっています。ここでは、中学生の定期テストに役立つよう、『故郷』のあらすじやテーマ、ポイントを解説します。

あらすじ

主人公である「私」は、故郷を離れて十数年が経ち、母と一緒に引っ越すため故郷を訪れます。しかし、そこはかつての故郷ではなく、貧困や荒廃が進んでいました。

「私」は幼い頃、同じ村に住んでいた閏土(じゅんど)という少年と親しく遊んだことを思い出します。閏土は、勇敢で物知りで、「海辺で鳥を捕まえる話」などを語る魅力的な人物でした。当時の「私」にとって閏土は憧れの存在でした。しかし、大人になった閏土と再会すると、彼はすっかり変わり果て、貧しさや苦労に疲れた姿になっています。

二人は再会の喜びを感じつつも、昔のように親しく話すことはできません。閏土は、村の貧しさや生活の厳しさについて語り、「私」もそんな現実に心を痛めます。

最終的に、「私」は故郷を離れることになりますが、心の中で「新しい人生を始めるためには過去を断ち切る必要がある」と考え、未来に希望を託します。

主なテーマとメッセージ

『故郷』には、以下のようなテーマが込められています:

人間関係の変化幼い頃には親しかった友人が、大人になると違う立場や価値観を持つようになる現実を描いています。「私」と閏土の関係の変化は、成長や社会の影響を反映しています。

貧困と社会の現実魯迅は、中国の農村が抱える貧困や不平等を描き、社会の問題を強く訴えています。閏土の姿は、この現実の象徴です。

未来への希望過去の悲しさや現実の厳しさに直面しながらも、「私」が新しい人生に向けて一歩を踏み出そうとする姿勢は、希望の象徴として読者に勇気を与えます。

登場人物の特徴

「私」(主人公)都会での生活を経て故郷に戻った人物。過去の思い出と現実のギャップに苦しみつつも、未来に希望を見いだそうとします。

閏土(ルントウ)幼い頃の「私」の友人。貧しさに苦しみ、かつての活気や明るさを失っていますが、昔の友情を大切に思う心があります。

母優しい母親で、「私」とともに引っ越しを準備する人物。家庭を守る存在として描かれています。

ヤンおばさん近所の人で、世間話や生活の様子を語る役割を持っています。故郷の生活を具体的に感じさせるキャラクターです。

テストで押さえるべきポイント

「故郷」の意味作品のタイトルである「故郷」は、単に「生まれ育った場所」を意味するだけでなく、記憶や感情、そして現実とのギャップを象徴しています。この点を意識しておきましょう。

閏土の象徴性閏土は、農村での生活の厳しさや、中国の農民が置かれた立場を象徴するキャラクターです。彼の変化を具体的に説明できるようにしておくと良いでしょう。

未来への希望の描写物語のラストで「私」が未来への希望を抱くシーンは重要です。過去と決別し、新しい道を歩む決意は、魯迅のメッセージの一つといえます。

時代背景の理解『故郷』は、中国の農村が大きく変化していく時代に書かれました。農村と都市の格差や、社会の貧困問題を背景にした作品であることを理解しておくと、深く内容を掴めます。

まとめ

『故郷』は、魯迅が中国の社会問題を鋭く描いた名作です。単なる懐かしさだけでなく、変わりゆく人間関係や社会の現実に向き合い、新しい未来を考えるきっかけを与えてくれる作品です。定期テストでは、登場人物の変化やテーマの深読みが問われることが多いので、しっかり押さえておきましょう。この作品を通して、皆さんも「故郷」とは何かを考えるきっかけにしてみてください。

年末のストレスを解消しつつ、新年をスッキリ迎えるための秘訣

年末は忙しい時期です。仕事の締め切りや大掃除、年末年始の準備が重なり、ストレスが溜まりやすくなります。しかし、このタイミングをうまく活用することで、新年を清々しい気持ちで迎えることができます。今回は「年末大掃除の方法」「断捨離コツ」「正月太り解消法」「年末年始ジム空いている」「年末ストレス解消法」という5つのテーマを中心に、読者の皆さんに役立つ情報をお届けします。

 

1. 年末大掃除の方法

年末の大掃除は、一年の汚れを落として新しい気持ちで新年を迎える大切なイベントです。しかし、いざ始めるとどこから手をつけていいかわからなくなりがち。そこで効率よく進めるためのコツをいくつかご紹介します。

エリアを決めて計画的に進める部屋ごとに掃除するエリアを分け、一日一箇所ずつ取り組むと負担が軽減されます。

掃除の順序は「上から下へ」天井や高い棚のほこりを落とした後、床を掃除するのが基本です。これにより掃除の二度手間を防げます。

便利な掃除アイテムを活用重曹クエン酸を使うと、台所や浴室の頑固な汚れもスッキリ落ちます。また、使い捨ての雑巾やウェットシートを使うことで、掃除後の片付けも簡単に。

家族全員で役割分担家族みんなで手分けして掃除をすれば、時間短縮につながります。子どもにも簡単な作業をお願いしてみてください。

 

2. 断捨離コツ

掃除を始める前に、断捨離をして不要なものを減らしておくと、掃除が格段に楽になります。断捨離をスムーズに進めるコツをご紹介します。

「一年使わなかったもの」を基準に過去一年間に使わなかったものは、この先も使わない可能性が高いです。迷ったら思い切って手放しましょう。

カテゴリーごとに仕分ける洋服、本、食器など、アイテムをカテゴリーごとにまとめて見直すと判断がしやすくなります。

「ときめき」基準で判断するその物を見たときや触れたときに気持ちが明るくなるかを基準にすると、自分に本当に必要なものが見えてきます。

寄付やリサイクルを活用まだ使えるものは、リサイクルショップや寄付を活用することで無駄を減らし、環境にも優しい行動が取れます。

 

3. 正月太り解消法

年末年始はつい食べ過ぎてしまい、体重が気になる時期でもあります。そこで、正月太りを防ぐためのポイントを押さえておきましょう。

食べる順番を工夫する野菜やスープを最初に食べることで満腹感を得やすくし、食べ過ぎを防ぎます。

アルコールとおつまみに注意お酒を飲むときは、糖質や脂質が少ないおつまみを選びましょう。例えば、ナッツやチーズは適量ならおすすめです。

隙間時間で軽い運動をテレビを見ながらストレッチやスクワットをするだけでも、代謝が上がりやすくなります。

おせち料理をアレンジカロリーが高いおせち料理は、ヘルシーなアレンジを加えることで健康的に楽しめます。例えば、煮物を油少なめで作るなど。

 

4. 年末年始ジム空いている

年末年始にジムが休業していることも多いですが、一部の施設は特別営業している場合があります。以下のような対策を考えると良いでしょう。

近隣のジムを調べる事前に「年末年始 ジム 空いている」で検索し、営業日や時間を確認しておきましょう。

オンラインフィットネスを活用ジムが閉まっていても、自宅でできるオンラインフィットネスプログラムを利用すれば継続的に運動できます。

ランニングやウォーキング特別な器具がなくても、外で軽く体を動かすだけでリフレッシュ効果があります。

 

5. 年末ストレス解消法

最後に、忙しい年末を乗り切るためのストレス解消法をご紹介します。

時間管理を徹底するタスクを細かく分けてスケジュールに組み込むことで、やるべきことが明確になり、無駄な時間を減らせます。

リラックスできる時間を確保するアロマや入浴剤を使ってゆっくりお風呂に入ることで、体も心もリラックスします。

適度な運動で気分転換ヨガや軽いジョギングなど、体を動かすことでストレスホルモンが減少し、気持ちが軽くなります。

好きなことを楽しむ好きな音楽を聴く、趣味に没頭するなど、自分が楽しいと思える時間を作りましょう。

 

おわりに

年末は忙しさとともにストレスも溜まりやすい時期ですが、上記の方法を取り入れることで効率よくタスクをこなし、気持ちよく新年を迎えることができます。ぜひ、年末の大掃除や断捨離を進めつつ、健康やストレスケアにも目を向けてください。来年がさらに素晴らしい年になるよう、今から準備を始めましょう!

嵐『Love so sweet』プチ考察〜「いとしのエリー」の引用から歌詞の意味を掘り下げる〜

数多くある嵐のヒット曲の中でも一段と人気が高い『Love so sweet』。
イントロが流れた瞬間にこの曲だとわかる人は少なくないのではないでしょうか。
そんな国民的人気を誇る『Love so sweet』ですが、歌詞を見ていくとある曲との共通点に気がつきます。
それはサザンオールスターズの『いとしのエリー』です。
いとしのエリーに出てくる〈これで最後のlady〉〈笑ってもっとbaby〉という歌詞はLove so sweetの〈笑ってもっと最後のlady〉に重なります。
また〈エリー My love so sweet〉と〈信じることが全てLove So Sweet〉というそれぞれのサビの終わりに出てくる「Love so sweet」という他にない言い回しからも、意図的に引用をしているのでしょう。
和歌の技法に昔の歌の一節を引用して広がりを持たせる本歌取りがあるのですが、Love so sweetはまさにそれが使われているように思います。
Love so sweetには、主題歌となったドラマに重なるように離れたところにいる二人の恋模様が描かれているわけですが、そんな二人が信じているのはいつか結ばれる姿です。
一方いとしのエリーに描かれるのは紆余曲折を経て結ばれた二人の姿。
まさにLove so sweetの中の二人が最終的に思い描いている終着点と言えるでしょう。
今は離れ離れだけどお互いを思い続けている。
この曲の中ではそんな二人の姿を描き、いとしのエリーのフレーズを引用することでそれとなく二人の恋が成就することをほのめかしている。
Love so sweetにはそんな遊び心があるように思います。
余計な掘り下げなんかしなくとも十分に名曲なのに、じっくり味わうことで違った楽しみ方ができる。
まさに国民的アイドルの嵐だからこその名曲と言えるでしょう。

 

アイキャッチはもちろんLove so sweet

Love so sweet (通常盤)

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中学生を悩ます「扇の的」のあらすじを10分で理解する。

中学二年生の定期テストで登場する平家物語の「扇の的」。

テスト勉強が大変だということを毎年耳にします。

扇の的がの勉強が難しく感じる最大の理由の一つは、あらすじをつかめていないという点にあります。

そこで、今回は1000字程度にあらすじをまとめてみました。

また今回のあらすじは国語に苦手意識を持っている人の苦手意識の解消を目的の一つにしています。

そこで、つまずきそうな熟語に関してはできるだけ読み仮名をふるようにしました。

少しでもテスト勉強の役に立ったら幸いです。

 

時は二月十八日の午後六時(酉の刻(とりのこく))頃で、その時ちょうど北風が激しく吹き、磯(いそ)に打ち寄せる波も高かった。
船は大きく揺(ゆ)れ動き、扇も串に定まらず、ひらひらと揺れている。
沖合には平家が船をずらりと並べて見物し、岸には源氏が馬を並べてこれを見ている。
どちらもみな、心から晴れやかに見物していた。

那須与一(なすのよいち)は目を閉じて、心の中で祈った。
「南無八幡大菩薩(なむはちまんだいぼさつ)さま、我が国の神様、日光の権現(ごんげん)、宇都宮、那須の湯泉大明神(ゆぜんだいみょうじん)、どうかあの扇の真ん中を射させてください。
もしこれを射損じるようなことがあれば、弓を切り折り、自害して、二度と人に顔向けすることはできません。
どうか、もう一度故郷に帰ることを叶(かな)えようとお考えならば、この矢を外れさせないでください。」

祈りを終え目を開くと、風が少しおさまり、扇も狙(ねら)いやすい状態になっていた。
与一は、かぶら矢を取って弓にかけ、ぐっと引きしぼり、「ひゅうっ」と放った。
与一は小柄(こがら)だったが、その弓は十二束(約90センチ)三伏(みつぶせ)(指三本分を重ねて12回分の長さ)もの長さに強く引き絞られ、浦中(うらじゅう)が響くほどの音を立てて飛び、見事に扇の要の際にぴったりと命中した。
かぶら矢は海に入ると、扇は空へ舞い上がり、しばらくは空中でひらひらと揺れたが、やがて春風に揉(も)まれ、海へさっと散っていった。

夕日が輝く中、紅(くれない)の扇が波間(なみま)に漂い、浮いたり沈んだり揺れている様子を、沖の平家は船べりを叩いて感じ入り、岸の源氏は矢筒を叩いてどよめいた。
あまりの美しさと感動に堪(た)えきれなかったのか、平家の舟の中から五十歳ほどの男が黒い革の鎧(よろい)をまとい、白柄(しらえ)の長刀(ながなた)を持ち、扇を掲(かか)げた場所に立って舞い始めた。

伊勢三郎義盛(いせのさぶろうよしもり)が与一の後ろに歩み寄り、
「お命じである、射よ」
と言ったので、与一は今度は中差(なかざし)(脇差の短い刀)を取り、矢を引き絞り、その男の首の骨を「ひゅうっ」と射抜いて、逆さまに船底へと突き倒した。
平家の方は静まり返り、源氏の方はまた矢筒を叩いてどよめいた。
「見事、射た!」という者もあれば、「情けない(容赦ない)」と言う者もいた。

 

 

平家物語「扇の的」試験10分前でも得点が上がるポイント7つを解説してみた!

中学2年生で国語が苦手という子が悩むのがこの扇の的。

そもそも慣れない古文である上に言い回しが難しく、それだけで苦手意識を覚える人もいるのではないでしょうか。

もちろん長くて大変な所ではあるのですが、一方でよく聞かれるポイントも存在します。

今回はそうした知識や直前に確認すれば解けるような重要箇所を7つにまとめてみました。

また、単なる暗記では対応できない問題にして出題されることも想定して、覚え方や応用が効くような解説を載せてあります。

よかったら直前のテスト勉強に役立てて下さい。

 

ポイント①「酉の刻」が何時かを覚えておく

 

干支を用いた刻限の数え方では子(ねずみ)を0時として以下2時間ごとに時間が割り当てられています。

ちなみに、12時を正午と呼ぶのはここからです。

そのため10番目にくる酉の刻は18時(午後6時)ごろということになります。

ちなみに丸暗記を嫌う先生が応用した違う時間を聞いてくる可能性もあるので、上で述べた出し方に加えて干支の順番も覚えておくと良いでしょう。

 

〈干支の順番〉

子(ね)、丑(うし)、寅(とら)、卯(う)、辰(たつ)、巳(み)、午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(い)

※ちなみに今年(2024年)は辰年です。

 

ポイント②助詞を補う問題

 

古文では主語や助詞(「を」とか「ば」とか)が省略されがちです。

扇の的では冒頭がその知識を問うのに適していて、「 北風激しくて、磯(いそ)打つ波も高かりけり。」の部分でそれを答えさせる問題をよく見かけます。

そのため、この問題がでてきたら「北風【が】激しくて、磯【を】打つ波も高かりけり」と補えるようにしておきましょう。

 

ポイント③対句になっている3箇所を押さえておく

 

テンポよく書かれた扇の的には対句表現が多く出てきます。

この場面では次の3箇所に出ていて、問いやすい内容となるのでこの3箇所が対句であることをおさえておきましょう。

 

沖には平家、舟を一面に並べて見物す。
陸には源氏、くつばみを並べてこれを見る。

 

かぶらは海に入りければ、扇は空へぞ上がりける。

 

沖には平家、ふなばたを叩いて感じたり。陸には源氏、えびらを叩いてどよめきけり。

 

ちなみに対句とは、「春は花、秋は月」「強い者はよく耐え、弱い者はすぐにくじける」のように文章や詩の中で、意味や形式が対照的な言葉や表現を並べて使う修辞技法のことを指します。

 

ポイント④二重否定をしっかり現代語訳で理解する

 

いづれいづれも晴れならずといふ事ぞなき。」というところで、「晴れならず(晴れがましくない)」と「事ぞなき(事がない)」と否定を被せる表現が出てきます。

ここは「晴れがましくないことはない=みなが晴れがましい様子である」という意味であることを押さえておきましょう。

 

ポイント⑤係り結びになっている5箇所を押さえる

 

古文では文中に「ぞ」「なむ」「や」「か」「こそ」がある場合文末の形が変化する係り結びの法則というものがあります。

扇の的ではこれが多用され、よくテストで聞かれるので次の5箇所が係り結びになっていることを押さえておきましょう。

 

  • いづれいづれも晴れならずといふ事【ぞ】【なき】。
  • 扇も射よげに【ぞ】なつたり【ける】。
  • ひいふつと【ぞ】射切つ【たる】。
  • 扇は空へ【ぞ】上がり【ける】。
  • 海へさつと【ぞ】散つたり【ける】。

 

ポイント⑥文章に出てくる効果音の描写4つを把握する

 

この作品では臨場感を出すために弓の音など効果音が何ヶ所かに出てきます。

毎年定期テストではその効果音を問う問題を見かけるので以下の4箇所を押さえておきましょう。

 

  • かぶらを取つてつがひ、よつぴいて【ひやうど】放つ。
  • 扇の要際一寸ばかり置いて、【ひいふつ】とぞ射切つたる。
  • 海へ【さつ】とぞ散つたりける。
  • しや頸(くび)の骨を【ひやうふつ】と射て、舟底へ逆さまに射倒す。

 

また、ここは過不足なく抜き出すことを求められることもよくあります。

「と」を含めてしまったり、「よつぴいて」を入れてしまわないように注意しましょう。

 

ポイント⑦敵方の男が踊った理由を押さえよう

 

最終場面で敵方(平家側)の人間が船の上に出てきて踊るのですが、国語が苦手な子だとここが敵方であることと、踊った理由が把握できていないことがあります。

この場所では与一が風も強く距離もあるなか、鏑矢(打ちづらい矢)で扇を射るという非常に難易度が高いことをしたことに対して褒める意味で敵方の人間が舞を披露したという事を確認しておきましょう。

 

アイキャッチはこの時代をテーマにしたマンガ、遮那王義経