中学2年生で国語が苦手という子が悩むのがこの扇の的。
そもそも慣れない古文である上に言い回しが難しく、それだけで苦手意識を覚える人もいるのではないでしょうか。
もちろん長くて大変な所ではあるのですが、一方でよく聞かれるポイントも存在します。
今回はそうした知識や直前に確認すれば解けるような重要箇所を7つにまとめてみました。
また、単なる暗記では対応できない問題にして出題されることも想定して、覚え方や応用が効くような解説を載せてあります。
よかったら直前のテスト勉強に役立てて下さい。
ポイント①「酉の刻」が何時かを覚えておく
干支を用いた刻限の数え方では子(ねずみ)を0時として以下2時間ごとに時間が割り当てられています。
ちなみに、12時を正午と呼ぶのはここからです。
そのため10番目にくる酉の刻は18時(午後6時)ごろということになります。
ちなみに丸暗記を嫌う先生が応用した違う時間を聞いてくる可能性もあるので、上で述べた出し方に加えて干支の順番も覚えておくと良いでしょう。
〈干支の順番〉
子(ね)、丑(うし)、寅(とら)、卯(う)、辰(たつ)、巳(み)、午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(い)
※ちなみに今年(2024年)は辰年です。
ポイント②助詞を補う問題
古文では主語や助詞(「を」とか「ば」とか)が省略されがちです。
扇の的では冒頭がその知識を問うのに適していて、「 北風激しくて、磯(いそ)打つ波も高かりけり。」の部分でそれを答えさせる問題をよく見かけます。
そのため、この問題がでてきたら「北風【が】激しくて、磯【を】打つ波も高かりけり」と補えるようにしておきましょう。
ポイント③対句になっている3箇所を押さえておく
テンポよく書かれた扇の的には対句表現が多く出てきます。
この場面では次の3箇所に出ていて、問いやすい内容となるのでこの3箇所が対句であることをおさえておきましょう。
沖には平家、舟を一面に並べて見物す。
陸には源氏、くつばみを並べてこれを見る。
かぶらは海に入りければ、扇は空へぞ上がりける。
沖には平家、ふなばたを叩いて感じたり。陸には源氏、えびらを叩いてどよめきけり。
ちなみに対句とは、「春は花、秋は月」「強い者はよく耐え、弱い者はすぐにくじける」のように文章や詩の中で、意味や形式が対照的な言葉や表現を並べて使う修辞技法のことを指します。
ポイント④二重否定をしっかり現代語訳で理解する
「いづれもいづれも晴れならずといふ事ぞなき。」というところで、「晴れならず(晴れがましくない)」と「事ぞなき(事がない)」と否定を被せる表現が出てきます。
ここは「晴れがましくないことはない=みなが晴れがましい様子である」という意味であることを押さえておきましょう。
ポイント⑤係り結びになっている5箇所を押さえる
古文では文中に「ぞ」「なむ」「や」「か」「こそ」がある場合文末の形が変化する係り結びの法則というものがあります。
扇の的ではこれが多用され、よくテストで聞かれるので次の5箇所が係り結びになっていることを押さえておきましょう。
- いづれもいづれも晴れならずといふ事【ぞ】【なき】。
- 扇も射よげに【ぞ】なつたり【ける】。
- ひいふつと【ぞ】射切つ【たる】。
- 扇は空へ【ぞ】上がり【ける】。
- 海へさつと【ぞ】散つたり【ける】。
ポイント⑥文章に出てくる効果音の描写4つを把握する
この作品では臨場感を出すために弓の音など効果音が何ヶ所かに出てきます。
毎年定期テストではその効果音を問う問題を見かけるので以下の4箇所を押さえておきましょう。
- かぶらを取つてつがひ、よつぴいて【ひやうど】放つ。
- 扇の要際一寸ばかり置いて、【ひいふつ】とぞ射切つたる。
- 海へ【さつ】とぞ散つたりける。
- しや頸(くび)の骨を【ひやうふつ】と射て、舟底へ逆さまに射倒す。
また、ここは過不足なく抜き出すことを求められることもよくあります。
「と」を含めてしまったり、「よつぴいて」を入れてしまわないように注意しましょう。
ポイント⑦敵方の男が踊った理由を押さえよう
最終場面で敵方(平家側)の人間が船の上に出てきて踊るのですが、国語が苦手な子だとここが敵方であることと、踊った理由が把握できていないことがあります。
この場所では与一が風も強く距離もあるなか、鏑矢(打ちづらい矢)で扇を射るという非常に難易度が高いことをしたことに対して褒める意味で敵方の人間が舞を披露したという事を確認しておきましょう。
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