「密集した文化」を楽しむという観光資源がアツいんじゃないかというお話
密集していると文化が生まれ、文化がある地域はそれがコンテンツとなり人を集める。
ここ最近、僕が考えているコミュニティ論、コンテンツ論です。
きっかけはNPOのお仕事で東京に行ったこと。
これは東京に行くたびに思うことなのですが、1つ1つの都心部が非常に近いんですよね。
僕たち関西に住む人間にとっての河原町と梅田の距離が、東京では銀座と新宿くらい(分かりにくい表現ですみません)
関東組に対して、僕たちは関西という枠組みで、京都、大阪、神戸の3都市に跨ってNPOの活動しています。
だからこそ、何か打ち合わせをするとして、「会おう」というハードが東京では異常に低いんだなということをひしひしと感じました。
これって、密集していることのメリットだと思うのです。
ネットが繋がっていれば起業なんてどこでもできるなんてことを聞きますが、やっぱり東京は全然ちがうと思います。
グッと狭い地域に凝縮されているから、そこで発生する偶然の繋がりとか、集まるエネルギー量とかが違ってくるんですよね。
出会いの数やエネルギー量というだけでなく、密集しているところはコンテンツとして外部に発信するときもとても便利です。
これは京都に住んでいるからこそ思うことなのですが、京都って観光地があちこちに存在するため、とにかく来た人に魅力を伝えやすいんですよね。
とりあえず「京都」という場所にさえくれば、あとは好きなところを見て回れる。
そこに行って、あとは好きに動けばいい。
僕はこれをビュッフェスタイルの観光地と呼んでいます。
京都の場合、とりあえず来さえすれば無数に観光できる場所があるので、あとは本人が行きたいところを満足するまで回ればいいんですよね。
それに対して、その地域に売り出せる観光地が1つしかないという地域も多々あります。
僕の出身地、浜松もそんな感じです。
これらの地域の場合、確かにその観光地の知名度は非常に高いかもしれませんが、1つの観光スポットが目的となるため、観光客の期待は全てその観光地が背負うことになるんですよね。
言ってみれば高級レストラン。
メニューも出される順番も決まっていて、それを粛々と味わうタイプの観光。
ビュッフェスタイルか高級レストランか。
一生に一度は行ってみたいと思うのは間違えなく高級レストラン型の観光地ですが、何度も足を運びたくなるのはビュッフェスタイルの観光地です。
僕はビュッフェスタイルの観光地に必須の条件は、実際に行ってみたら自分が調べたものよりもずっと多くの観光地が存在すること。
これにはやはり、狭い地域に密集していることが不可欠です。
1つ1つの観光地ではなく、一定の地域にあるものを自由にみて回るという意識になると、その地域の空気を味わうことができます。
1つの非常に大きな観光地を売り出すのを点の観光資源としたときに、複数から自由に選ぶ観光は面の観光資源ということになるわけです。
面の観光資源の場合、その地域一帯が観光資源として売り出されることになります。
そうすると、単なる建造物や名物店という「ハコモノ」の用意された魅力だけでなく、来た人が肌で感じる空気感みたいなものもコンテンツとなり得ると思うのです。
これが、面のコンテンツの最大の強みです。
最近僕は京都の一乗寺にあるラーメン店街と大阪の天満にある飲み屋街にハマっています。
一乗寺であればラーメン店が、天満であれば居酒屋が密集しているので、その空気感自体がコンテンツとして面白いんですよね。
そこで僕が楽しんでいるのは、行こうと決めていたお店ではありません。
むしろ、その場にいって空気を楽しむことです。
こういった楽しみ方ができるのは、極めて狭い地域に店が密集しており、そこに独自の文化が根付いている場合だけなんですよね。
で、そんなところそうそう見つからない。
だからこそ、それを持っている地域は、コンテンツとして非常に優秀なものを非常に優秀なものを有しているということになると思うのです。
この辺を踏まえて最近僕が考えているのが、実はジャンルに関わらず、こういう密集した文化に触れるのが好きな観光客が一定数いるのではないかということ。
であるならば、全国の密集地帯を紹介した観光マップみたいなものを作ったら、一定数の需要があるような気がするのです。
家具屋さんが密集して作られている文化圏はココ、◯◯という地域にはチョコレート屋さんがひしめき合っています!みたいな感じ。
少なくともそんなマップがあれば僕はヘビーユーザーになる(笑)
特定の観光資源に頼るのではなく、地域全体が文化圏として観光資源になり得る場所。
なんとなく、この辺がここからの観光産業としてはアツいような気がするのです。
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