新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



椎名林檎さんのNIPPONは選手目書かれた曲

全くスポーツに興味がない僕でしたが、ワールドカップ主題歌に選ばれた、椎名林檎さんの「NIPPON」には何かと興味を持っていました。
特攻をイメージさせるだとか、反対に清々しい曲だとか、賛否があったようですが、捉え方は受け手の自由(それはもちろん違う解釈をしている人がいても自由というこた)なので擁護したり非難したりするつもりは、全くありません(笑)
そうではなく、僕がこの曲を聴いた時に感じた事をそのまま書きたいと思います。

僕がこの曲を聴いた時に感じた事ら一つだけ、「クリエイター目線の曲」だということでした。
スポーツ選手は、僕たちに感動や興奮を与えてくれるという意味でクリエイター側の人間です。
つまりこの「NIPPON」という曲は、椎名林檎さんがスポーツ選手の目線に(のみ)たって書いた曲なのではないかと思いました。

(のみ)っていうのが重要です。
あくまで見てる側や客観的な立場の人の気持ちを歌ったり、もっと言えばそういう人たちの共感を呼ぼうとしている曲ではない。
ひたすらに選手の内面にのみ焦点を当てた曲であるというのが僕の解釈です。

この視点から順を追って歌詞を見てみます。
まずひとつめ。
「乾杯!乾杯!いざ出陣 我ら時代の風雲児」
これは選手の気持ちととるのが妥当だと思います。

「さいはてめざして持って来たものは唯一つ 」
最果てとはおそらくワールドカップのこと。
そこを目指して今まで努力をしてきた事を表します。

「この地球上でいちばん混じり気のない気高い青 何よりも熱く静かな炎さ」
青というのは炎の色を修飾する言葉。
自分の闘志を熱く、しかし静かに燃えている事を表現しています。
それをイメージさせやすいためにサムライブルーにあやかって炎を青と形容しただけ。



「今日までハレとケの往来に蓄えた財産をさあ使うとき」
ハレ=試合、ケ=練習としたら、なんども繰り返してきた経験を、ワールドカップという大舞台で全力で出し切りたいという選手の意気込みだと思います。


「爽快な気分誰も奪えないよ 広大な宇宙繋がって行くんだ」
ここは、フィールドに立つ選手の気持ちだと思います。
フィールドで走る気分は、(それを経験したことのない人以外)誰も味わえない。
そしてその後に続く「広大な宇宙」は、直前の「爽快な気分」の比喩。
まるで宇宙につながるような気分になるということを表しています。


「勝敗は多分そこで待っている そう生命が裸になる場所で」
生命とは選手の持つプライドと意地のメタファー。
プライドも意地も全てさらけ出したぶつかり合いの中で勝敗は決まることを表します。


全部書いてしまうと著作権に引っかかるので、全体の半分までに抑えられるよう少しとばします(笑)
(確か引用の基準は著作物全体の半分まで、参考にした資料の倍の説明がなされていれば引用となると定められていたので一応きをつけています)



「不意に接近している淡い死の匂いに」
ここが一番賛否が問われる所だと思います。
これも選手目線で考えるべきです。
ワールドカップに選ばれるほどの選手を表す表現としての「死の匂い」とは何か?
選手にとっての「死」とは試合で負けることです。
試合中どこにでも潜んでいる失敗が、勝敗を分けるという選手の心情を伝えたいのだと読むことができます。


続けて「この瞬間が〜刻み込んでいる あの世へ持って行くさ 至上の人生至上の絶景」
これも先の「死」が、「負ける」ことのメタファーであり、選手のハラハラ感を表す要素でしかないとすれば、あの世へ持って行く物は、そのハラハラ感ということになります。
つまりここでのあの世へ持って行くとは、選手としてフィールドに立ったものしか分からない、一つの失敗で負けてしまうかもしれないというスリルやフィールドからしか見えない景色のこと。
一瞬一瞬でハラハラの連続だけれど、その風景は試合に出た選手にとって生涯忘れられない貴重な思い出になるという事を表していると読み取れます。


以上が僕の「NIPPON」という曲に対する評価です。
徹底して「選手視点」の曲。
この曲が、選手の視点からのみで書かれていると考えないと、椎名林檎さんのテレビ上でのイメージもあいまって、「死」や「あの世」が、特攻などとリンクして理解されてしまうのだと思います。
でも、曲を作る側の人間が、そんな当たり前の所に気づかないはずがないんですよね。
それでもあえてこれらの言葉を使ったのは、誤解されても伝えたいことだったからとしか思えません。
聴衆に誤解されても使いたい言葉=日の丸を背負って戦う選手の内面・闘争心。
その辺の「フィールドに立った選手にしか分からない気持ち」を歌にしたのがこの曲であるというのが、僕の解釈です。

もちろん初めに書いた通り、曲の解釈なんて受け手の自由です。
だから、僕の解釈を押し付けるつもりはありません。
ただ、一つの解釈の方向として、自分にはこう見えたというのを書いてみました。


さっきiPhoneからこの曲が流れてきたので、思った事をツラツラと、、、



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