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新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



学校の古文の授業対策の僕の教案の作り方

僕が専門としている古文の授業には主に①文法を教えることと、②学校の授業で扱う文章を理解することと、③受験のように初見の文章を読み込むことの3つがあります。

このうち①と③に関しては始めて18歳で塾講師を始めた時から自分なりにノウハウを蓄積してきたのですが、②の学校の授業対策は自分の中で敬遠しているところがありました。
それは、あくまで入試に受かるための手段を伝えたくてやっているという自分の「欲」と、いちいち学校に合わせたら割に合わないという損得勘定が働いていたからです。
ただ、ここ2年でその考え方が変わって、むしろかなり力を注いできました。
理由は、受験勉強よりも直近の学校の授業がマズイという子供たちのニーズが意外に多いということと、そこに焦点を当てた授業を提供する塾が多くないということが分かったから。
そこで今まで自分の中で大きな筋として作ってあった文法の説明と長文の説明に加え、学校の授業対策という軸も加えることにしました。
その授業のノウハウがようやく溜まってきました。
 
受験古文と学校の授業の最大の違いは、初見の文章を読んで問題に答えるのか一つの文章を時間をかけて読み込むのかというところにあります。
受験の場合には文法の知識を使って素早く論理的に読み解いて行くことが重要ですが、学校の授業の場合そうではありません。
授業についていこうと思ったら、その作品世界をしっかり頭に浮かべておくことが重要ですし、テストで点を取るには内容を押さえておくことと重要事項を覚えておくことが必要になってきます。
特に古典が苦手という人で多いのは、直訳はできるのに内容が捉えられないということです。
文章を訳すだけで、その内容を頭で想像することが全くできない。
受験対策ならばぼんやりとイメージが掴めさえすればなんとかなるのですが、学校のテストはそうはいきません。
もう出る文章が分かっているのだから、頭の中にしっかりと作品世界をイメージして、それにもとづいてテストに臨むというのが有効な手段です。
 
そんなわけで、僕が学校の授業の対策をするときは、作品のイメージを子供たちが頭に浮かべられることを1番重要視しています。
具体的にはその場面がどういうところで、誰がいて、それぞれはどんな性格なのか。
そして作者の視点はどこにあるのか。
このような、僕たちが普段日常でコンテンツを楽しむ時には当たり前にやっていることを、古典作品においてもあるんだよというのを伝えてあげるのが僕の主な授業の骨組みになっています。
 
できるだけリアルにイメージしてもらうには、登場人物のキャラづけが不可欠です。
古典の作品に入り込めない理由の一つは、そこに出てくる人物がどんな性格なのかというキャラクターが見えづらいことにあるからです。
長い文章の中から数ページだけを切り取ってきたものを読んで、そこに書かれている登場人物のキャラクターを想像するなんて、現代語で書かれていても容易ではありません。
そして、キャラクターがつかめないから文章が頭に入って来ない。
だから特に物語文の時にはそうなのですが、作品を説明するときにそこに出てくる人物のキャラクターを設定するようにしています。
○○な性格で××な容姿のこの人なら、この和歌を読むのもなんか分かるよねっていう感じ(笑)
 
作品の説明を組み立てるとき、僕は漫画家さんのキャラクターを作る手法と噺家さんの落語の組み立て方を参考にしています。
具体的には出てくる登場人物の容姿や着ている服、付けている香りや声色、年齢、性格、好きなタイプみたいなプロフィールを設定しておきます。
この辺を妄想でネタ帳にコツコツ溜めているのはむちゃくちゃ恥ずかしいのでここだけの話(笑)
これは漫画家やアニメーターの人たちのインタビューを見て誰もが行っている手法ということで取り入れました。
そしてもうひとつ、空間認識についてもかなり意識を置いています。
落語家は、座布団の上に座って腰から上の動きだけで作品の世界を語ります。
その時に重要なことが、物語の空間をリアルにイメージしておくことなのだそうです。
確かにどのくらいの広さの部屋にいるのかで、相手に話す声の大きさも移動の速さも変わってきます。
そういったものから自ずと登場人物のセリフや動作だってニュアンスが変わってくるはず。
そういうわけで、登場人物のキャラクターと同じく空間を徹底的にリアルに思い描くように心がけています。
 
そしてもうひとつ、というか説明をするうえで1番意識しているのがカメラのアングルです。
それが作者によって作られた作品である以上、絶対にそこには作者の視点があるはずです。
それが主人公の目線なのか、主人公たちを上から俯瞰している目線なのか。
そういった、視点を追いかけることも、作品をイメージする上で非常に重要になってきます。
その場面はどういったカメラのアングルからの描写なのか、そういったところも考えておきます。
特に源氏物語の「若紫」なんかだとこれが重要。
頭の中でその場面全てが、源氏が庭の植え込みの影から中を覗いているものだということをつねに念頭に置けているかどうかで、内容理解度が変わってしまいます。
少なくとも、敬語の把握はできなくなる。
 
とにかく作品世界をリアルにイメージしてもらう。
これが、僕が学校の授業対策をする上で心がけていることです。
何より、そうやってイメージがつかめると、作品自体を楽しむことができると思うのです。
古典の作品は、だてに何百年も残っていません。
しっかり分かれば面白い作品が多いのも事実。
昔の天才たちが作品に散りばめた才能の数々を追っていくのは、本当にわくわくする作業です。
「お前どれだけ才能あんねん!」みたいな(笑)
少なくともこのやり方で子供たちに一定の支持は得られている(と思う)ので、一つの方針としてはありなのかなあと思っています。
もうちょっとノウハウが溜まったら、それぞれの作品を使って、もっと具体的にまとめようと考えています。
 
タイトルが「の」ばっか(笑)

 アイキャッチ瀬戸内寂聴源氏物語

 

源氏物語 巻一 (講談社文庫)

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