ソチオリンピックで浅田真央選手がフィギュアフリーで素晴らしい演技をしていました。
その裏っかわで、森喜朗元首相の「浅田選手は大事な所で必ず転ぶ」発言が、、、
オリンピック委員の記者会見での「英語は敵国の言葉だった」発言もそうですけど、この人テレビ向けじゃないんだと思うんですよね。
それは決して「失言が多い」という訳ではありません。
ただテレビという枠に適していないだけ。
こういう人、ちょいちょい見かける気がします。
パッと思いつく所で言えば石原慎太郎元東京都知事、森喜朗元首相、堀江貴文元ライブドア社長などなど。。。
経営者や政治家だけではありません。
芸能人でいうと壇蜜さんや伊集院光さん、マツコデラックスさん、あと意外な所でいくとエガちゃんや鳥居みゆきなんかがそう。
ここら辺の人たちって、テレビっていう枠組みに本質的に向いていないんですよね。
テレビでは、短い時間で流し聞きしてても分かるような意見やトークが求められるんですよね。
高度なロジックや、すごく面白い結論にたどり着くような話術、話の構成で視聴者を惹きつけるような話術は、テレビではできません。
テレビではまずキャラクターありきで他の共演者とのバランスを整え、進行というストーリーにそって隙間隙間を埋めて行くような短いトークで場を繋いでいく。
そんな話術が求められているんですよね。
その最たるものがひな壇バラエティ。
大切なのはいかにわかりやすい面白さを、短く・速く返すかっていうこと。
話の構成ではなく、反射神経と持ってくる言葉のチョイスが重要になってくるのがテレビというシステムです。
一言でまとめるとテレビ向けの人は「頭の回転が速い人」
先にあげた人たちの共通点は徹底的に「頭の回転が遅い」ということです。
これは頭が悪いという事ではありません(わざわざ言わずともメンツみたら分かるかもしれませんが)。
頭の回転が速いということは、瞬間的に判断する力に長けているという事。
反対に深く考えて多数の角度から掘り下げて一つの結論を導き出すことには向いていません。
すごくデコレーションの上手い市販のチョコレートみたいな。。。
一方思考が遅いというのは、瞬間的に場を湧かせたりするのは苦手だけれど、10分20分と話を掘り下げて行くことができ、結論として非常に「らしさ」のある答えや洞察にたどり着ける人のこと。
少し見ただけでは魅力がわからないし、なんか小難しいやつってなるけれど、一度通しで聞くと凄さが分かるタイプの人たちです。
チョコの例で比較するなら、こっちは飾りっ気のない本格チョコレート。。。
で、このタイプの人がテレビに出る時は、だいたい自分で分かりやすいキャラクターを演じています。
パターンとしてはキレ・エロ・デブ・カルト・不思議ちゃんなどなど、、、
話術を封印して、上のキャラクターを使って、テレビの瞬間芸(切り返しや分かりやすい笑い)に対応しているように感じます。
さて、話はもどって森喜朗について、、、
芸能人ならこうしたキャラ設定ができますが、政治家はそうはいかない。
そうなると、どうしても深く話を掘り下げるタイプの人はテレビに取り上げられる場合、よくない取り上げられ方になってしまうんですよね。
前後の文脈、一連の話の中で言葉を捉えたら、全く違和感がない言葉なのに、部分で切り取ると凄く悪い意味になってしまう。
非常に論理的に話が並んでいるからこそ、その人の発したフレーズ(切り取った言葉)は、時に非常に不愉快なものになってしまうんですよね。
森喜朗さんはこの典型例。
彼の1時間とか2時間のトーク番組とかみると、テレビでの印象と全く違うことに驚きます。
それは表情や態度がどうのというわけではなくて、ひとえに「話が深い」から。
結局金の卵を産む鶏の話じゃないですけど、言葉って文脈の中にあって始めて生きるものであり、切り取った時点でそれは意味の無いものになってしまうんですよね。
小泉元首相やひな壇芸人みたいに、ワンフレーズに自分の意見を集約できる人たちは、伝えたい内容をそのまま伝えられますが、深く掘り下げるタイプの人たちにとっては凄くしんどい。
食事のファストフード化みたいに、言論のファストフード化が起こってるんですよね。
今回の森喜朗さんの失言(っていうか彼の全ての発言)は、こうした背景を踏まえた上で見たほうがいい。
なんとなく会話の中で聞くと、いつものことながら凄く面白いし示唆にとんでいて、しっかり浅田真央さんにも気を配った発言だったんじゃないかなって思います。
