新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



すき家が賃金アップしても労働者を集められない理由

すき家のゼンショーHD社長「若者3K仕事やりたがらない」

ゼンショーの社長の「若者はキツい、汚い、危険」な仕事を好まないとすき家の労働者不足の要因について尋ねられた時に答えたということです。
雇用主が自分の会社の労働についてキツい、汚い、危険と評するなんてとんでもないとか、そういうことはあまり興味がないのですが、もし「キツい、汚い、危険」を好まないと自社の雇用難について分析したなら、すき家の労働者確保のための賃上げ戦略って間違えてると思うんです。


すき家は、特に夜間の労働者が集まらず休業になった店舗が幾つかあるということです。
で、そうした店舗の中には賃金を1500円まで高めたところもあるのだとか。
これは、労働市場を受給曲線に則って考えたら当然の戦略です。
でも、ゼンショーの社長さんは雇用確保の難しさを、「若者がキツい、汚い、危険」を好まないためであると判断しているんですよね。
それならばその解決策として賃金の上昇を選ぶのは適切ではない。

受給曲線による労働者の確保は、あくまで「合理的な人間」をモデルにした考え方のはずです。
賃金が低ければ働きたい人は減り、賃金が高くなれば働きたい人が増える。
お金という要素一点のみで労働者確保を考えるのが受給曲線による考え方なんです。

ゼンショーの社長の言葉に戻るならば、あくまでもすき家の人材不足は「汚い」あるいは「キツい」からということになるでしょう。
それにたいくる対策として有効な手段は、賃上げではなく、職場環境の改善若しくはモチベーションマネジメントのはずなんです。

仮に賃上げによってこれらの不満に答えようとしたら、それはあくまで相対的なものとして対処したことになります。
つまり、若者の不満の原因は「お金の割りにキツい、汚い、危険」であると判断したことになるわけです。
相対的な問題にしてしまうと、他のバイトの[仕事のキツさ÷賃金]の大きさと競争しなければなりません。
価格戦略をとっている飲食店がそんな数値で他のあらゆる業種のアルバイトと競争して勝てるわけがないんですよね。

賃上げによって一時的な解決はできたとしても、それは根本的な労働力確保の問題の解決には繋がらない。
ゼンショーは賃上げによる労働力不足の解消ではなくて、職場環境の改善によって雇用問題を解決する戦略を取るべきです。
アルバイトのやる気を喚起させるようなシステムの導入や、研修を受けることで賃金が上がるようなステップアップ制の導入など。
あるいはスタバのようなそこで働く人たちがバイトに誇りを持つような仕事に対するブランディング
そういったモチベーションマネジメントが何よりも必要である気がします。

賃金による解決に対して、労働環境の改善による解決は絶対的な基準になります。
今後も若者の「キツい、汚い、危険」なバイトを避ける志向が続くに決まっているのだから、賃金による相対的な解決でなく、モチベーションマネジメントを強化する方が有効なだと思うのです。

その意味でゼンショーの社長さんの言葉には解決策違くない?と思ってしまいまして(笑)