新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



ラ・ジャポネーゼとジャポニズム

昨日、大学時代の先輩とご飯を食べたあと、夕暮れどきの木屋町をブラブラ歩いていて見かけたポスター。
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※ネットに落ちてたものです。


ボストン美術館に所蔵されるモネの作品「ラ・ジャポネーゼ」が京都美術館にきているとのこと。。
まったく絵画には詳しくないのですが、このラ・ジャポネーゼは少しだけ興味があったので、思わず目にとまりました。

ジャポニズムとは、(確か)19世紀中頃にフランスやイタリアの美術展に日本画が出展されたのをきっかけに、海外の画家たちが日本画の様式を西洋絵画に取り入れるようになった動きのことを指します。
ゴッホの「タンギー爺さん」なんかが有名です。

他にも多くの画家が、ジャポニズムの流れに乗っかった作品を描いています。
その中でも僕が最も好きなのが、このモネの「ラ・ジャポネーゼ」です。
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僕がこの作品を1番好きな理由は、この作品だけ、日本画的な図像を取り入れているから。
他のジャポニズムの作品は、背景に浮世絵を入れたり、版画の絵の模写のようなものがほとんどです。
どれも表面的な日本画の良さをとりこんだ取り込んだだけであるように思います。
ラ・ジャポネーゼは背景や服の柄に日本画的な絵を採用しているのですが、それだけでなく、モデルの西洋人女性が振り返る構図で描かれています。
これは、江戸時代に多く描かれた日本画の「見返り美人図」の構図です。
僕が知る限り、西洋の絵画のモデルは主に正面を向いています。
背を向けて振り返るという構図は極めて日本的です。
ラ・ジャポネーゼの凄さは、単に表面的な色彩のエッセンスを真似るのではなく、日本画的な構図に挑戦している点にあると僕は思っています。


浮世絵もうちわも日本独自の物ですが、それは対象物として絵に描いているという点においては、他の物質を書き込んだ絵画とかわりません。
題材として日本画が選ばれているだけで、日本文化自体を取り込もうとしているわけではない。
モネのラ・ジャポネーゼだけは、「背中から振り向く女性の色気」という、日本独自の美的センスを作品にしています。
その意味で、僕はジャポニズムの作品でモネだけが日本文化を自身の作品に取り込もうと試みたのではないかと思っています。

そんなわけで少し興味があるモネのラ・ジャポネーゼ。
11月いっぱいということなので、時間を見つけて見に行きたいなと思っています。