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新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



「昔はいい物を作れば売れた」んじゃなくて、「何を作っても売れた」だけだと思う

「高度成長時代は、全員が同じようなものを求めていた。だから自分にとって良いものを作れば、日本の他の大勢の人にとっても「よいもの」だった。豊かになって人のニーズが多様化し、市場が複数に分かれたのに、全く変わってないのが敗因」
ブロガーのちきりんさんがTwitterでこうつぶやいていました。
全くもってその通りだなあと思ったと同時に、今の若者は物欲がない等々の話に繋がるものがあるように感じました。
今の若者はビールを飲まないとか、贅沢をしないとか様々なことが言われますが、若い世代の僕たちからみればむしろ、昔の人たちは選択肢がなかっただけに見えます。
たとえば、居酒屋やスーパーに行ったとして、日本酒と焼酎とビールと酎ハイくらいしかメニューになければ、当然その選択肢におけるビールのシェアは25%になる。
和民でも白木屋でもどこでも構いませんが、今の居酒屋チェーン店に行くと、飲み放題メニューだけで40〜50種くらいのお酒が用意されています。
その中でのビールのシェアはおよそ2%前後です。
若者がビールから離れたのではなく、昔の人たちは選択肢がなかったからビールを飲む割合が高かったと見るのが適切だと思うのです。

同じことが全てのマーケットで言えます。
スマホがない時代、もっといえば一般家庭にパソコンが普及する以前の主な情報収集の手段といえば、新聞とテレビでした。
そこに流れる広告にしろ、そこで作り出される流行にしろ、それはかなり限られたものになります。
ネットの普通以前の社会で普通に生活を送っていてあるマーケットについて知ることのできる商品の情報は、せいぜい2、3種類でした。
そもそも広告枠くらいでしか新商品を知ることはなかったから。
たとえば日本酒と聞いてテレビからしか情報を得ていない人が頭に浮かべるのは、月桂冠や菊正宗などの広告をどんどん打っているせいぜい数銘柄でしょう。
しかし試しにスマホで日本酒と検索しただけで、日本酒ランキングなるものが出てきて、そこでは200位までが掲載されています。
そしてそこにはテレビで広告を打っているからこそ売れるような、生産者主導の情報はほとんど出てこない。
よくものづくりのドキュメンタリーを見ていて、「今はいい商品を作っても売れない」という言葉を耳にしますが、真実は「今はいい商品を作っても売れない」ではなく「昔は何を作っても売れた」だと思うのです。
そしてその理由は「選択肢が少なかった」から。

得られる情報が限られていて、そもそも選べる選択肢自体も少なかった時代であれば、自分が欲しいような商品を作れば、それが刺さる人の割合は相対的に高くなります。
逆に選択肢が溢れていて、あるマーケットに対する情報を簡単に得られるようになれば、ある商品を魅力的であると感じる人の割合は相対的に減るのは明らかです。
車にしろ、テレビにしろ、旅行のパケッージにしろ、昔のように売れないと悩んでいるあらゆる産業が、昔がむしろ異常だったという見方をもった方がいいように思います。

今の若者はほとんどテレビをみません。
これだって、別にテレビがつまらなくなったからというわけではなく(テレビがつまらなくなったのは事実だと思うけれど、、、)、テレビより身近なほかの選択肢が増えたからテレビのシェアが減ったというだけのお話。
単純に昔の家のディスプレイといえばテレビ画面だけだったのが、今はテレビに加えて少なくともパソコン、スマホと、3画面あります。
「ながら見」や「ながらスマホ」みたいな使い方はあるにしても、人が注視できるものは原則一つなので、自ずとテレビのシェアは少なくなります。
そして、テレビのように少ない選択肢の商品情報を一方的に与えるスタイルの情報収集が基本だったところから、自ら情報を検索できるネットが人々の情報収集の選択肢に入ってくれば、今までのようなまず商品ありきで、それを広告で消費者の購買意欲を上げるというビジネスモデルは成り立ちません。
少なくとも昔ほどは影響力は大きくない。
しかも、その手法でリーチする若者はパソコンやスマホよりもテレビが身近というクラスタで、恐らく売り手がアプローチしたい層とは違うと思うのです。

今の若者は物を買わないではなく、今の若者は昔よりも正確に価値判断をするようになったというだけ。
物が売れなくなったという記事を読むたびに僕はこう考えています。
不況で消費量が減ったという理由ももちろんあるでしょうが、売れなくなったと嘆く市場を見てみると、明らかに消費量の減少率以上に早く衰退しています。
現代が分からないではなく、昔が異常だったという視点で様々な商品をみることが大切である気がします。

アイキャッチはちきりんさんのマーケット感覚を身につけよう!