新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



手探りで、革命。

現在の家庭で子供たちに将来のために親からのアドバイスとして言われる言葉で一番多いのは、「いい会社に入るためにしっかり勉強しなさい」だと思います。
「明日の狩りのために、勉強なんかやってねぇで肩を鍛えろ!」だとか、「春の田植えに備えるために、体力をつけなアカン!」なんていうアドバイスをされることはほとんどありません。
もちろん家が大農家で、将来はそこを継ぐことが決まっているとかなら別ですが。。。

今の時代に肩を鍛えろとか体力をつけろという親からのアドバイスよりも、しっかり勉強していい会社に入りなさいといったアドバイスが多いのは、今が勉強して会社に就職するのが一般的な社会だからです。
蒸気機関の発明により機械化が進んだため、仕事は分業、そして働く道具の揃っている場所に行って働くというのが基本になりました。
分業化された仕事は、誰でも一定の成果が上がるようにパターン化されています。
そうなると、最低限の「知識」が必要になる。
例えば、レーン作業であるならば自分の都合で手を休めないだとか、電気をつけるには壁にあるスイッチを押すだとか、そういう基本中の基本から、注文を読み取る読解力みたいなものまで。
ここでの「学び」は、一部に特化したものでは困ります。
彫刻を作らせたら右に出るものはいないけれど、漢字もロクに読めないみたいな人材ではまずいわけです。
どんな会社の労働に従事しても、最低限の仕事ができる能力を身につけることが勉強です。
そのための基本的な知恵を教えるのが学校。
これが通説として正しいかは分かりませんが、少なくとも僕には産業革命以来の社会はこんな感じで成り立っているように思います。

産業革命が起こる前の社会では、「しっかり勉強していい会社に入りなさい」という言葉はあったのかと言えば、間違えなくそんなこと言われていなかったと思います。
そもそも現代のような会社という組織がありません。
例えば、日本の江戸時代くらいの社会であれば、仕事は何処かに丁稚に行くか、家業を継ぐことが一般的な「仕事の就き方」でした。
そうなると重要なことは、どの分野にも使える最低限の知識などではなく、その分野で役に立つ、実用的なスキルです。
そんなもの学校では教えられません。
だから、教育というのは学校ではなく家庭で行うことが中心だった。
江戸時代のような社会では、仕事に就くとは家や丁稚先の仕事を継ぐことなので、そこで言われるアドバイスは「しっかり勉強していい会社に入れ」ではなく、「俺の仕事を手伝って、しっかり家を継げ」だったのではないかと思います。
もっと遡って農業をして暮らしていた時代になれば「一年中畑の面倒を見られる体力をつけろ」かもしれませんし、狩猟をしていた時代であれば「明日の食事を逃さないために、動物を狩れる力をつけろ」だったかもしれません。
何れにせよそれは、その社会の中で必要とされるアドバイスであり、同時にそのアドバイスは違う時代に移植すればまるで役に立たないものになってしまうものであったに違いありません。

時代が安定していればまるで問題はありませんが、ライフスタイルが変化するちょうど真っ只中にいる人にとってはこのアドバイスは一大事です。
例えば狩猟から農業へとライフスタイルが変化しようとしている時であれば、子供達の世代にとって必要になるのは、「明日を生き抜くための狩りのスキル」ではなく、「1年後の生活を安定させられる農作物を育てるチカラ」です。
狩猟にとって絶えず獲物を求めて移動することが正解であっても、定住して作物を育てる農業にとってはそのアドバイスは大間違いなわけです。
変化を感じ取って「農業の常識」に自分を合わせられた人は、農業がベースとなる社会で生きていくことができます。
しかし、社会が狩猟から農業へと移行しているにもかかわらず、狩猟の常識ばかりを積み上げたとしたら、その先にあるのは緩やかな衰退でしょう。
そして、こういった親の世代の常識と子が生きるこらからの社会の常識が違う移行期には、親からのアドバイスが大きく足を引っ張る可能性があります。

通常、親の知恵は役に立ちます。
それらの知恵は親が様々な経験を繰り返した中で手に入れた、成功のためのある種の方法論だからです。
子どもが思う「こうすべき」なんかよりも、様々な経験を通して学んできた親がいう「こうすべき」の方が正しいのは容易に想像がつきます。
ただしこれは、あくまで「同じ常識」を共有している世代においてです。
子どもたちがこれから生きる時代がちょうど変革期で、これから新し社会が始まるとしたら、その社会における常識に関しては、親も子どもも「素人」です。
むしろ、それまでの経験がある分、親世代には新たな社会に対応するのは時間がかかる場合さえあります。
そうなった場合、親の経験に基づくアドバイスというのが、全く役に立たない場合がでてくると思うのです。

ちょうど今はIT革命何て言われています。
ちょうど狩猟から農業に変わった時のように、緩やかに社会のルールは変わっていくことでしょう。
そうなったとき、恐らくその先の社会では今の僕たちにとって「勉強なんかしないで家を手伝いなさい」という親からのアドバイスが古臭く感じるように、「勉強していい会社に入りなさい」という言葉が古臭くなっているように思います。
それがどんな社会になるのかは分かりませんが、既存の常識で動く社会が緩やかに縮小して、代わりに新しい常識で動く社会がやってくることは想像できます。
その「新しい常識」が生まれる社会での方法論を手探りで模索していくというのが、今20代の僕たちがしなければならないことであると、なんとなくそんな風に思うのです。


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