薄口コラム

京都市在住の塾講師。中学受験塾の国語科主任をしていたり、25年以上続く老舗塾で指導&広報をしていたりします。このブログでは教材研究で集めた情報をベースに国語に関する発信をしています。質問等はYouTubeのラジオにぜひ!


【関西大学 古文】2016年入試『一休ばなし』全訳現代語訳と解説 | 過去問・あらすじつき

この記事では、2016年関西大学2月8日全学部日程入試で出題された『一休ばなし』の本文現代語訳と内容解説を掲載しています。

関西大学の古文対策として本文の流れがつかみやすいよう、受験生向けに読みやすい現代語に訳しています。

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全体の要約

類いまれな才知を持ち、一休和尚に師事して禅を極めた蜷川新右衛門は、臨終の際、極楽からの迎えを装って現れたムジナの正体を矢で射抜いて暴き、見事な悟りの境地を示しました。彼は執着のない辞世の句を残して逝去しますが、葬儀の場でも死体となってなお一休と歌を交わし、真の悟り(不生不滅の理)を分かち合いました。その姿は、死してなお滅びぬ精神を持つ者として、人々に語り継がれました。

本文の現代語訳

蜷川新右衛門の人物像と一休和尚への帰依

蜷川新右衛門親当(にながわ しんえもん ちかまさ)は、類いまれな才知に恵まれた道士でありながら、一休和尚のもとに弟子入りして禅の道を歩みました。彼は仏法の奥義を伝え聞き、悟りの眼を開いた英雄と言うべき人物でした。和尚とも心が通じ合い、深く信頼されていたのも当然のことでした。

やがて寿命が尽きる時がやってきました。「母の胎内にいた昔から、この時を待ちわびていたのだ」と言って、晴れ晴れとした様子で死を迎えようとしていました。親族が集まり、最期の別れを惜しんで嘆き悲しむ姿は、傍から見ていても痛々しく、見ず知らずの人までもが袖を濡らすほどでした。

来迎の瑞相とムジナの正体

そんな悲しみの真っ最中、西の空から紫の雲がたなびき、音楽が聞こえ、不思議な香りが漂って花が降ってきました。阿弥陀三尊と二十五菩薩の聖者たちが輝きながら現れ、目の前まで迎えに来たのです。これを見た人々は「新右衛門が極楽浄土へ行くことは疑いようもなく、掌を見るように明らかだ」と感激しました。老いた武士も若者も、あまりのありがたさに狂わんばかりに喜びました。

その中で、跡継ぎの息子が親当の膝に寄り添い、「あちらを御覧ください。頼もしく思って往生を遂げてください」と指をさしました。すると親当は眠っていた眼をカッと見開き、我が子をにらみつけてこう言いました。「武士の家に生まれた者が、たとえ極楽の蓮の台に座る時であっても、弓矢の道を忘れてはならぬ。床の間の重籐の弓を持ってまいれ!」。親当は強弓を引き絞って狙いを定め、ひょうと放ちました。矢は阿弥陀仏の胸を射通し、すると紫雲も菩薩たちも一瞬で消え失せました。実は、それは古いムジナが化けて人をたぶらかそうとしていた姿だったのです。

親当の辞世と見事な臨終

親当は最後に次のような辞世の句を残しました。 「生まれたその瞬間に死んでいるようなものなのだから、今日の夕暮れに秋風が吹く(死が訪れる)のも、当然のことだ」 このようにして、彼は臨終を迎えました。不思議なことに、深い悟りを得て魔物の障害を払い除け、自らは死の門に入りながらも、生きている人々の迷いという眠りを覚まさせたことは、世にも珍しい出来事となりました。

棺の中の死者と一休和尚の問答

その後、一休和尚を導師として招き、引導を頼みました。一休は「この新右衛門には、普通とは一味も二味も違う引導を渡してやろう」と意気込んでやってきました。新右衛門の亡骸を入れた棺が届くと、一休は立ち上がってその棺を叩きました。すると、死んだはずの新右衛門が高らかな声で歌を詠みかけたのです。 「一人で来て一人で帰るのが私の真理であるのに、道(往生)を教えようなどとはおかしなことだ」 一休は即座にこれに応じました。 「一人で来て一人で帰ると思うこと自体がまだ迷いなのだ。来ることもなく去ることもない不生不滅の真実の道を教えてやろう」 これを聞いた新右衛門は「なるほど」と思ったのか、その後は音がしなくなりました。人々は「ただの人間ではない。仏が仮の姿で現れたのだ」と、手をすり合わせて拝まない者はいませんでした。「死んでも滅びない者は命が長い」という老子の言葉は、まさにこのような例を言うのでしょう。

 

出典紹介『一休ばなし』

「一休ばなし」とは、室町時代の禅僧一休宗純(いっきゅうそうじゅん)の生涯や逸話を題材にした説話集の総称で、特に江戸時代に仮名草子『一休咄』などで語られ、とんちや奇行、庶民に親しまれる姿が描かれ、後の講談や絵本、紙芝居などの原型となった。

関西大学2016年古文攻略のポイント

関西大学の問題の特徴の一つとして、記述の現代語訳をのぞき傍線が存在しないという点が挙げられます。傍線がない上に比較的長文であるため、関西大学の古文を解くには意味段落を意識した読解が不可欠となります。

今回の『一休ばなし」に関しては、話の筋がはっきりしているので、大まかな展開は把握しやすかったかと思います。反面、後半部分は仏教にまるわる古典常識を必要とする内容も多く、そこで内容がとらえられなくなる可能性があるので、ここは正確に読み進めたいところでした。

関西大学20年分の分析データで苦手を克服

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