新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



日本は海外企業を誘致するために高付加価値な労働力育成に力を入れる

朝起きたらSHARPのボーナスが半減という記事が載っていました。
このところ連日目にするSHARPに関するニュース。
SHARPばかりでなく、SONYの苦しい現状を伝える記事も目立ちます。
各企業の苦戦をもって、日本企業は大丈夫なのかと主張する人が多いですが、日本経済を考えるなら僕はそれよりも新しい製造業における大規模な企業がこの10年で殆ど生まれていないことが大きな問題であるように思います。
今ある大手製造業企業はどれも20世紀後半に生まれたものばかり。
新たな大規模なメーカーは生まれていません。

サービスやITの分野でいえば、幾つも新しい企業が生まれているじゃないかという意見もあると思います。
しかし雇用創生という観点で見ると、製造業で生み出される雇用とサービス・ITのそれとでは規模が決定的に異なります。
ITの本質は単純労働のシステム化・合理化です。
売り上げに対して生み出される雇用数が絶対的に少ない。
だから雇用対策ということを考える政府にとっては、そういった売り上げは高いが雇用を生まない企業ではなく、とにかく雇用を生む企業が欲しいわけです。
その観点でみたとき、20世紀終わりごろから殆ど大規模な製造業が生まれていないのは非常に大きな問題です。


日本国内で大きな雇用を生む製造業が生まれないのであれば、海外の企業を誘致するしかありません。
Appleサムスンといった世界規模の企業の工場を誘致して雇用を生む。
僕は日本の大きな流れとして、そういった方向に向うのではないかと思っています。
言い方は悪いですが、仮に労働力を「商品」としてみたとき、日本人労働者は非常に品質のよい商品です。
どの労働力も最低限の読み書きそろばんができ、時間を守ることを叩き込まれている。
集団の空気を読み、自ら進んで仕事に向かう。
そして何より細かい作業を得意としている。
製造業においてこんなに品質の高い労働力はそうはありません。
また労働力以外にインフラ面においても世界トップクラスの水準です。
潤沢な水資源、途切れない電気、発達した交通網・通信網。
製造業において重要な要素がかなり揃っています。
もしこうした「品質」を維持した状態で賃金を途上国並みにすることができたら、海外の企業は日本に殺到するのではないでしょうか。
日本の労働力のネックは高すぎる賃金だけと言えます。


今ある大企業は国際競争の中で淘汰されつつあり、国内で新たな大規模な雇用創出を期待できる企業が生まれる可能性がないのであれば、雇用創出のために取ることのできる選択肢は日本の既存メーカーの製造拠点が海外に流出するのを食い止めることと、海外の企業の製造拠点を国内に誘致するくらいしかありません。
そうしたら、労働力の価値を売り込むしかない。
他の国の労働力と競争するためにとることのできる戦略は①付加価値を上げるか②単価を下げることです。
「安倍首相 新たな高等教育機関創設目指すhttp://t.co/OC9q1ZjpQH #NewsPicks」というニュースの中で、大学にかわるITなどの実践的な技能に特化した教育機関を構想するということが書かれていました。
これはまさに①の戦略です。
当然付加価値を上げるだけでは企業誘致に弱いので、今後②の方向の政策も出てくるでしょう。

安価で非常に高付加価値の労働力。
長い目でみたときの日本の生き残り戦略はこの方向にしかないように思います。


アイキャッチ内田樹さん