新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



アクティブラーニングで成績が伸びるのは単に予習が増えるから

最近教育界隈で、アクティブラーニングとか反転授業とかいう言葉をよく聞きます。
従来の、講義形式で一方的に先生が生徒に話すのではなく、子供達が教えあったりして学びを深めるというもの。
実際にアクティブラーニングを取り入れている学校も多く、昨年度の高校説明では、アクティブラーニングを取り入れた授業の見学を説明会の目玉にしている学校も少なくありませんでした。
同時に私塾業界でもアクティブラーニングを導入する動きが出ており、とにかく注目が集まっています。
僕自身もアクティブラーニングには少し興味があって、勉強会に出たり、ワークショップの動画などをみて研究しています。
そんな中で自分なりに気になったことがあるのでまとめておきたいと思います。

もともと海外の大学教授が自分の教室で実験した結果、従来の形式を反転させて子供達が教えるという形式にしたところ成績が向上したということで注目され始めたアクティブラーニング。
この研究をとって、先生が知識を講義形式で伝えるのではなく、子供達が教えある教育がいいと言われることが多いのですが、この意見に関しては僕は懐疑的な立場です。
というのも「授業形式を反転させることで成績が伸びた」という点に注目が集まることが多いのですが、必ずしも形式を変えたことで成績が伸びたとは言えないのではないかと思うからです。
海外の大学は日本のヌルい講義と違って、それこそ何冊も文献を読み込んでおかなければついていけません。
普通の授業でも予習が必須なのですが、子供達が自ら教え合うというスタイルを実践するのならば、さらに予習量は増えるはず。
アクティブラーニングを導入して成績が伸びたのは、授業のシステムが優れているからではなく、予習量が増えたからだと思うのです。

もちろん、アクティブラーニングという形式を取り入れることで、予習量が増え、結果として成績が伸びるのならば、それはそれでいいと思います。
事実、システムを導入して学力が伸びているから。
しかし、仮に予習量が増えたことが学力向上の主要因であったとしたとき、日本の通常の教育に組み込んで、その成果が出るかといわれれば話は変わってきます。
海外の大学は誰でも入れるが卒業が難しいと言われることからも分かるように、入学してから相当な勉強を要求されます(それが普通なのですが、、)
そもそも膨大な予習が前提の「やる気がある」学生が集まっている場合、そこでアクティブラーニングを取り入れたら予習の質は上昇するかもしれません。
日本の場合、中学までは義務教育、そして高校進学率も90%を超えています。
つまり、先の大学の例と比べたら熱意がない子が割合として多いのが日本の教育現場。
そんな中で、「子供自らが教える」ということが、予習を行うインセンティブにはなりづらいように思うのです。

もちろん、しっかりとした予習が必要がなくても直感的にわかる小学校レベル、中学校初期レベルの内容であれば、単に教えるということがインセンティブになって、学力が上がるかもしれません。
しかし、一定以上の理解力が要求される内容になったとき、そのための予習は必須です。
そうなったとき、一体何割の学生が予習を増やすかといわれたら、ほとんどの学生は予習を増やさず、曖昧な理解で授業に臨むことになるような気がします。
先に書いたとおり、僕はアクティブラーニングは、システムそのものが成績を伸ばす魔法の道具なのではなく、予習のインセンティブを引き出した結果(或いは勉強をしようというインセンティブを引き出した結果)、成績が伸びるだけだと思っています。
だとしたら、その授業形態が予習のインセンティブにならなければ成績は伸びません。
現状では、アクティブラーニングというと、そのインパクトもあり、反転授業という形式ばかりが注目されがちです。
そして、楽しく学んで成績を伸ばすみたいに捉えられる。
しかし、成績が伸びる仕組みを考えたとき、その背景にある予習量の増加という実際のからくりを無視できません。
「面白いから伸びる」のではなく、「勉強量が増えたから伸びる」なのです。
その膨大な予習が前提の指導方式であるということを始めに学生たちに言わなければ、大量のついていけない子を生み出すような気がします。

というのが僕が感じたアクティブラーニングに関する「個人的な」意見。
本当は小学部・中学校・高校の場合どうかとか、どういうターゲットには有効かとかも考えているのですが、文字数が長くなってしまうので、その辺はまとめて書いてしまいました。
そのため、話があちこちに飛んでいますが、ご了承下さい。


アイキャッチはアクティブラーニングに関する本

アクティブラーニング (シリーズ 大学の教授法)

アクティブラーニング (シリーズ 大学の教授法)