新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



褒め方のバリエーションが少ないリーダーの組織はスケールしない

成功したからお金があるのか、お金があるから成功できたのか。
この因果関係を間違えて捉えてしまうことは少なくありません。
もちろん中には成功したからお金があるという人もいます。
ただ、それが100%ではない。
毎回観察する事象毎に因果関係を自分で考えなければいけません。

根なし草みたいな暮らしをしていることもあって、僕はよく、チームをまとめる人たちと会う機会があります。
その中で強く思うのが、チームをまとめるリーダーは一つの強いムチと、どれだけ沢山の種類のアメを用意できているかが大切ということです。
然るべきところで怒る、何らかの罰を与えられるという強いムチを持っていることは必須なのですが、同時に人をまとめるには、どれだけ与えられる褒美を持っているかが重要であるように思います。

僕たちは多分、思っている以上に人によって「何に喜びを感じるか」が違ってきます。
・働いた対価としての褒賞に喜びを感じる人
・自分が必要とされていることに喜びを感じる人
・与えられた課題を完遂したときに褒められることに喜びを感じる人
・自分で立てた手絡の大きさに喜びを感じる人
・組織が自分の居場所だと感じられる時に喜びを感じる人
・人の役に立てたことに喜びを感じる人
ざっと上に挙げたのがよくあるパターンでしょう。
それ以外にも、プロジェクト後の打ち上げがモチベーションになっている人、仕事を通じて広がる人脈がモチベーションという人もいます。
因みに僕の行動欲求の中心となっているのは頭のいい人の頭脳に触れること。
報酬よりも居場所よりも、頭のいい人の横でそれを観察できることを優先します。
このようにパッと挙げただけでも、人が欲しがる「アメ」はさまざま。
優秀なリーダーほど、こうしたアメをたくさん用意しています。

一般に、強いムチを持っているリーダーは、それだけでチームの中で優秀と判断してもらえることができます。
「強いムチ」は統率に必須なスキルで、かつその効用が目に見えやすいからです。
それに比べてアメをどれだけ持っているかという部分に関しては、周囲の目にその効果の大きさは見えずらいものです。
その効用そのものが、「人をやる気にさせる」という目に見えないものなので、巧みにアメを操っていても、はたから見れば、「なんか雰囲気よくなったよね」くらいのお話になってしまうのです。
だから、上手くまとまっているような組織でも、案外アメを沢山持っているリーダーがいることは少なかったりします。
大抵のリーダーは一つの強いムチと、一つのアメを使って組織を束ねています。

リーダーが強いムチを持っていて、且つ一つのアメ、つまりワンパターンの褒め方しか持っていない場合、その組織から多様性がなくなっていきます。
リーダーの持っているアメに反応する人は残るけれど、それ以外のアメに反応する人たちは離れていくからです。
この傾向は、リーダーのムチが強いほどに顕著になってきます。
一方で、リーダーにとっては自分のアメに反応してくれる人が残るため、どんどん組織がよくなっているように見えます。
しかしそれは、自分のアメに偶然適応した人が残っているだけで、ムチをふるったから優秀な人材が残ったのではないのです。
だからリーダーが厳しく組織をまとめた結果「優秀だから残った」のではなく、「残ったやつが自分のアメに適応しているだけ」なのです。

初めの「成功したからお金があるのか、お金があるから成功できたのか。」という話ではありませんが、因果関係を取り違えていることは少なくありません。
こうしたことは、組織の中にいる人からは絶対に見えません。
みんなで頑張って作った文化祭の出し物の根本的なところに欠陥があったとしても、みんなそれに気づかないみたいなのと同じ感覚(笑)
だからこそ、チームをまとめる立ち位置にいる人は、自分が思っている何倍もこのことを自覚して、手持ちの「アメ」の数を増やしておかなければなりません。
そして、それができるリーダー(あるいはそこに特化したメンバー)がいる組織は、長期的に強くなる。
ジャンルも規模も全然違う組織のリーダーを見る中で、こんなことを共通して感じました。

アイキャッチはアメを体系的に分類してくれているリンクアンドモチベーションのメソッド