新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



現代の作品に根付くオンディーヌの物語〜ポニョの母とキルアの父がさせた約束の呪い

朝のニュースチェックをしていたら偶然出てきた「オンディーヌの呪い」という言葉。
夜寝てしまうと呼吸ができなくなってしまう難病の別名らしいです。
オンディーヌとは、綺麗な女の姿をした水の精霊のことで、一般にはウンディーネという呼び名の方が聞き覚えがあるかもしれません。
もともと魂を持っていなかったのですが、人間の男に恋をして、魂を授かります。
オンディーヌが湖から出て、暮らすには2つの制約があります。
ひとつは湖のそばで夫に罵られないこと。
もし、湖のそばで夫に罵倒されれば、たちまち水へと戻ってしまいます。
そしてもうひとつは、夫に浮気されないこと。
もし夫に浮気をされたら、オンディーヌは夫のことを殺しに行かなければなりません。
さっと調べた程度の知識なので、細部に間違えがあったらすみません。


多分病気の別名である「オンディーヌの呪い」は後者からきているのだろうなと思ったのですが、夫が浮気をした呪いを病名にするなんて、考えてみたら失礼な別名が気がします。
そんな事を思いながら、オンディーヌの話を見て頭に二つの作品の場面が浮かんできました。
一つが「崖の上のポニョ」でポニョの母グランマンマーレが宗介に向かってした「もしポニョを好きじゃなくなったら世界を滅ぼすから絶対大切にしなさい」みたいなとんでもない約束です。
凄い力を持つ魚のポニョが人間の姿になって、宗介といたいと望む。
そのポニョを一生愛すると約束する宗介。
オンディーヌの話をモチーフに仕上げた作品であるように思います。
そしてもう一つ(というよりもポニョの話から連想した作品なのですが)はハンターハンターの家に迎えにきてくれたゴンと一緒に家を出ようとするキルアに父が絶対に守れと言って教えた「友達の条件」です。
キルアに向かって父シルバは「友達を絶対に一生裏切るな」と約束させます。
キルアはその誓いを交わすことで、家から出て行くのを許されて、その後のストーリーへと展開しました。


初めの「オンディーヌの呪い」からは大分離れてしまうのですが、僕はこの二つの「一生ものの約束」が非常に印象に残っています。
これは岡田斗司夫さんが言っていたことでもあるのですが、これらの約束はどちらも「守れるはずのない約束」だからです。
子供の段階で一生通して守り通さないといけない約束をするには、「絶対に1人の女の子を愛し続けろ」も「一生親友を裏切るな」も大きすぎます。
そんなもの生涯かけて守り通すのは、おそらく不可能な約束です。
また、二人の約束の対価としての「罰」が重すぎる。
つまり、二人とも絶対に守れるはずのない約束を、とんでもない罰を対価に交わしているというわけです。
こっちの方がずっと「オンディーヌの呪い」と呼ぶに相応しいような気がします。

全然、病気のこととは関係がなくなってしまったのですが、オンディーヌの呪いという言葉を見て、いろいろと頭に浮かんだのでエントリにしてみました。
動画はラヴェルの夜のガスパール第一曲「オンディーヌ」


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画像はジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作「オンディーヌ」(Wikipediaより引用)