新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



ネットが普及した時代に、飛び込み営業で商品を売る方法

塾で仕事をしていると、結構な頻度で営業電話が掛かってきたり、ファックスが送られてきたり、或いは新入社員が入った春先には飛び込み営業が来たりすることもあります。
これらの営業の対応をするとき、いつも本当に売れるの?っていう疑問と、こうすれば少しは売れるのに!というアイデアが浮かんできます。

基本的に僕は、インターネットが普及して以降、電話営業や飛び込み営業というものの意味はなくなったと思っています。
もちろんネット環境が全くない職場なら別ですが...
電話や飛び込みでの営業でそれなりにものが売れたのは、彼らが持ってくる商品ではなく、情報に価値があったからです。
たとえばコピー機であれば、いま最新のコピー機ではこんなものがあるとか、コストパフォーマンスやメンテナンスなどの情報です。
或いは、というか実はこちらがメインじゃないかと思うのですが、営業で色々な企業を回っているからこそ知っている「足で稼いだ情報」みたいなもの。
商品ではなく、そういった「情報」に興味があるから営業の話に耳を傾けるということがほとんどだったと思うのです。
今はコピー機にしろチラシにしろ、興味があったら直ぐにネットで調べれば情報が出てきます。
だから、営業マンが持っている情報を取り敢えず聞こうというインセンティブがそもそもないのです。

昔飛び込み営業に来たおそらく新入社員さんと思われる人で、一人だけ印象に残っている人がいます。
その人は確かコピー機の営業だったと思うのですが、営業のパンフレットと一緒に、A4用紙にカラーコピーしたオリジナルの自己紹介パンフレットを持ってきました。
おそらくWordで作ったであろうパンフレットには、自分でつけたであろうキャッチコピーと簡単な自己紹介、そして扱っている商品の説明が書かれていました。
営業の最初にこれを渡されたため、商品の説明をされている間、僕は思わず目を通していました。

僕が彼の営業でうまいなと思ったのは、情報を聞いてもらう手段を確保したという点です。
恐らくただの営業であれば、はなから相手にしていないため、仮に営業マンが面白い情報を持っていたとして、そもそもそれを聞こうとしません。
最初の説明に取り敢えず相槌を打って、丁寧に断るという流れでしょう。
しかし、彼の場合は最初に自己紹介の紙を渡して来たので、最初の話に適当に相槌を打っている時、その自己紹介を読み込んでしまうんですよね。
自己紹介の紙を渡されたおかげで、取り敢えずの相槌を打って断るのには変わらないのですが、少なくとも「情報」に触れる機会が生まれたわけです。
「情報」にさえ触れて貰えれば、それ自体をシャットダウンされている時と比べれば可能性はグッとあがります。
相手に伝わる情報がゼロではどれだけ数をこなしても成果に繋がりませんが、1でも情報が伝わる手段がありさえすれば、あとは数をこなせば成果に繋がる可能性があるからです。

さて、ここからはこの戦略をとった営業さんのもったいない!と思った点について。
まず、その自己紹介パンフレットを受け取ってもったいないなと思ったのは、そこに「自分の紹介」しかなかったことです。
多分信頼関係を作りたいという意図で自分の紹介を事細かに載せたのだと思うのですが、こちらとしてはその人に全く興味がありません。
こちらが聞きたいような情報(商品の説明なんかではなく、コピー機業界?の裏事情とか)を書いてくれていれば、もっと読んだと思います。
或いは同じ自己紹介であったとしても、大学の部活なんかではなく、出身の高校とか。
地元出身の人しかできない方法ですが、地元で長く商売をしている中小企業なら、多くの場合社員は地元出身なので、仮に出身高校や中学が同じであれば、何かの話のきっかけにはなるかもしれません。
そういったフックをもっと散りばめればいいのにというのは強く感じました。

あともう一つ。
この営業さんはコピー機の営業です。
であるならば、レイアウトに死ぬほどこだわって、カラーをガンガン入れて、思わず見入ってしまうようなパンフレットにすればいいのに!!
これが彼と話しているときに1番感じたことでした。
せっかく手製の自己紹介パンフレットを作ったのなら、最後に「うちのコピー機を使えば、このクオリティで印刷できます」って言えたハズなんですよね。
それだけでもだいぶ違う。
或いは少し紙にこだわって、紙質と印刷具合の違いみたいな方に話を持っていってもいい。
仮にこのパンフレットがキレイな印刷で、さらに手触りのいい紙だったとして、右下に「印刷に使う紙の性質について趣味で書いているブログやってます」みたいなQRコードがついていたら、少なくとも僕なら彼のパンフレットを受け取って、そのブログを見ます。
使う紙やインクの性質とかって、こんなにも違うのかという実物を見せられたら気になります。
で、そういうコピー機の周辺情報の部分で食いついて貰えれば、その後契約に繋がるきっかけになるかもしれない。
「コピー機営業がオススメする、企業でよく使われる紙の特徴と、仕上がりの比較!」みたいなのが毎日アップされていたら思わず見てしまうだろうし、そういう情報をくれると分かっていれば、何かの機会に頼むかもしれません。
あの自己紹介パンフレットは、そんな風な使い方もできるのになあと思った次第です。

取り敢えず、ネットが普及したために基本的に営業の話は聞かなくなりました。
その中で飛び込み営業や電話営業でものを売ろうとした場合、何とかして「情報」を聞いてもらうためのきっかけを作る必要があります。
だから、これらの営業をするには、情報を聞いてもらう間口を開くにはどんな戦略があるだろうという切り口で考えていくことが効果的なのではないでしょうか。
普段営業を「受ける側」からのアイデアと感想です(笑)

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