新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



2008年大阪大学経済学部「伊曾保物語」現代語訳

赤本に全訳が載っていないので、全訳を作ってみました。内容の背景を捉えることを第一目標としているので、直訳とは若干異なるところがありますが、ご了承下さい。順次赤本に全訳が載っていない古典の文章の訳をアップしていこうと思います。

※因みに過去問は東進の大学入試問題過去問データベース から入手可能です

 

ある商人が、サモス島にいたとき、三貫目の銀子を落としてしまったため、その旨を記した立て札を作り、落とした銀子を探した。札には「この銀子を拾って届け出てくれた人は私に届けて欲しい。そのお礼に三分の一を与えよう」と書いてあった。
あるものがこの銀子を拾った。その者は家に帰り「私は貧しく、お前たちを十分に養えるほどの十分な財産を持ってはいない。天道はこれを知って、私に恵みを与えてくれたのだろうか。」と妻子に語り、この上なく喜んだ。そうしているうちに、この者は立て札の内容を知った。「この拾った銀子の持ち主ははっきりしています。その上で銀子を返さないような人の道に外れるようなことはさすがにできないことなので、この銀子を持ち主に返し、褒美として3分の1を得ようか。」と言い、かの銀子の持ち主のもとへ行き、ことの顛末を伝えた。銀子を届けられた主は急に欲が生まれて、褒美の金を渡すのを惜しがり、「私が落とした金は4貫目であった。あなたが持ってきたのは3巻しかない。それはつまり(褒美として与えると伝えていた)1巻目をあなたがせしめたからであろう。したがって私がさらに礼を渡す道理はないから、そのまま3巻目を置いて帰れ。」といった。銀子を届けた者は嘆いて「私が正直に届けたのに、あなたは約束を反故にしようとした。この先は守護に出向き、どちらが正しいかは判断してもらいましょう。」と言った。
こうしたことから、二人は糺明の庭に出廷した。二人の言い争いは解決しそうにない。かの銀子を落としたという主は誓って「落としたのは4巻目」と言う。拾った者は「3巻目であった。」と言う。奉行もどちらが正しいかを決しかねていた。イソポはこれを聞いて、「本主の言い分が正しいのでしょう。その上誓って言っているのです。事実はこの主の言う、4巻目を落としたということに間違えないでしょう。だからこそ、この銀はこの主の落としたものであるはずがないのです。なぜならば、彼が落としたのは4巻目で、いまここにある拾った銀子は3巻目です。拾った者は、これを持って帰って構いません。」と言った。これを聞き、銀子の持ち主は驚いた。「こうなっては何を隠しましょう、全て隠さず申し上げます。この銀は確かに私のものでございます。褒美でやるのが惜しくなって、自分に都合のよい嘘を申していたのです。あぁ、3分の1を彼に渡し、残りを私に返却下さい。」と言う。その時、イソポは笑って「あなたの欲望は非常にみっともないものでした。今後は気をつけなさい。」と言って、「それならばあなたに渡しましょう。」と銀子の3分の2を元の持ち主に返し、3分の1を拾い手に与えた。その時銀子の入った袋を開いたところ、帳簿には三貫目と書いてあった。その光景を見ていた者は、「見たことの無いくらいの素晴らしい判断力である。」と感心したそうだ。


アイキャッチはあえてのイソップ物語で。。。