新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



マギの人気が衰退した理由は話が難しくなりすぎたから

「マギってなんで人気なくなったん?」

僕のマンガ好きを知っている生徒さんがよく、授業終わりにマかんがンガの話を持ってきてくれます。
物事を考える切り口を知ってほしいというのが、僕が教育に携わっている理由の一つでもあるので、よほど突飛な質問であっても自分なりの意見や考え方を示すように心がけているので、この質問に関しても自分なりの意見を考えました。
そもそもマギの人気が落ちているというのが本当かどうかも知らないのですが、ここはあくまで「マギの人気が落ちた」というのを前提にまとめますのでよろしくお願いします(笑)

僕がこの話を聞いて一番初めに浮かんだ原因は「作家性と読者層のギャップ」です。
マギは絵柄やキャラクターこそ子供ウケしそうなものですが、そのストーリーはかなり複雑です。
特にマギの世界の中で魔法の源になっているルフというエネルギーのなぞが明らかになるあたりからその傾向が強くなりました。
そして様々な複線が回収される過去編になるとストーリーはいっそう複雑になります。
おそらく作者がマギという作品でやりたかったのはまさにここ。
さまざまな謎が一つに繋がっていくところ、そしてそこでの人々の駆け引きこそ、作者がやりたかったことであるように感じます。
実際に一話一話が非常に濃い内容になっていますし、確かに読み込むとそれまでの物語で曖昧だった部分がしっかりと分かって面白いことは間違えありません。
しかし、いかんせん難しい(笑)
作者がやりたかったことは良くわかるのですが、それについて来られる読者は多くなかったように思います。

マギの人気が爆発したのは、アニメが開始したあたりです。
当時子供たちに勧められて数話だけみたのですが、ガッシュベルやメル、あとは結界師などの路線の作品だなあと感じたのを覚えています。
週間少年サンデーの子供獲得枠です。
この層にウケる作品の特徴はキャラクターが魅力的であることと、かっこいい絵であること。
マギはちょうどこの条件に合っていました。
実際に子供たちがハマっていたのも、ストーリーではなく、キャラクターや必殺技の部分が多かったように思います。
つまり、メインのファンがマギに惹きつけられた大きな理由はキャラと絵というわけです。

僕はサンデーのこの層をターゲットにした作品の中では金色のガッシュベルが群を抜いて凄いと思っているのですが、その理由は最期まで子供たちに人気であることを意識して話を複雑化することなく最終回まで持っていったことです。
男気や力を持つこと、ライバルとの確執みたいなさまざまなテーマが盛り込まれているのですが、どれも1ページで納まるような絵とセリフで描かれていました。
これは、複雑な話では子供たちがついて来られなくなることを強く自覚していて、作者がかなり意識的にストーリーは複雑にしないというのを気にかけていたのだと思います。
つまり、徹底して読者に寄り添う作品を作っていた。

ガッシュベルに比べるとどうしてもマギは作家性が強く出ているように感じます。
だからこそ大人でも作品を楽しめるのですが、後半の内容を小学生が理解するのは少し難しい。
どんどん駆け引きが「大人」になってしまったんですよね。
前半の部分から話が複雑になることがありましたが、その度に主人公のアラジンが子供の視点で「なんで?」ってツッコミを入れていました。
そのツッコミがあるからこそ、多少難しい内容であっても、子供たちが置いていかれずにすんでいたのだと思います。
しかし後半で話しが盛り上がるにつれて、その突っ込み自体が減っていきます。
で、結局子供たちがついて来られなくなった。

以上が僕の考えるマギの人気が衰えてきた理由です。
そもそも人気が衰えているという生徒談自体が本当かも知りませんが、仮にそうだとしたら、この辺が理由なのではないかと思います。

そして、最近シンドバッド編が続いている理由は、そうしたメインのファン層離れを食い止めるためにキャラを前面に押し出してテコ入れしているように見えるわけです

僕は相変わらず好きな作品なので、これからもたのしみにしています。

 

アイキャッチはマギのコミックス

マギ 29 (少年サンデーコミックス)

マギ 29 (少年サンデーコミックス)