新・薄口コラム

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宇多田ヒカルさんのアルバムヒットに見るCD業界の本質的問題点

宇多田ヒカルの最新アルバム「Fantome」 4週連続で1位獲得 - ライブドアニュース

久しぶりにYahoo!ニュースを見てみると、普段見ないニュースに出会えて面白かったりします。

宇多田ヒカルさんの最新アルバムが4週連続一位というニュースが気になりました。

4週連続一位は三代目JSB以来、約3年ぶりなのだそう。

宇多田ヒカルさんのCDが久しぶりの大ヒットというのを見て、CDの売れる法則みたいなものをあれこれ考えてみました。

 

今の若者はCDに触れない

 

今の子供達を見ていると、完全に音楽はスマホで聞くものになっています。

そして、スマホネイティヴの彼らはパソコンにスマホを同期させるということはほとんどしない。

そうなると、CDをパソコンに取り込んで、スマホに入れるという動作はしません。

完全にCD文化とは切り離されています。

そして、これは僕ら20代にも言えます。

音楽を探すのはYouTube、何かの話題になっていて興味を持ったらiTunesで購入です。

CDショップで手にとって購入するならともかく、デジタルコンテンツをAmazonで買って、わざわざいったん現物を手元に持って、再びパソコンで取り込むなんて手間以外の何者でもありません(笑)

おそらくは今の30代より下の人は(スマホが出る前にCDコンポやCD付きのカーステレオを買っていたような世代でなければ)、CDを購入するという文化はそもそもないのではないでしょうか。

 

もともとCDを買うのは若者だった

 

僕が初めて自分でCDを買ったのは中2か中3の時。

確かスキマスイッチの「ボクノート」だったと思います。

当時、友だちを家に呼んだ時、部屋にかっこいいジャケットのCDがある、というよりCDデッキがあるのがステータスみたいに感じていた節がありました。

また、学校でCDを貸し借りするみたいなこともちょくちょくしていて、そんなコミュニケーションツールとしても機能していました。

これはキングコングの西野さんも指摘していましたが、僕たちがCDを買っていたのは音楽そのものの魅力以上に「CD」という物質そのものに魅力を感じていたからであるように思います。

 

そんな形で音楽を聴くようになり、その後は高校、大学とかなら音楽を聴きました。

学生時代の僕は、なんで親世代は新しい曲を聴かないのだろうと思っていたのですが、その理由は自分が社会人になって分かった気がします。

学生時代は基本的に一日中友達とくだらない話をしている時間があります。

だから、そこでいろいろなアーティストに関する情報が入ってくるんですよね。

必然的にアーティストの情報量が増えて、いろいろな音楽を聴きたくなる。

そしてそもそも学生時代は圧倒的に暇な時間が多い!

就職してしまえばほとんどの場合自動的に就業時間に音楽を聴くことなんてなくなります。

授業の空きコマに音楽を聴くとか、かなりの頻度でカラオケに行くとかいうこともなくなります。

そもそも新しい音楽に出会う機会がするなくなる上に、音楽を聴く時間も減ってしまうのです。

独り身の僕ですらこうなのだから、まして家庭を持ったらその頻度は減ることでしょう。

今も昔も、音楽を消費するメインの層は15歳〜25歳くらいだったのだと思います。

 

宇多田ヒカルのCDが売れるのはファンが高齢だから

 

上に書いたように、音楽を消費するメインの層が15歳〜25歳くらいの層であるとして、今のこの世代は完全にCDを購入するという文化がありません。

かつてCDを購入していたメインの世代からその文化そのものが消失したのであれば、今のCD売上の低下も当然です。

これは本の売り上げ低下よりもずっと顕著です。

本の場合はゲームやパソコン、スマホの普及全世代で競合材が出てきたことにより読書という趣味に費やす時間が減ってきたことが原因と考えることができます。

本しか娯楽がなかった時代のシェアを100としたとき、ゲーム、パソコン、スマホが競合材としてでてきて、そのシェアを当分したと考えると100が25%に低下するだけ。

つまり、市場規模が小さくなったと考えられます。

それに対してCDの場合は、消費の中心となっていた層から文化そのものが消えつつある。

本とCDでは、直面している問題が本質的に違います。

 

こうした現状の中で宇多田ヒカルさんのCDが売れた最大の理由は、彼女のターゲット層がCDを買う文化を持った上の世代であるからでしょう。

宇多田さんの全盛期はゼロ年代前半。

ファンの中心は今の30代〜40代です。

この層の人はCDを買うのが当たり前の世代。

久しぶりに出た宇多田さんの曲を聴いて気に入ったら、「CDを買って聞こう」となるわけです。

もちろん楽曲がいいことは間違えありませんし、ニュース番組のエンディングテーマであったということが広告として機能していることも大きな要因ではありますが、ヒットした最大の要因は、彼女のファンがCDを買う層であるということです。

 

じゃあどうすれば今握手券みたいな付加価値を付けずにCDを売ることができるのかということになりますが、これはもう、CDを買う世代をファンにつけていたアーティストが、かつてのファンに刺さる曲を作るくらいしか無いように思います。

若い人アーティストが昔の曲をカバーしても意味はありませんし、逆に昔からのファンがいるアーティストでも、アニメのエンディングや若者をターゲットにした映画のタイアップなどではやはり意味がありません。

また、あまり昔に活躍したアーティストでももう「昔の人」と思われて難しいでしょう。

90年代後半〜ゼロ年代前半くらいで大ヒットしたアーティストが、当時20代にもくらいだった人たちが今見ているコンテンツ(それも映画やドラマではなく毎日やっている番組)のタイアップをとってくるくらいしかありません。

そんなわけで宇多田ヒカルさんの真夏の通り雨のニュース番組とのタイアップというのは非常に上手い組み合わせだなと思いました。

 

アイキャッチ宇多田ヒカルさんのアルバム

 

Fantôme

Fantôme