新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



恋愛の仕組みから考える音楽が売れる方法と、それに基づくマーケティング事例集

何度も顔を合わせているうちに付き合うことになった。

大して好みでもなかったのに会っているうちに好きにお互いが好きになるという経験は、結構多くの人がしているのではないでしょうか?

実際のところ、一目ぼれのように会った瞬間に好きになるというよりも、何度も会っているうちに好きになるという方が圧倒的に多いように思います。

で、これは音楽に関しても同じ事が言えると思うのです。

聞いた瞬間にビビッときてその曲が好きになるという場合もあるにはありますが、実は何度も聞いているうちに好きになるというパターンが多いのではないかというのが僕の持論。

好きなアーティストがいて、その人が出す新曲をいいなと思うのは、そのアーティストが出す曲が毎回必ず素晴らしいからではなく、好きなアーティストが出す曲はとりあえず何度も聞くために、結果として好きになるから。

反対に、アイドルファンの人が新曲を「今回の曲はいい!」と言うのも、別に握手権目当てに買ったといわれるのが嫌でそう言っているのではなく、本当に何度も聞いているうちに曲のよさが分かってくるのだと思います。

 

これは完全に僕の感覚ですが、1回聞いただけで「この曲は素晴らしい」と思えるようなものは、恐らく100曲に1曲くらいだと思います。

まして、15秒くらいのCMや偶然耳にしたくらいで凄いと思う曲となれば数百曲に1曲レベル。

殆どの曲は自分にとって良くも悪くもなく、それが好きと思うのは、どれだけその曲を耳にしたかという聴いた回数に影響される気がします。

 

これを踏まえて、固定ファンがいないアーティストが新曲を多くの人に届けようと思うと、重要なのはいかに多くの回数を聞いてもらうかということになります。

Youtubeが無かった時代やスマホが無かった時代は、音楽と出会う窓口はテレビくらいしかありませんでした。

だから、人々が一定期間に聞く曲の数は限られ、そのため多くの音楽番組に登場していることである程度印象に残すことができたわけです。

しかし今はYoutubeには大量の音楽がおかれ、スマホでいつでも音楽を聞くことができます。

受動的に何度も音楽を聞かせて、その曲が好きになっているという状態は作り辛くなっているのです。

テクノロジーの発達によって環境が変化してしまった以上、音楽を提供する側が戦略的に何度も音楽が聴かれる環境を作らなければなりません。

そして、それに気付いているアーティストは、すでにそれを実践している(っと僕は勝手に考えています)。

 

「何度も聞かせる工夫」を導入している例としてぼくが興味を持っている曲をいくつか例示します。

一つ目はゴールデン・ボンバーぼ「女々しくて」です。

恐らくあのバンドは曲を売ることを目的に戦略をとっているわけではなく、ライブへの動員を考えているのだと思いますが、その戦略が結果的に音楽を売ることに役立っていると思うのです。

そのやり方と言うのが、彼らのテレビで行う「また見たくなるパフォーマンス」にあります。

ゴールデン・ボンバーは曲以上に、演奏中の演出が魅力です。

同じ曲でも、出演者や番組によって間奏のネタ(演出)を変えます。

そのため、一度でも面白いなと思った人がたら、Youtubeなどで別の番組を調べていろいろな演出を見ているうちに、自然と曲自体が好きになってしまう効果があるのです。

 

次に面白いと思ったのは、星野源の「恋」です。

ガッキーが主演の「逃げるは恥だが役に立つ」のエンディングテーマで起用されたこの曲は、「恋ダンス」とともに話題になりました。

恋ダンス」は見ていて楽しいだけでなく、多くの人が踊ろうとし、その動画を見ようとアクセスします。

そうすると必然的に曲を聞く回数が増えて、好きになってしまう。

また、見ていて飽きないダンスなので、ネットで恋ダンスを調べるほどの熱中度合いではなくとも、エンディングでは毎回「恋」が流れ、それを「ながら聞き」していれば自ずと耳に残ります。

こういう意味で「恋」も自然と好きにさせる仕掛けが働いた曲であるといえるでしょう。

 

僕が直近で一番面白いと思ったのは泣きWebというページで紹介された(http://www.nakiweb.com/)安田レイさんの「きみのうた」です。

これはページ下部についている再生ボタンをクリックし音楽を流すとウェブページが動き出し、あらゆる箇所に仕込まれたファクターが涙を流し始めます。

そして、記事全体に曲の歌詞がちりばめられている。

この仕掛けがあまりに細かく作られているため、思わず何度も見返してしまいます。

そして、それらの仕掛けは曲と同時に展開するため、ついつい何度も音楽を聴いてしまう。

ウェブの仕掛けを追いかけて再生しているうちに、気がついたら曲自体が好きになってしまう。

 

こうした例はまだまだ他にも多く存在すると思うのですが、楽曲を売るという上で、これから不可欠になるやり方であるように思います。

回数をみるうちに好きになっている。

そういう売り出し方をしているアーティストの事例を今後も集めて、パターン集みたいなものが作りたいなあと思っています。

 

アイキャッチは安田レイさんの仕掛け人、元面白法人カヤックの佐藤ねじさんのこの本

 

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