新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



ミスチル「未来」考察 後編〜「ヒッチハイク」の意味を考える〜

だいぶ(というか1年以上 笑)空いてしまったのですが、Mr.Childrenさんの『未来』の考察の続きを書いていきたいと思います。

Mr.Childrenの『未来』は、BUMP OF CHICKENの『乗車権』、ポルノグラフィティの『ハネウマライダー』と並ぶ、夢と生き様を描いた三大乗り物ソングとして、勝手にタグ付けして脳内お気に入りフォルダにしまってある曲だったりします。

それぞれに作曲者の人生観が滲んでいるように思うのです。

BUMP OF CHICKENの『乗車権』(BUMP OF CHICKEN「乗車権」考察〜社会システムから「乗車券」と「バス」のメタファーを解く - 新・薄口コラム)とポルノグラフィティの『ハネウマライダー』(「ハネウマライダー」考察〜20代後半でもう一度聴きたい、ハネウマライダーの人生論 - 新・薄口コラム)はすでにエントリとして書いたので、今回はMr.Childrenの『未来』について、書きかけになっていた後半を書いてみようと思います。

(もし前半に興味を持って頂ける方がいましたら、こちらのリンク「ミスチル「未来」考察~ヒッチハイクする車のメタファーを探る~ - 新・薄口コラム」から飛んでいただけたらと思います)

 

ということで2番から。

<女が運転する 車が止まって 「乗せてあげる」と言った>

2番の出だしはこう始まります。

前半の考察で少し触れましたが、1番が周りの制止を振り切って無我夢中に夢を追いかけた主人公であるとしたら、目の前に現れた自動車に乗った「女」は幸運の女神のようなものと捉えることができます。

周囲のアドバイスも無視してがむしゃらに走り続けた結果行き先も分からなくなった(だけど引き返すこともできない)主人公の前に現れた女は、音楽業界で偶然プロデューサーのような誰かの目に止まった瞬間に重なります。

そして、主人公走り<感謝を告げて>、<助手席に座って また礼を言>います。

初めは偶然通りがかって目を止めてくれた「女」に感謝しきりの主人公。

しかし、慣れてくると次第に綻びが生じ始めます。

 

<しばらく走ると僕は 硬いシートに居心地が悪くなって>

初めは何度も礼を言っていた主人公は、やがてこのような状態になります。

僕が面白いなと思ったのが「硬いシート」というフレーズです。

これって、いざプロとして売り出す段階になった時に生じた、様々な制約やしがらみのメタファーなんじゃないかと思うんです。

偶然にもとある業界の人の目に止まって、プロになる道は開けたけれど、現実は様々な障害があった。

そんな、「プロになる」という夢の「現実」に嫌気がさし始めたのがここ。

 

続く歌詞にはこうあります。

<女の話に相槌打つのも嫌になって 眠ったふりした>

この時点で相手は話に耳を傾けなくなります。

そしてBメロへ。

 

<僕らは予定通りの コースを走ってきた 少なくとも今日まで>

1番で色々な人を排除して我が道を突き進んできたことを踏まえれば、ここの「僕ら」は主人公と女と考えることができます。

そして、そんな2人が立てた「予定通りのコース」とは、おそらく2人が出会った時に考えたものでしょう。

しかし、その後の主人公の態度からも分かるよう、徐々に堅苦しい「女」の注文に嫌気がさして、摩擦が生じ始めている。

<少なくとも今日まで>という歌詞には、そんな主人公が自分を拾ってくれた幸運の女神であると同時に、自分のやりたいことに制約をかける足かせになってしまった「女」との決別の意志がうかがえます。

そして2番のサビ へ。

 

<出会った日の僕らの前にはただ 美しい予感があって>

出会った時のワクワクはこのように示されています。

そして、それを信じていれば<甘い恋をしていた>と続く。

ここに「恋」という言葉が使われているため、この曲は恋愛の曲のように聞こえますが(そもそもこの歌詞考察は、「考察」という体で僕の主観を書き連ねるものなので、恐らく通説とは異なると思います。)それだと1番に出てきた主人公の態度と繋がりません。

だからこそ、僕はあえて「女」=「プロデューサーのような夢の案内人」という前提で書いています。

 

そして2番のサビの後半では<そして今 音もたてず忍び寄る この別れの予感を 信じたくなくて 光を探している>となります。

これはすれ違いはあるけれど、なんとかやっていける道を模索する主人公の気持ちなのかなと思います。

 

字数と著作権の関係から繰り返し部分は割愛して、最後の部分に。

<いつかこの僕の目の前に横たわる 先の知れた未来を 変えてみせると この胸に刻みつけるよ 自分を信じたなら ほら未来が動き出す>

今までは「未来を信じ」ていた主人公が、最後の場面では「自分を信じ」るように変わっています。

ここに来て主人公のスタンスが大きく変化しています。

それには1番のAメロの時にいたヒッチハイクを待っている主人公の姿はありません。

ここに描かれているのは自分を信じて歩き出そうとする主人公。

そして、最後に<ヒッチハイクをしてる 僕を迎えに行こう>のひと言。

将来の怖さに負けて、不安で待っている自分も運に頼る自分に「自分を信じたなら未来は変わる」と言いに行こうとする主人公。

これって、そう言い聞かせて一歩踏み出すということだと思うんですよね。

 

歌を通して主人公が覚悟を決めていく姿が描かれているということで僕のお気に入りの一曲であるMr.Childrenの『未来』。

当然好きであるがゆえに、多分に妄想が入っていることは承知です。

(というか「考察」とか言っておいて、実際はほぼファンの妄想 笑)

ただ、あくまで1つの見方として「へえ」くらいに思ってもらえればと思い書きました。

どうか優しい気持ちでご覧いただけたらと思います...

 

アイキャッチMr.Childrenで僕が1番好きな『HERO』

次回はHEROの考察を書きます!

HERO

HERO