世の中のあらゆる「仕事」(勉強や家事なども含めます)には瞬間の判断が必要な仕事と、まとまった時間が必要な仕事の2種類があると考えています。
瞬間の判断が必要な仕事とは、人とのコミュニケーションが必要であったり、素早く成果物を出すことが求められる仕事のことで、まとまった時間が必要な仕事とは、複雑な思考が必要な分析や創作、膨大な思考実験の繰り返しが必要なタイプの仕事のこと。
何かを実行する仕事には前者が多く、何かを生み出す仕事には後者が多いという印象です。
両者の仕事は全く毛色が違っていて、2つの力を同時並行で行うことは不可能です。
たいていの人はこの両方をバランスよく行っているのですが、突出したアウトプットは期待できません。
厳密にはアウトプットはできるけれど、「競争で競り勝つ」という毛色の闘いになります。
で、人によってはアウトプットそのものに特性を持たせるため、意図的にどちらかに振り切ってしまっている人がいます。
そもそも他の人が50:50で力を割り振っている部分を10:90くらいの比率にしてしまえば、特定の分野において優位に戦うことができるからです。
正面からぶつかって競り勝つみたいな戦い方が大嫌いな僕は、まさにこのタイプ。
元々は瞬間の判断が必要な仕事を得意としていたのですが、大学3年生くらいのときから、まとまった時間の必要な仕事を自分の武器にしようと意図的に切り替えてきました。
今後の社会の動向(数年ではなく10年以上のスパン)を考えたとき、まとまった時間の必要な仕事をする力が大きな差別化に繋がると考えたからです。
ネットの普及によりコミュニケーションツールが著しく発展したことで、現在の社会においては、とかく瞬間の判断が必要な仕事ができる人が重宝されがちです。
そして、ロジカルシンキングができると尚良い。
合理的な思考により即時に適切な判断ができ、それに基づいて即座にアウトプットができる人材が、いわゆる「できる人」という評価を受けやすい社会です。
こうした人材が現時点の社会では非常に重宝されることは極めて当然の流れです。
合理的思考も、即時の判断も、即座の行動も、ネットが普及した社会において極めて最適化された能力だからです。
かつては人間がやりたいと思っても、物理的障壁によりできなかったことが、IT技術の進化により可能になりました。
ようやく人間のやりたいことに「ツール」としてのITが追いついてきたというイメージです(最先端のトレンドはともかく、一般の人びとにとってのITに関しては)。
このように、ツールと人間の欲求の程度がほぼ均衡している状況では、そのツールを自在に使いこなすこと自体が「価値」として判断される。
だから瞬間の判断が必要な仕事ができる人が優秀と評価されるわけです。
現時点では瞬間の判断が必要な仕事ができる人が評価されており、この状態が技術発展の最大値であるのならば、僕もそちらのスキルを磨こうとしたと思います。
しかし、これまでの産業革命や農業革命に照らし合わせてみると、まだまだ変化の途中に感じるのです。
そう考えるのであれば、この先には「人間のやりたいこと<ツールとしてできること」という関係になるタイミングがくるはずです。
僕はこの、「人間のやりたいこと<ツールとしてできること」という構造になった段階で必要なスキルは、瞬間の判断が必要な仕事ができることではなく、まとまった時間の必要な仕事で高いアウトプットをひねり出せる人材であると考えるのです。
今はまだ人間の独壇場ですが、即座の判断と言うのは人口知能が発達すれば、やがてそことの競争になります。
そのときに、膨大な情報にアクセスし、そこから瞬時に最適解を見つけ出してくるAIには人間一個体では絶対に勝てないと思うのです。
合理的思考にしても、同じです。
その「合理さ」が誰でも理解できるものであるとしたら、それはロボットがトレース可能です。
その時点までテクノロジーが新化した社会では、瞬時に判断ができる人材でなく、ロボットができない分野にこそ価値が生まれると思うのです。
AIを初めとするテクノロジーとアウトプットの面で差別化するにはどうしたらいいか。
それには「合理的」な思考プロセスとは違う、自分独自の思考プロセスを持っている(ちょうど古典経済学に対するマルクス経済学みたいな形)か、インプットの段階で情報を絞ったり特殊なインプットにしたりするなどして、アウトプットを強引に捻じ曲げるという2パターンがあります。
前者は自分で世の中の見かたのルールを構築する能力が必要で、後者は価値のあるアウトプットを生み出すために膨大な独自のインプットが必要です。
いずれにせよ瞬間の判断では対応できない能力です。
こういうものを生み出す力を今から付けて置くと、長期的にみて貴重な存在に慣れるのではないか。
そんなことを思っているため、20代はここに奉げようというのが、僕がとっている行動戦略です。
ブログやコラムを書いているのもこの一環だったりします。
こんな戦略をとっているため、思考の最中にガンガン横槍をいれてくるコミュニケーション型のSNSや、電話がうっとうしくてたまりません(笑)
僕が電話嫌いなのはそういう理由から。
1時期は四六時中ディスプレイを見ているくらいにスマホジャンキーだった僕ですが、今はいかに自分の時間を確保するためにコミュニケーションツールを「従」のポジションに持っていくかをいろいろ工夫しています。
で、そのために僕がしている工夫をまとめるつもりで書いていたのに、前の部分の説明が余りに多くなってしまったので、それはまたいつかにしたいと思います。。。