新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



指定校推薦の校内選抜を攻略するための1つの視点と3つの武器

毎年、夏〜この時期にかけて、指定校推薦やAO入試の相談が増えてきます。

また、お盆休みにはかつての教え子の子たちから、就職活動の相談をチラホラ受けました。

彼ら彼女らの話を聞いていると、共通して悩んでいる箇所があるように感じたので、今日はその辺についてまとめたいと思います。

 

君の熱意は買うけれど...

 

ここ数日、立て続けにきたのが面接についてどういう準備をすればいいか?というもの。

中には先輩や先生にリサーチをかけて、過去の質問内容を集めている生徒さんもいました。

具体的に「この質問に対してこんな返しを考えたのだけどどう?」みたいな質問もチラホラ。

もちろんこうした事前準備は非常に大切です。

一方でそうした質問に対する準備をする前に、そもそも「面接」というゲームのルールを理解することから始めてもいいんじゃないの?と思うことも...

過去に出題された問題に関してリサーチをして、「あなたが自分を褒めるとしたら?」という質問の答えをいくら綺麗に準備した所でその質問が今年も来るとは限りません。

それよりもまずはもっと上流のところで、「面接」という試験のルールを知る事が大事だと思うのです。

 

面接を受ける際に重要な1つの視点と3つの武器

 

僕は面接関連の質問に対して、「1つの視点と3つの武器を持とう」という話をします。

過去問や参考書に載っているひとつひとつの質問に対して個別に準備をするのではなく、面接のルールを理解して、その場で対応できるように準備をしておこうというのが僕のスタンス。そのために有効なのがこれから書く「1つの視点と3つの武器」なのです。

 

結論から言えば、1つの視点とは「『面接』という試験の設定意図を考えよう」というもの、3つの武器とは「面接の質問は熱意型、キャラ型、興味型に分けられる」というものです。

まずは「1つの視点」から。

 

学内選考でも大学の試験でも、もっと言えば就職試験でもそうですが、そもそも何の為に面接時間を課すのでしょうか?

志望理由を確かめたいのなら志望理由書を読めばいいはずです。

事前準備の厚さを見たいのならそれこそペーパーテストで十分です。

あるいはその面接は何分なのか?何人で行うのか?質問は何問なのか?という内容のうちいくつか分かるものがあったとして、その時間や人数設定にはどういった意図があるのでしょう?

昨日質問してくれた生徒さんの学校では、1グループ15〜20分、5人で入室、質問は3〜4問課せられるということでした。

こういった情報があれば、大体1人あたりに割ける時間は3〜4分、各質問にかけられる時間は1分が目安という事が分かります。

さらに、詳しくは後で書きますが、仮に質問できるのが3問だとしたら、その質問内容で評価したいことは当然それぞれ違うはず。

こういった「試験官はなぜその質問をしたのか?」という視点から面接を調べてみるというのが、1つの視点です。

 

次に3つの武器について

 

以下の面接の質問例を見てください。

「志望理由」「高校時代頑張ったこと」「座右の銘」「大学でやりたい事」「将来の夢」「尊敬する人」「最近のニュースで興味があるものは?」「高校で学んだ事」「あなたの長所」「今後の社会情勢に関するあなたの考え」「あなたの短所」「○○学部を目指す理由」「最近読んだ本」

どれも典型的な質問ですが、これらの全てに対して準備することはちょっと大変です。

しかも、これらにさえ準備しておけば大丈夫かと言えば、決してそんな事はないですよね。

こうした質問の設定意図を考えると大きく次の3つに分類できます。

①熱量把握型

②キャラ把握型

③興味関心型

 

①の武器『具体性』

 

①の熱量把握型というのは、面接を受けにきた生徒が、どれくらい真剣にその学校を志望しているのかを知りたくてする質問、②のキャラ把握型とは目の前の生徒さんはどんな性格で、どういった時にやる気になるのかという人となりを知るための質問、そして③の興味関心型は日頃から知的好奇心をどれくらい持って生活をしているのか、学ぶことに対するアンテナの感度はどんなものかを測る質問です。

先に挙げた典型質問群を①〜③に分類すると次のようになります。

①「志望理由」「大学でやりたい事」「将来の夢」「高校で学んだ事」「○○学部を目指す理由」

②「座右の銘」「高校時代頑張ったこと」「尊敬する人」「あなたの長所」「あなたの短所」

③「最近のニュースで興味があるものは?」「今後の社会情勢に関するあなたの考え」「最近読んだ本」

 

①〜③には、①熱量把握型ならいかに具体的に書かれているか、②キャラ把握型ならその人のコンセプト(やる気のスイッチが入るタイミング)が何なのか?、③興味関心型ならいかに早く簡潔に質問に反応できるかと、それぞれ伝わりやすいポイントがあります。

熱量があるなら、当然具体的なエピソードが多くなるはずです。

だから①の系統の質問で「コミュニケーション能力」やら「文武両道」やら「リーダーシップ」やら「多様性」やら言われても伝わらない。

対して、こんな文言が入っていたらどうでしょう?

「私は英語に興味があった。今の高校を選んだのは留学制度があったからだが、コロナでそれができなかった。だから私にとって大学選びでは充実した留学制度が何より大切だ」

先に挙げたふんわりした言葉がたくさん並んだ答えより、熱意が伝わりませんか?

こんな風に①タイプの質問には、いかに掘り下げ、自分の言葉で志望する理由を用意しておく事が大切です。

 

②の武器『コンセプト』

 

②の質問に関しては、あなたのモチベーションの所在を聞きたいという意図が根底にあると考えられます。

こうした質問に対応する為に必要なのは、自分のコンセプトを明確にしておく事。

コンセプトとは、自分がどんな時にスイッチが入るのかということです。

みんなで協力する時、人と競争する時、仕組みや理屈を掘り下げる時、誰かに期待される時、理想の人に近づきたいと思った時etc...

こういった、自分のスイッチが入る瞬間を明確に把握しておくと、不意に飛んできた②の質問に対しても、即座に対応する事が可能です。

例えば、自分のコンセプトが「ライバルに負けたくない」なら、長所は「強いライバルがいるほど立ち向かう」ですし、座右の銘は「切磋琢磨」、尊敬する人は「本田圭佑」とかになるでしょう。

コンセプトが明確ならば、仮に「あなたを動物に例えると?」みたいなトリッキーな質問が来ても、「ライバルと競うイメージの動物ってなんだろう?」と考えて、チーターなり、競走馬なり答えが出やすくなるわけです。

 

③の武器『瞬発力』

 

最後の③興味関心型に関しては、詳しい内容や切れ味のいい意見というよりは、小さくてありきたりでも、テンポよく質問に答えられる瞬発力が大事になってきます。

うんうん唸った末に、「ウクライナとロシアの戦争が気になる」(2022,8月時点)なんて言っても本当に興味あるの?と感じてしまう。

あるいは最近読んだ本と言って『舞姫』が出てくるっていうのも、「日常生活の中での興味関心」という観点からはイマイチですよね。(もちろん本当に熱い感想があるならば別ですが)

③に該当する質問には、出来るだけスッと答えたいところ。

この系統の質問に答えるためには事前準備が大事になってきます。

少なくともひと月前くらいから(時間がない人は今すぐに!)ノートを用意して、気になる事があれば「全て」そこにメモをする。

しかもできればそこにひと言感想を付け加える。

最低でも1日1ページ、これを続ければ③の質問に素早く反応ができるようになります。

 

以上が僕が面接の質問を受けた時に答える「1つの視点と3つの武器」です。

この辺を意識するだけでも、短期間でだいぶ変わるんじゃないかなと思います。

もし面接が近く、不安に思う人がいたら、実践してみて下さい。

 

アイキャッチは僕の面接対策の元になっている就活の本『内定力』。下手な入試用の参考書よりも実践的なので高校生のみなさんもぜひ!