ロボット工学の用語に「不気味の谷」という言葉があります。
人間に近いロボットを作ろうとして動きや外観を近づけすぎると、かえって人間との微妙な差が際立って気味悪く見えてしまうという現象をさす言葉です。
1996年に世界初の電脳アイドルとして作られた伊達杏子というCGアイドルが、まさにこの不気味の谷の問題に突き当たったのだそう。
人間の動きや声質をCGで近づけようとしたがゆえに、かえって違和感が強く出てしまったことで、失敗に終わったとのことです。
個人的に、今の電子書籍もこの「不気味の谷」の問題に直面するのではないかと思っています。
今の電子書籍を見てみると、いかに紙の書籍に近い質感を再現するかということであったり、いかにめくり心地を紙に近づけるかということに重点を置かれています。
なんかすごく技術の進化の方向性を間違えてる気がする(笑)
正直電子書籍を購入する側って、あんまり紙っぽさとか求めていないように思うんです。。。
だって、紙のような質感にこだわりたかったら、紙の本買えばいい話ですもん!
どっちかっていうと僕たちが電子書籍に一番求めていることって、ほしいと思った瞬間に読めることだと思うんですよね。
ちょっとだけ脱線して初音ミクのお話に。。。
初音ミクもカテゴリー的には伊達杏子と同じ電脳アイドルです。
でも、こちらは世界的に大ブレークしています。
僕が思うに、初音ミクがここまで人々に受け入れられた最大の理由は「人間らしさ」を追い求めなかったことにあると思います。
あえて、アニメらしいビジュアルに電子音的な音声、そしてユーザー側が自由に初音ミクを使って表現ができるようにしたことで、逆に僕たちは親近感を抱けるようになっているのです。
電子書籍もたぶんこの路線を目指すのが正解なんじゃないのかなって思ったりします。
わざわざ紙の本に近づけようとするのではなく、電子書籍らしさを出したほうが世間に広まる気がします。
たとえば僕たちはタブレット端末に関しては横スクロールよりも縦スクロールのほうが慣れています。
だからいっそのこと小説とかも横文字表記にしちゃって縦スクロールで読めるようにしてもいいと思うんです。
もちろんページをめくったときのアニメーションとか、紙の印刷物っぽい背景の色使いとかも全部なし。
極端な話、各章や節のタイトルを長押ししたら400字位の要約が表示されるくらいでいい。
さらに踏み込むなら車の移動中とかにも内容を読めるように音声朗読機能が付いていてもいいくらいです。
そこら辺って紙の媒体じゃあ絶対できないことだからこそ、電子書籍っていう媒体で作る価値があると思うんです。
アマゾンで個人が電子書籍を出版できるようになったり、コンテンツ面がすごい勢いで進化しているので、間違いなく来年再来年あたりから電子書籍の普及は早まります。
だからこそ、コンテンツ面ばかりでなく、媒体の側もどんどん進化させて欲しいなって思う今日この頃。。。
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