新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



2017年京都女子大学公募推薦入試11/20「唐物語」現代語訳

公募推薦が近づいてきたので京都女子大学の問題集から一本現代語訳を作りました。

内容の背景を捉えることを第一目標としているので、直訳とは若干異なるところがありますが、ご了承下さい。

また、ざっと訳したものなので、所々解釈の間違えがあるかもしれませんが悪しからず...

 

昔、眄眄という女が張尚書と結婚して、何年経っても露や塵のように片時でもお互いのことを裏切るようなことはなかった。花の咲く春の朝も、月の出る秋の夜も、一緒に舞を見て歌を聞き、二人で遊び戯れる以外はしなかった。
こうして睦ましく暮らしていたのだけれど、世の中は若い者にもまた年老いた者にも無常であることの恨めしさか、早くして夫が亡くなってしまった。女は、夫に先立たれたことを悲しみ、別れの涙は乾くことを知らなかった。姿・容姿・性格のどれをとっても非常に素晴らしく、世間の噂になったため、帝を始め色(恋)を好む男は皆熱心に言い寄った。女はそれを限りなくつらく感じていた。秋の夜に、曇りのない月が出ているのを見ても、昔亡くなった夫と見た月の光がまず思い出されて、
あの人と二人で見た月の光の方がまさっていたからなのでしょうか、夫が死んでから見るこの月は、同じ秋の月なのに心なしか寂しく見えてしまいます。
「命には限りがあるというのに夫に先立たれても尚、こうして生きながらえてしまう私身の薄情さはなんなのでしょう」などと思い、悲しみに暮れ、気持ちが乱れていた。
こうして月日も過ぎていくうちに、張尚書に建ててもらった高殿の燕子楼の中もすっかり荒れ果てて、床の上で一人寄り添う人もおらず悲しんでいる時は、夫が着ていた唐衣を取ってそれに触れてみるのだけれど、かつての香りさえすっかり消えてしまっていて、いっそう涙で褄を濡らす(妻が掛詞になっていますが、文脈上省略します)ばかりであった。
 唐衣を目にするとあなたに先立たれてから経た月日を思い出して、見るたびに恨みが深くなっていくようです。
こうして十二年を過ごした後、春を迎え、秋が過ぎ去った頃に、ついに女は亡くなった。

アイキャッチは唐物語

 

唐物語 (講談社学術文庫)

唐物語 (講談社学術文庫)