先日、友達と日帰りで熱海旅行に行ってきたときのお話。
友達と三人で起雲閣という熱海の隠れた名所、明治・大正時代の別荘に行きました。
和洋折衷の非常に面白い建物。
個人的にとても刺激的な建築物でした。
僕は今、京都に住んでいます。
そのため無意識の内に、日本の伝統建築といえば、古くからあるお寺の建築物や銀閣や二条城のような書院造が頭に浮かびます。
国の中枢が東京に移ってからの日本の文化は、関東と比べて圧倒的に薄いはず。
したがって江戸以降、特に明治以後の文化は関東の方がずっと豊かなんですよね。
特に開国以来、海外の文化を取り入れた日本の文化遺産ならば、圧倒的に関東の方が多いように思います。
熱海で起雲閣を訪れた時に、そのことを強く感じました。
西欧の建築様式の中にどことなく日本らしさを感じる。
当たり前のことですが、明治の辺りの特徴も、紛れもなく日本の伝統文化のひとつだということを改めて認識させてもらいました。
京都に住んだからこそ感じる感覚なのかもしれません。
起雲閣をみていて、いくつか頭に浮かんだものがあります。
ひとつは鹿島田真希さんの「冥土めぐり」です。
冥土めぐりの主人公の思い出の中に出てくる、バブル期に栄えた高級ホテルが僕の中ですごく2000年代前半までホテルだったこの「起雲閣」と重なりました。
主人公が小さい頃によく両親や祖父母に連れられてやってきた高級ホテル。
久しぶりに訪れると客足は少なく、古びてしまっていた。
なんとなく、物語の世界観全体が熱海を舞台になっているような感じがしました。
起雲閣のある廊下が、宇練銀閣という敵がいた、下酷城という場所の間取りにすごく似ていました。
そのシーンが丁度上のようなところだったので、見た瞬間にもしかしたらここをモデルに作画したんじゃないかと、すこしワクワクしたりしました(笑)
久しぶりに旅行に行って、やっぱり実際にある土地に出向くことで思いもよらない気づきが得られるなあと実感しました。
起雲閣という言葉をネットで調べるだけでは、多分頭の中に冥土めぐりも刀語も出てこなかったと思います。
自分の足で見に行くことの1番の楽しさって、こういう意外な気づきにあることを再認識した旅行でした。