新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



ユーチューバーは今からやったって儲からない

清水寺の辺りに、お気に入りのカフェがあるのですが、先日そこでゆっくりしていると、対角線上に座っていた人たちから、大きな声でユーチューバーという言葉が聞こえてきました。

金髪茶髪のその姿から、恐らくは大学生です。

男女四人組の彼らは、ユーチューバーって儲かるらしい、俺らでも出来そうという話題で盛り上がっていました。

 

また別の日、今度は塾でユーチューバーの話題を耳にしました。

テスト前に勉強をしに来ていた高校生の子達が、ユーチューバーで儲けたいなあという話をしていました。

二つの会話を立て続けに聞いたとき、ユーチューバーはもう儲からないのだろうなと確信しました(笑)

 

1920年代、世界恐慌が始まる直前のこと、ウォール街通う投資家は、道端で靴磨きをして日銭を稼ぐ靴磨きの少年が「株が儲かるらしい」という話をしだしたのを聞いて、急いで株を売りさばいたというエピソードがあります。

およそ投資に縁のない層にまで株の話が浸透しているのをみて、崩壊が間近であるというのを察知したのだそう。

ユーチューバーに関して、これに近いものを感じました。

 

2,3年前のテレビでユーチューバーという存在が取り上げられる前までは、ユーチューバーはやりたい人よりも見たい人が多い状況でした。

だから、ユーチューバーになりたいと思って目指せば、ヒカキンさんクラスの大勝こそできないにせよ、小銭を稼ぐ程度のことは出来たかもしれません。

しかしここ数年、ちょうどThe・MANZAIで博多華丸・大吉さんがユーチューバーになりたいというネタを披露したあとくらいから、見たいと思う人よりもやってみたいと思う人が増え、そこから後追いをしても成功どころか小銭を稼ぐのも難しい状況になったように思います。

ずっとユーチューバーの話題は子供達の間で出ていたのですが、なりたいという声を聞き始めたのがこのくらいの時期でした。

 

基本的にあらゆる業界が、提供したい人数よりも欲しい人の数が多い状態で初めて成り立ちます。

ユーチューバーであれば、見たい人の数に対して演じたい人の数が0.1%くらいが需給の成り立つ限界地といったところでしょう。

このバランスが崩れた業界では、そもそも需給バランスが適切でないのだから、そこで一攫千金を狙おうだなんてことに無理がある。

努力云々でなく、単純に遅すぎるのが原因です。

他に、見たい人よりもなりたい人が多い代表例が、声優や劇団員、作家といった仕事です。

声優業界はアニメのDVDの売り上げ枚数と声優学校の合計生徒数を比較すればどの程度のバランスか出てくると思います。

上に挙げたところなら恐らく他の業界も大体がこんな感じ。

演じたい人よりも見たい人が圧倒的に多い段階で、その業界に出会う運と、その業界の伸び代を見分ける嗅覚が大切なのだと思います。

或いは、既に飽和状態の業界であれば、既存のシステムとは別のアプローチをするなどの工夫をしなければならないのかなあと。

そうでなければ、その業界で先行する人にとっての、「靴磨きの少年」になるのが関の山なのでしょう。

「ユーチューバーになりたい」という声を立て続けに聞いて、こんな風に思いました。


アイキャッチはヒカキンさんのユーチューバー必勝法

僕の仕事は YouTube

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