新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



最近やたら今後無くなる仕事、生き残る仕事というテーマの記事をよく目にする

最近僕がフォローしているブログやTwitter、ニュースサイトで「今後も残る仕事、消える仕事」といった記事をよく見かけます。
公務員、タクシードライバーetc...
人口動態、そしてITの進化を見ればどれも納得の行くものばかりです。
僕が今属する教育という分野は、消える仕事か残る仕事かの分類がまちまちなのですが、きっと大部分の中間層向けの教育は消えていくだろうと予想しています。
そもそも人口が減少することと人工知能の技術の進化をみると、超エリート向け(地域のトップ校じゃなくて、日本のトップ校受験というニーズと、最低限の学力をフォローアップして欲しいというニーズくらいしか狙い所はないのかなあと。。
鋳型に当てはめても一定の成果の出る中間層8割くらいに対する教育は、コスト面で技術には勝てないと思っています。

その話は置いておいて、あくまで今日のエントリは「消える職業と残る職業」という話。
正直なところ、どんなに最もらしい根拠が挙げられていても、「○○は消える」という記事はイマイチ信用ができません。
全体として縮小するのはそうかもしれませんが、実際に中に入れば見方は変わってくると思うからです。
逆に、「この仕事は残る」的な記事も、眉を細めて見てしまいます。
どうしても、それを読んで安心したい就活生や転職を考えている人をターゲットにした、現実逃避によって相手を一時的にいい気分にさせる麻酔コンテンツに見えるからです。
唯一これはあるかもと思った職業を特定した言説は、西村博之さんが以前ラジオで話していた「就活生が入りたい企業ランキングの上位は10年後にたいてい衰退している」というもの(笑)

どの仕事が残るとか無くなるとかいうのは、僕ごときの頭ではロジック付きで自信を持って説明できる意見はありません。
しかし、大きな方向性として、どういう仕事が消えて、どんな仕事が残るというビジョンは持っているつもりです。
そして、それに基づいて行動しているつもり。。
僕が考える今後も残る仕事は、代替の効かない超専門スキルを要する仕事と、ロボットに置き換えるよりも人件費の方が安い仕事の二つです。
凄いロボットや人工知能があるとして、それは言うまでもなく作った「人」がいるわけです。
やがては乙一さんの「陽だまりの詩」に出てきたように、ロボットがロボットを作るなんて世界になるのでしょうが、少なくともこの20年は大丈夫かなあなんて(非常に楽観的ですが)思っています。
だから、こういったロボットなどを作る仕事と、ロボットなどでは代替できないほど繊細or複雑な仕事は残ると考えています。
もう一つ残るだろうと予想しているのは、ロボットや人工知能に置き換えるよりも人を雇った方が安い仕事。
堀江貴文さんが昔トークセッションで「タイのホテルは自動ドアではなくドアを開けるドアマンが立っているが、なんで自動ドアにしないかと聞いたら『自動ドアにするよりドアマンを雇う方が安いから』と返された」という話を思います。
タイのドアマンの話はジョークなのかもしれませんが、人件費と技術を導入する費用を比べて安い方が残るということに関してはその通りでしょう。
技術の導入コストよりも、人件費の方が安ければ、経営者としてはそちらを導入した方がいいに決まっています。
仮にどれほど優れた接客ロボットがあったとしても、それが1台1億円とかだったら、費用対効果の面から、たいていの人は人を雇うでしょう。

ロボットや人工知能で代替できないほど高い能力の必要な仕事と、ロボットや人工知能を導入するよりも人件費が安い仕事。
今後テクノロジーが進歩するにつれて、前者はますます個人の高い能力が要求されて、後者はますます労働力として安価であることが求められていくと思っています。
前者のフィールドではどんどん能力を積み上げた人が生き残り、後者のフィールドではどんどん自分を安く切り売りできる人が生き残る。
極端な話、テクノロジーが進化して、どんどんローコストであらゆる仕事が代替できるようになったとして、常にそのコストよりも低く労働力を提供しようという覚悟がある人は、(法的な問題は別にして)ずっと仕事はあるはずです。
同時にテクノロジーの進歩を上回る速さで新たな市場を開拓できる人材や、さらに進んだ技術を生み出せる人も同時に生き残る。
この両サイドに位置する仕事が、今後も残り続けるのだと思います。

仮になんとか上位のフィールドで生き残っていたとしても、そこは常に自分自信が進歩し続けなければならないため、決してラクではありません。
またたとえどんなに賃金が安くなろうとも、仕事がなくなって生活ができなくなることと比べれば前者の方がいいということになります。
だから僕はどちらがいいのかということではないと思っています。
ただ、どちらでもない真ん中のフィールドにいることは、いずれの選択をするよりもリスキーな選択であるという感覚だけは、かなり強く抱いています。
つまり無思考で選ぶ安定こそが1番のリスクになる。
僕が西村博之さんの「就活生が入りたい企業ランキングの上位は10年後にたいてい衰退している」という言葉に納得したのは、こういった思いがあるからかもしれません。
作家で元アニメ監督の岡田斗司夫さんが以前、「単職から多職へ」というようなことを言っていました。
岡田さんはこの話題の時に「安定した企業に入ることよりも、自分の食いぶちを30個くらいに分散しておくほうが僕はリスクの少ない生き方だと思う」と言っていたのですが、僕もこの意見に賛成です。
そして、欲を言うならばその「多職」の食いぶちの中に代替の効かない超専門スキルを要する仕事と、ロボットに置き換えるよりも人件費の方が安い仕事の両方を入れておく。
これが一番安全なカードの切り方であるように思うのです。
将来消える仕事と残る仕事という話からは逸れてしまいましたが、少なくとも僕がこのテーマで考えるのは、上に書いたようなことだったりします。

アイキャッチは気がつくと10年を切った「未来予想図」であるワークシフト
ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

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