ドラマ『海のはじまり』の主題歌でもあるback numberの「新しい恋人達に」。
新しい恋人達と聞くと一見これから自分が出会う新たな恋人のように聞こえますが、歌詞を読んでいくと、父から我が子へ宛てたメッセージのように読めることから、ここでの「新しい恋人達」とは、将来の自分の子とその子が愛した恋人のことを指すようです。
父として自分の子に何を伝えられるか?
そんな事に悩む姿がこの曲では描かれているわけです。
前編通して魅力的な巧みな言葉選びで主人公の姿が描かれたこの曲ですが、最も凄いのは次のサビのフレーズでしょう。
-指先で雲をなぞって 僕にはもう見えないものを 描く君に かける言葉があるとしても 僕にはとても探せないだろう-
「指先で雲をなぞる」幼い我が子の後ろ姿を見つめつつ父としての姿を考える場面ですが、ここでの「雲」が、子どもにとっては真っ白なキャンバスであると同時に、主人公にとっては青空を覆い尽くした存在であると言うところに注目です。
ここでは無限大の夢を持つ我が子と、数々の後悔を抱えてきた自分自身の姿が同じ「雲」を通して象徴的に描かれます。
これまでの自分の生き方に後悔ばかりを抱えている主人公ですが、子どもの背中を見つめるうちに自分なりの答えを見つけます。
-でもいつか君が誰かを どうにか幸せにしたいと 願う日に 笑って頷けたとしたら それで十分じゃないか-
ドラマに照らし合わせるのなら主人公は愛する人を失っています。
そんな主人公にとっての最大の後悔とは、「恋人を幸せにできなかったこと」なのでしょう。
しかしそんな思いを引きずり前を向けずにいた主人公は、子どもを育てることになって「この子をどうにか幸せにしたい」という気持ちになりました。
だから今度は自分の子が「誰かをどうにか幸せにしたい」と願う時、分かるよその気持ちと笑って頷いてあげたい。
そんな父から子に対するやさしい眼差しが描かれるのがこの歌なのでしょう。
曲名にわざわざ「新しい」という言葉を添えたのはその笑って見守る気持ちは自分一人のものではなく、君を産んだ二人の眼差しであると伝えたいから。
どこまでも優しさに溢れたこの歌はback numberにしか作り上げることは出来ないでしょう。
アイキャッチはもちろん新しい恋人たちに
