よく出てくる[steal]と[rob]の違いについて、答えを読むと[rob 人 of 物]と[steal 物 from 人]と覚えなさいというように書かれています。
この2つの単語に関してはそれぞれの日本語の意味をしっかり考えることが大切です。
[rob]の意味は「奪う」で、[steal]の意味は「盗む」です。
どっちも同じやん!って思うかも知れませんが、実は大きな違いがあったりします。
「盗む」を辞書で調べるとそれぞれ「ひそかに他人の物を取って自分のものにする。」、「奪う」を辞書で調べると、「他人の所有するものを無理に取り上げる。」と書かれています。
ポイントは「ひそかに」と「無理に取り上げる」というところ。
[steal]は相手からこっそりと物を取るところに主眼が置かれているのに対して、[rob]は無理矢理取り上げるところに中心があるわけです。
だからそれぞれ、[steal]は物が目的語に来て、[rob]は人が目的語に来ます。
物を取るのが[steal]、人から取り上げるのが[rob]です。
[steal]と[rob]の違いは、ちょうど黒子のバスケの黄瀬クンと灰崎クンのイメージです。
この二人は主人公の黒子テツヤが中学時代に所属していたバスケチームのチームメイト。
黄瀬クンの加入と同時にバスケ部を辞めた灰崎クン。
両者は非常に似通ったバスケスタイルです。
どちらも一度見た選手のプレースタイルを完璧に自分のものにすることができる。
決定的な違いが「盗む」のか「奪う」のかでした。
黄瀬クンは相手の技をそれ以上の精度でコピー(=盗み)します。
それに対して灰崎クンは相手の技を真似た上で相手が使えないようにする、つまり取り上げるのです。
黄瀬クンのイメージに近いのが[steal]、灰崎クンのイメージに近いのが[rob]です。
話が脱線してしまった(すみません)ので、話を戻してそれぞれの単語の使い方について考えていきたいと思います。
まずは[rob]について。
[rob]はよく[rob 人 of 物]という形で使います。
ここでの[rob]のイメージは「くずす」です。
[of]にはイコールのイメージがあるので、記号であらわすと[人 of 物]は[人 = 物]ということができます。
[rob]はこのイコールで結ばれた状態でいる環境を人から取り上げるというイメージの単語なのです。
それに対して[steal]はこっそりと気づかれないようにかすめ取るイメージです。
相手が気付かないうちに「す~っ」と相手から物を引き離すイメージ。
[from]には「~から」というイメージのほかに「離れる」という意味があります。
[steal 物 from 人]は人からそっと物を引き離すというイメージで作られた熟語です。
あくまで相手に危害を加えるのではなく、そっと取ってしまうというイメージが大切。
人に気づかれないことが前提なのが[steal]で、人に手を加えることが前提なのが[rob]なのです。
余談ですが、強盗は「奪い取る人」という意味で[robber]と表します。
銀行強盗のように、人に危害を加えて盗むというイメージがつきまとうのが[rob]なのです。
[rob 人 of 物]なのか[steal 物 from 人]なのか。
その違いは「こっそり盗む」のか、「無理矢理奪い取るのか」です。
人から取り上げることに注目しているのか、それとも物をこっそりかすめ取ることに注目しているのかで考えれば、丸暗記するよりずっとスムーズに理解できると思います。
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