今日は多くの人が呪文のように覚えているある構文についてお話していこうと思います。
「時・条件を表す副詞節中の動詞は、未来のことでも現在形」という構文は、時制の単元において、最も有名な構文の一つということができるのではないでしょうか。
有名であればこそ丸暗記することができてしまっているかもしれませんが、実は掘り下げると複雑な背景が潜んでおり、構文が成り立つ説もいくつか存在します。
今回はその中でも僕なりに一番しっくりきた説明を紹介しようと思います。
まず副詞節について簡単に説明しておきます。
節と呼ばれるものには名詞節と副詞節の二つが存在します。
それぞれ「名詞っぽい働きをする接続詞のカタマリ」、「副詞っぽい働きをする接続詞のカタマリ」くらいに覚えておいていただければ差し支えありません。
それぞれ名詞っぽく働く、副詞っぽく働くものという事なので、名詞お副詞の働きを見てみましょう。
名詞は人の名前などで、主語や目的語(I will play tennis in the parkのplayやpark)
の働きをします。
主語にしろ目的語にしろ、文章中から取り除いたらおかしな形になってしまいますよね。
だから名詞は文章中になければならないものと考えてください。
一方副詞はどうでしょう。
副詞は一般に「名詞以外を詳しく説明する(=修飾する)」ものと定義することができます。
I always play the piano. (私はいつもピアノを弾きます。)
I like apple very much. (私はリンゴがとても好き。)上の例文の「いつも」にしろ「とても」にしろ、あってもなくても文章の自体は成り立っていませんか。
このようにあってもなくてもいいものが副詞です。
つまり「あってもなくても言いたいことは通じる接続詞のカタマリ」=副詞節となります。
さて副詞節の基本的なイメージをつかんだ上で、いよいよ本題に入っていきましょう。
If it rains tomorrow, I will stay home.(もし明日雨だったら、私は家にいるでしょう。)
この文章では明らかにif節(ifでつながる主語動詞のカタマリ)は未来の内容です。
しかし現在形となっています。
これがいわゆる「時・条件を表す副詞節、未来のことでも現在形」ってやつです。
この文章の構造について主節・従属節の関係から考えてみたいと思います。
主節とは文字通り主となる節、つまりなくてはならない情報が書かれた節のことです。
今回の場合(I will stay home.)のほうが街頭します。
一方従属節とは主たる分に従う節、つまりあってもなくてもいい情報です。
今回はif節の中身です。
ここで一つ問題になります。
「~したとき」や「もし~ならば」という文章の場合、前提条件が成り立って初めて主節の内容が成立することになります。
当然主節は未来のことなので不確定要素があって構わないのですが、その前提まで不確定ではちょっとまずいことになりませんか。
言い方を変えると、上の例では、「雨が降る」という内容が起こることが前提となった上での「家にいる」という未来の推量なわけです。
数学の証明でも、「仮定より~」なんて使いますよね。
したがって主節の内容を考えるためには従属節の内容は絶対成り立たなければいけません。
こうした理由から、「時・条件を表す副詞節、未来のことでも現在形」なんて構文がうまれました。
ちょっと説明が複雑になってしまって申し訳ありません。
一応ここまでで時制の単元で話そうと考えていた内容は終了したので、次回からは次の単元について考えようと思います。
ちなみに「未来や進行形がないやんけ!!」なんて意見があるかもしれませんが、それぞれ別の単元で扱おうと思っておりますので、ご了承ください。
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