新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



僕たちは自分で思っているほど論理的ではないと思うんだ

「目の前にAとBの選択肢があります。あなたはどちらを選びますか?」
本来なら他の選択肢があるはずの場面で、特定の候補を並べられると、ついついその選択肢の中から選んでしまうということがよくあります。
あるいは手品の技法に、マジシャンズチョイスといって、これと似た現象を利用したものがあります。
相手に自由に選択してもらっているのに、結果的にマジシャンの意中のカードを選ばせる。
これは選択と判断を分離することで行うテクニックです。
観客は選択を行うけれど判断はしない。
ある観客が行った行動の結果生じる行動はマジシャンが決めているのです。

上に挙げたような「論理遊び」は日常でよく見かけます。
さりげなくこうしたことをやっている人をみると、凄いなと思います。
反対に、本人も自覚がないうちに論理を飛躍させてしまう人もよく見かけます。
最近、有名人に対するTwitterのリプライ観察にハマッているのですが、特に炎上している人に対するリプライを見ていると、こうした「自覚無き論理の飛躍」を多く見かけます。
で、結果どんどん議論?がおかしな方向に流れてしまう。
僕がリプライを追いかけている中で、頻繁に見かけるパターンがあります。
それが以下の6つ。
①全体の傾向の話をしている時に個別具体的な事例をあげる
②Aという前提で話しているときにBという視点から反論をする
③正誤の判断と好みの判断が一致していると思っている
④Aの最大値とBの最小値を比較する
⑤いくつも重ねたロジックをかいつまむ
⑥情報を引用する際に無自覚に自分の解釈を加える
(論理というわけではないものも含んでいますが、Twitterで多い思い違いのパターンとでも思っていただければ幸いです…)

①の全体の傾向の話をしている時に個別具体的な事例をあげるというのはデータを示している人に対するリプライでよく見かけます。
「自分の周りはそれに該当しないから、データ自体が疑わしい。」或いは「A(客観的な内容)という場合も確かにあるが、B(個別具体的な内容)という場合もある。」みたいな感じです。
僕たちが身近な体験ほどリアルに感じるのはある意味で当然であるため、それだけバイアスがかかっているということを意識しておく必要があります。

②のAという前提で話しているときにBというのは、格差等の社会問題について語られる場合に多く見かけます。
発信者は「Aで見ればBである」と言っている人に対して、「CでみたらDだから間違いだ」という具合です。
この場合、そもそも論点を明確にするために特定の前提に基づいた意見を発信している訳なので、その前提の外から意見を投げられても、受け取った側は反論できないという状態になってしまいます。

③はニュースに関連するようなつぶやきに見られる傾向です。
発信者は自信の好みとは別のところで「考え」を述べているだけなのに、そこに本人の好みが乗っかっていると考えてしまうタイプがここに該当します。
仮に「A,B,Cという要素から希望の党が多くの議席数を獲得するだろう」と言っている人がいて、それがそのまま本人の好みであるとは限りません。
希望の党が勝つと思う」と「希望の党に勝って欲しい」はまるで違う内容です。

④のAの最大値とBの最小値を比較するというのは、特定の事柄に思い入れが強い場合に発生しやすい傾向です。
一番美味しい中華料理と一番マズイフランス料理を比較して「やっぱり中華がいい!」と言っても誰からも共感が得られないように、Aのメリットを述べたいときに、Bのデメリットを比較対象に出す人がいますが、これでは正しく比較できているとは言えません。
もし正しく比較するのであれば、AのメリットとBのメリットを、あるいはAのデメリットとBのデメリットを比較すべきです。

⑤のロジックをかいつまむというのは「1→2→3→4→5」という論理を説明している意見を「1→4→5」だと解釈するみたいなイメージです。
これは、大きく炎上している発信者に対して、反射的なリプライが増えると増加するパターンです。

最後の⑥情報を引用する際に無自覚に自分の解釈を加えるというのは、人の意見を引用するときに多くあるパターンです。
ニュースサイト等が引用をする際にも時々見かけます。
原文では「100人増えた」と単に事実を述べているだけなのに、引用の際に「100人も増えた」というように「解釈」が加わってしまう。
これは無意識に付け加えられている場合が多く、それが原因でやりとりに齟齬が出るというパターンが多いように思います。

論理が飛躍しているパターンとして①~⑥を挙げましたが、僕は別に、これを以って上記に該当するようなリプライをする人が論理的でないと批難したいわけではありません。
Twitterの性質上、そういったミスを誘発しやすいというだけのお話。
それこそ、分析と主張は違います(笑)

「炎上」という現象は、SNSが普及し、誰もが発信者となり得るからこそ生まれたことだと思うので、引き続き観察したいトピックだったりします。

 

アイキャッチは論理の人、西村博之さんの新作です!

 

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