SNSの発達により、個人の発信が容易になった昨今。
どの媒体を見ていても、質はもちろんですが、それ以前にとにかく物量が求められる激しい戦いになっているように思います。
最近はピーク時より多少減っているもののYouTubeでいえばTOPどころは毎日配信が当たり前。
クリエイターが増えているために、純粋に数の勝負が激化しているように思います。
さて、そんな物量を求められるようになって困るのは、安定してコンテンツを出し続けなければならないという部分です。
いいアイデアや才能を持っていてそれを形にすることと、物量を出し続けるというのは別のスキル。
昨年末、久しぶりにとある会社の広報をさせてもらったのですが、その際はまさにこの「物量」という部分で大きな壁を感じました。
一定の質を担保したコンテンツを大量に作り続けるためのアイデア出しの体制、そしてコンテンツに仕上げるチームの準備。
この辺の仕組みづくりがかなり重要になってくるのかなあと思います。
天才岡田斗司夫さんについて
そんなことを考える中でひとつなるほどと思うやり方を提案していた人がいました。
それが岡田斗司夫さんです。
岡田さんは僕が22歳の時に知り、そこから3年間くらい徹底的に真似させてもらったくらいに個人的に影響を受けた人物です。
現在の評価経済的なことを既に90年代には語り実践し、オンラインサロンの先駆けとなる仕組みはゼロ年代に作って機能させていた。
全く出世欲がないような人なので(僕は彼を見て競争心みたいなものを捨てました)こう言った仕組みの先駆者として名が表に出ることは少ない方ですが、間違いなく時流を読む力に長けた天才だと思います。
そんな岡田斗司夫さんが1年くらい前に堀江貴文さんとの対談で話したコンテンツ作成の戦略が見事だったので、今回はそれについてまとめてみました。
コンテンツの再利用という考え方
岡田斗司夫さんはYouTubeで7年、ニコニコ動画を含めれば10年以上動画を配信し続けています。
ただしそれらは週一回の講義形式で殆どが1時間近く(初期はもっと長い)のものばかり。
今いるYouTuberのセオリーとは少し違うスタンスをとっていました。
それがこの一年、毎日配信をするようになったのです。
このやり方が非常に面白いものなのです。
岡田斗司夫さんは毎日更新をするにあたって、「アップグレード」というシステムを考案しました。
彼はもう10年以上コンテンツを作り続けており、しかもそれらは時事ネタに触れたものや日常の雑談ではなく、映画やマンガの考察や社会事象の分析がほとんど。
そのため、今見返しても十分にコンテンツとしての価値があります。
岡田さんはそれを利用して、かつて自分が発信した動画を短く編集して、しかもその冒頭と終わりに現在の自分のコメントを挟むことで新たなコンテンツにするという「アップグレード動画」という手法を思いついたのです。
岡田さんの理論は次のようなもの。
・自分のコンテンツは流行の影響を受けづらい
・したがって今でもみたい人はいる
・しかし昔からのコンテンツに検索でたどり着いてもらうことは難しい
・だったらそれを発見されやすいように新たなコンテンツとしてリメイクすることに価値がある
こうして毎日配信が可能なアップグレード動画という仕組みを作ったようです。
岡田さんのコンテンツは毎回深い思考だけでなく図解や時に模型を用いた解説など、とにかく準備に時間がかかっています。
それを毎日作るのは物理的に不可能です。
しかしアップグレード動画であれば、本編部分は既にできています。
そこに自分の解説を乗せるだけならそれほど手間はかかりません。
長いことコンテンツを作り続けている人だからこそできる面白い戦略だと思います。
現在岡田さんはこのやり方を使って、毎日配信を可能にし、かつ今まで通り週一の生配信を続けることで新たなコンテンツを作り続けています。
アップグレードという岡田斗司夫さんのコンテンツの作り方は新規の方が真似できるものではありませんが、大量にコンテンツを作らなければならない人にとってはひとつ大きな参考になるものだと思うのです。
僕はコンテンツをフローとストックに分けた時、SNS時代のコンテンツはフローの色合いが濃いように思っています。
つまり一度消費されたら忘れられてしまい、そこに再び注目が当たりづらい。
だからこそ自ら「再利用」して再び注目を浴びるようにするという戦略は今のSNS主流の時代のマーケティングとしてとても面白い戦略であるように思うのです。
アイキャッチは岡田さんの天才性が最も出ているこの本。
90年代に書かれた本ですが、現在の社会を驚くべき精度で言い当てています(笑)