アニメ『ブルーロック』のテーマソングとなったUNISON SQUARE GARDENの『傍若のカリスマ』。
タイトルは人前をはばからず勝手に振る舞うさまを表した傍若無人と、人を惹きつける才能を持ったカリスマを結びつけたもので、サッカーというスポーツを通して才能を突き詰める様が描かれるアニメブルーロックを彷彿とさせます。
この曲の作曲者でもある田淵さんが思う勝負における最も大切なものは何なのか?
それは「残ったやつを希望と呼べ」という言葉に表れているように思います。
「残ったもの」「希望」と聞いて頭に浮かぶのはギリシャ神話に出てくるパンドラの箱のエピソードです。
パンドラが好奇心からゼウスに渡された箱を開けた結果、人間界に様々な災いや悪が飛び出したが、その最後に箱の底に残ったものが「希望」だったというギリシャ神話のエピソードを踏まえるならば、傍若無人に見える振る舞いの先につかみ取れるものが希望というところでしょう。
第一線で戦い続ける人間にとって時に周囲に誤解されるような向き合い方も必要になってきます。
そうしたあらゆる泥臭い努力の先につかみ取れるのが勝利という希望というわけです。
こうした思いを象徴するのが次の二つの引用です。
「君子危うくて接近中」
「孫氏崩れ去る現代戦」
前者は賢い者は危ない出来事には初めから近づかないという意味を持つ「君子危うくに近づかず」を、後者は最古にして最高と言われる兵法書を書いた孫氏を表している訳ですが、この歌ではそのいずれも通用しないという使われ方をしています。
最後の最後に信頼できるのは昔の教訓や王道の戦略でなく、自分の培ってきた感だけである。
そんな決意が伝わってきます。
では最後に必要になる力は何なのか?
田淵さんは「and going!」という言葉に隠れた「エゴ」という響きに託したのではないかと思います。
全力で戦った最後に勝ちを掴み取るために必要な者は自分の強い思い=エゴである。
だからここ『傍若のカリスマ』というタイトルなのかなと。
難解なメロディに乗せて僕たちに届けるメッセージにはUNISON SQUARE GARDENならではのかっこよさと熱くなるものがあるように思います。