新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



9月から逆転内定の就活術⑤〜あらゆる面接の質問に答える3つの準備〜

面接の準備で何をしたらいいのか分からない。

たまにそんな相談を受けます。

それに対して「どんな質問に答えられないの?」と聞くと出てくる個別具体的な質問例。

「あなたは周りからどんな人といわれる?」

「挫折経験は?」

果ては「自分を動物にたとえると」などなど。

こういった質問をされる時、僕はよく、「で、想定する質問はいくつのパターンに分類できる?」と質問します。

んで、具体的な質問に悩む人ほど、この問いに答えられない。

 

仮に面接に苦手意識を抱く人がいるとして、面接の問いに答えられない最大の理由はこの、「結局質問は何パターンに分けられる?」を意識しているか否かにあるように思います。

一見複雑で多様に思える就活の質問も、一歩引いてよくよく考えてみると、案外質問のパターンは少ないのです。

 

面接で準備すべき想定問答の3分類

 

GoogleやYahoo!で就活界隈の言葉のアクセス数を調べると、「就活 質問」という検索ワードがヒットします。

で、そこに出てくる記事を見てみると、個別具体的な特定の質問に対する最適解ばかり。

もちろんそうした「答え」を必要としている人もいるでしょう。

しかし、その悩みをよくよく掘り下げたら、実は求めているのは表面的なその質問に対する答えでなく、広く応用の効く対応法であるということも少なくありません。

 

いちいち個別具体的な質問を全て想定して、それらの全てに答えを用意するのではなく、コアの部分にある自分の気持ちを明確に言語化し、そこかれ具体的な質問には対応できるように準備しておくことが肝要です。

 

新卒採用に怒る面接で問われる質問を大きくわけると、以下の3つ。

①熱意を問う質問

②キャラクターを知る質問

③興味と思考を問う質問

これらの系統を正確に把握して、質問に合わせて対応する力こそが面接攻略の鍵なわけです。

 

第一系統 熱意を問う質問

 

①は志望動機や今後の展望といったタイプの質問です。

ここに関して重要なのは、その企業さんへの興味(これは④で話しました)と、自分の興味関心との接点における納得度合い。

いかに自分のやりたいことと、その企業さんとのマッチング度合いを言語化して伝えることが重要になってきます。

このタイプの準備に関しては、いかに自分の気持ちに素直になれるか、自尊心と切り分けて考えられるかが大事になります。

その熱意を面接官に伝えるために必要なのは①自分の欲求に対する正確な理解、そして②それを実現できるのが志望する会社であるという説得力です。

ここに関しては第n志望というのは関係ないので、いかに聞き手の面接官が納得するか?という視点での準備が大切です。

 

第二系統 キャラクターを問う質問

 

ふたつ目は志願者がどんな人か、どういった事に興味があって、どういう所にやる気を見出すかといったことを目的にした質問です。

その人のキャラクターを知るための質問と言っていいでしょう。

自分の強み、挫折経験、少し変わったところでいけば「あなたを動物に例えると?」と言った質問もここに含まれます。

僕の肌感では就活で苦戦する学生さんで一番苦手意識を持っているのがこの質問。

自分の強みを言語化してそれを相手に伝えるというコミュニケーションは、仲間内だとなかなかしないので、苦手な人が多いのでしょう。

 

このキャラクターを問う系統の質問に関しては、自分のコンセプトを明確にしておくという対策が有効です。

自分は物事にあたる時に、どういう意思決定をしがちなのか?どういう基準で好みが決まっているのか?そう言ったものを並べていき、その共通点を探るのがここのやり方なのですが、いきなり言われても難しいと思うので、今回はざっくりと4分類にしてみます。

どちらかというと自分はどれに近いかを考えてみてください。

 

①協調型(みんなと1つの目標に向かう時が一番楽しい)

②競争型(仕切りたがり、ライバルに勝ちたいというのが行動の根源)

③研究型(勝ち負けや目標の達成よりも整合性や理屈が気になる。)

④理想型(憧れの人に近づきたい。中途半端な品質の品を提出したくない)

 

どうでしょうか?この中で自分に近いものを選んでみて下さい。

それが一旦みなさんのコンセプトの原型です。

これができたら次は自分の持つエピソードの中から、自分のそういう面がよく現れている場面を探します。

例えば①なら「みんなの想いを実現させたいから行動に移した」、②なら「ライバルに負けたくないという一心でがむしゃらに向き合った」、3なら「とにかく仕組みを知りたくてデータや情報を集めて比較しまくった結果上手くいった」、④なら「いつ頃出会った□さんみたいになりたくて一心に努力し続けている」とか。

こういった大まかなコンセプトが決まっていれば、「あなたを動物に例えると?」みたいなトリッキーな質問にも対応が可能です。

例えば①の人なら仲間意識が強くて個体としては弱い動物を、②なら競争心が強くてしつこい動物を、③なら1日の多くの時間をひとつのことに打ち込む動物を、④なら美しさなどでその地域や種属の中で個性を極めた動物を選べばいいわけです。

こういった即時の対応に必要なのは想定した問答ではなくコンセプト。

ここが苦手な人はまずは自分のコンセプトを明確にしましょう。

 

第三系統 興味と思考を問う質問

 

最後は③の興味と思考を問う質問です。

ここに含まれるのは気になるニュースだったり、読んだ本など、その人の興味を知りたいタイプの質問と、日本中に電柱はいくつある?というような日頃の思考量を問う問題です。

ここに関しては一番対応が簡単なのですが、一方で時間がかかります。(ので、直近で面接がある人はすぐに準備を始める必要があります)

③の質問に関しては質問のバリエーションが広いので個別に準備することは不可能です。

しかし、情報のソースになるものは少ないので、日頃からのちょっとした心がけで対策が可能です。

 

では何をすればいいのか?

これに関しては一冊ノートを用意して、毎日気になったことをコツコツ貯めておくに限ります。

「気になったこと」を具体的に言えば、ニュース、映画、漫画や本(読まない人でもこの機会に少しだけ挑戦しましょう)など、とにかく何でも。

気になった広告や出来事なども含めて、とにかく「何でも」です。

そして、慣れてきたらそれに対する自分が気になった理由も書いていきます。

ひと月もそれをしていたら、「気になることは?」系の興味関心を問う質問はほぼ対応できるようになっていることでしょう。

 

思考を問う系に関しても事前準備は簡単です。

日頃から何かを考える際に[疑問に思う→全体を縛る→手に入る情報を積み上げて→答えに辿り着く]というふうにするくせをつければいいのです。

これが苦手な人は、一冊「フェルミ推定」系の本を読んでみてもいいかもしれません。(今ならYouTubeでもたくさんあるでしょう)

こうした形でとにかく事前準備するのが③系統の質問です。

 

ということで今回は沢山ある就活の面接中の質問について、大きな分類とそれぞれの対応方法について簡単にまとめました。

細かな対策や具体例は、今後の具体編の記事を書く時にまた書こうと思います(このシリーズの需要があるなら)。

まずは今まで受けた質問を上の分類に当てはめてみて、それぞれの対策法に照らし合わせて「復習」をしてみましょう。

きっと、それだけでも何かがかわると思います。

 

アイキャッチフェルミ推定の本

 

 

 

9月から逆転内定の就活術④〜スペック型の企業分析とキャラクター型の企業分析の違いを知ろう〜

前回は面接の話をしましたが、今回はちょっと趣向を変えて、「企業研究」についてまとめていこうと思います。
極論を言えば、僕は企業研究はそんなにいらないんじゃないのと思っていますが、一方でそもそも企業研究の仕方を知らない人もいるんじゃないかなと思ったり。
「知った上でやらない」のと、「知らなくてできない」では意味合いが異なります。
したがって今回はざっくりと企業分析の方針について書いていきます。


企業を分析する際の二つの視点


企業分析と聞くと、皆さんはどのようなことを思い浮かべるでしょうか?
市場占有率、資本金、業界順位etc…
いろいろ思いつくことはあるかと思いますが、ここでは企業分析の目的をわかりやすくするために、いったん別のものに置き換えて考えてみたいと思います。


いったん好きな人ができたときのことを考えてください。
皆さんは相手に自分の気持ちを伝える際、どういったことを相手にアピールしますか?
仮に自分が相手から言い寄られる立場だったとして、「どこが好きなの?」と聞いたときに、女性だったら顔や胸、男性だったら収入や勤め先をあげられたらどうでしょう?
あんまりいい気分はしなくないですか?
反対に、趣味が近いとか、何気ない他人に対する振る舞いが素敵だとか、内面に紐づく部分をほめられると、自分のことを本当にわかってくれているんだなという気持ちになります。
何かを評価する際の指標には、基本的に外的要因と内的要因があると思うのですが、一般的に好意を伝えられて喜ぶのは内的要因のほうでしょう。
外的要因ばかりをほめられても、「スペックに惹かれたんだな」とか「何もわかっていないんだな」と思われてしまいます。
これは企業であっても基本的には同じで、「御社のことを熱心に調べました」とか言われたわりにその内容が四季報や企業サイトをみたら書いてあるだけのものを文字通り暗記してきただけだったり、有名商品の名前を知っているくらいだったら、やはり「…」となってしまう。
ましてそれとなく触れるならともかく、それを武器のようにドヤられたらなおさらです。
そうした薄っぺらな知識の暗記を企業分析と誤解しないことがまず第一に大切なことであるといえるでしょう。


企業分析をする時に見るべきポイント


数値や立ち位置、目玉商品などは確かに頭に入れておいて損はないけれど、それだけでは意味がないとしたら、どういうところをみればいいのでしょうか?
僕はこのことについて「企業のキャラクター情報を集めよう」という話をよくします。
人にスペックとキャラクターがあるように、企業にもスペックとキャラクターがあります。
キャラクター情報を集めることが、本来効果的な企業分析なのです。


ではキャラクター情報を集めるにはどうすればいいか?
キャラクターときいて真っ先に思い浮かべるのは、説明会でのプレゼンターの印象や、就活サイトに載っているインタビューだと思います。
もちろんこうした情報からも得られるものはありますが、なかなか効率的とは言えません。
というか、そういった印象や情報からコアな部分を探すには、受け手の能力が必要になる。
これは、なかなか簡単ではありません。
当然説明会に来るのは企業が「こう見えてほしい」と思う優秀な社員さんでしょうし、インタビューに載るのもそういった人々です。
キャラクターとはそういう企業が「広報」として見せたい部分ではなく、自然と滲み出るところ。
それを探すにはもうちょっと他のやり方がありそうです。


僕が企業のキャラクターを分析する時に1番重要視するのは「理念」です。
こういうと、「理念こそ企業側の見せたい姿の典型やろ」と思われるかもしれません。
それはその通りなのですが、それは単に言葉通りに理念を受け取った時の話で、そこからひとつ踏み込めば、貴重な情報源になり得ます。
僕の場合は単に企業理念を見るのではなく、それと提供するサービスを比較して、サービスの意図を読み取るという形で理念を読み解きます。


例えば企業理念が「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。」というイオングループであれば、そこからサービスひとつひとつを見ていくと、半径5kmの人々の生活がイオングループのサービスで完結するようなものになっていることに気づきます。
また、代表的なイオン系のお店をGoogleマップで調べると、イオンモールは圧倒的に車社会の地域に多いことや都市郊外に多いということなども分かります。
こういった情報を先の企業理念に照らし合わせて、自分なりの解釈を用意するわけです。


企業理念と照らし合わせる際には、企業のサイトにあるニュースリリースやそれこそ上で行った地図上での検索なんかも役に立ちます。
商品の価格帯や実績等から、ターゲットを推定したり、数年分の広告コピーを調べてメインターゲットを推定するみたいなこともあるでしょう。
こうした情報から自分なりの企業キャラクターの理解を用意することで、業界順位や売り上げみたいなスペックではない情報を集めるわけです。
これが僕が思う企業分析。


こうしたものなら「一部上場ですごい」とか「売り上げ○○は業界的にも凄いことで」とか「御社の理念に共感して」みたいな表面的なスペックを褒めるような言葉よりも、ずっとよく調べているなと思われるでしょうし、なによりうちに入りたいんだなと思って貰えると思いませんか?
先日のブログ(https://column-usukuti.hatenadiary.jp/entry/2022/09/06/144331)にも書きましたが、就活における面接のゴールは、信頼関係を積み上げた先に一緒に働きたいと思ってもらえることです。
企業分析だって当然それをゴールに行う必要があります。
その有効なやり方のひとつが上に挙げたキャラクター重視の企業分析です。
もしなるほどと思う方がいたら実践してみてください。
(もし需要があれば、具体的な企業で僕が分析を行うようなエントリも書こうかと思います)

 

アイキャッチはビジネスモデル図鑑

 

 

9月から逆転内定の就活術③〜面接が上手くなる「戦闘会話力」を身につけよう〜

前のエントリ(9月から逆転内定への道②〜面接が盛り上がらない理由と解決策〜 - 新・薄口コラム(@Nuts_aki))では、面接とはそもそも何を求められているものなのか?というゲームのルールについて説明しました。

ざっと振り返るなら、「面接のゴールは短時間で君と一緒に仕事がしたいと思わせること」、そしてそのための手段は「信頼を積み上げること」というものでした。

今回は、信頼を積み上げるための面接準備の実践編ということでまとめていきたいと思います。

 

内容の前に「戦闘会話力」を身につけよう

 

さて、早速自己PRや志望理由のテクニックを、、と思ったかたもいるかもしれませんが、ちょっと待って下さい。

例えばスポーツを始めていきなり大技を学ぼうとしても意味がないように、面接においても「内容」以前に身につけておかなければならないことがあります。

それが「戦闘会話力」です。

「戦闘会話力」というのは僕の造語なのですが、僕たちは日常生活の中で、実は2種類のコミュニケーションを行なっています。

ひとつは友達や家族、恋人やサークルメンバーといった、いわゆる「仲間内」でのコミュニケーションです。

このコミュニケーションは一回限りのものではなく、長期的に関係性が継続することを前提に行われます。

一方もうひとつには、初対面の人や年の離れた人と行う一過性のコミュニケーションがあります。

ここでは、基本的にその場限りのやりとりであることが前提となります。

僕はこの二つのやりとりをそれぞれ、「協調会話力」と「戦闘会話力」と呼んでいます。

 

自分でコミュニケーションが得意と思っている人がいる場合、案外得意なのは協調会話力の方だけで、戦闘会話力は低かったりする人が少なありません。

一方で就活で必要になるのは戦闘会話力の方。

(因みに社会に出た後はその両方が一定水準で必要となります)

今まで面接を何度も受けて上手くいかなかったという人がいるならば(自分ではコミュニケーション力が高いと思っていた人なら特に!)、おそらくこの戦闘会話力がまだまだ鍛えられていないというのも大きな原因の一つでしょう。

したがって内容面の前に、戦闘会話力の向上を日々意識することが大事になってくるわけです。

 

「天気の話」で盛り上がれますか?

 

「今日はいい天気ですねぇ。」

「ええ、本当に。」

「最近は少しだけ温度も下がってきてくれて。」

 

みなさんはこんな話題から始まるおじいちゃんおばあちゃんの会話を聞いて、何面白くない会話をしているんだろうと思ったことはありませんか?

そう思った人は戦闘会話力がまだまだ低いかもしれません。

「天気の話」は、先に僕が書いた協調会話力においては最も価値が小さな話題のひとつである一方、戦闘会話力の中ではかなり使い勝手のいい話題です。

例えば毎日会っていて、話の話題も相互のキャラクターも熟知していて、何なら経験も共有している人たちにとっては、「天気の話」なんて話題のきっかけいらないですよね。

そんなもの無くても「あんなー、聞いて」で受け入れて貰える。

初対面の場合はそうはいきません。

まずはお互いを知り、共有空間を作り出す作業から始めるのがコミュニケーションになる。

そのきっかけづくりの話題として必要な条件は、①誰もが反応できて、②誰もが経験していること。

その意味で戦闘会話力の分野では「天気の話」は非常にコスパがよいのです。

 

いきなり「あつし(彼氏)がホンマうざいねん」とか言われても、最近上手くいっていないことが共有されている仲間内からいきなり共感から入れますが、初対面の人だと「あつしって誰やねん!?」ってなってしまいます(笑)

こうならないために対外的な人と話す際に使うのが戦闘会話力。

戦闘会話力は次の3つで構成されています。

①共通点を探る力

②情報開示

③相手への関心

3つのスキルを協調会話力と比べながら見ていきましょう。

 

第一のスキル「共通点を探る力」

 

まず、①の共通点を探る力というのは、初対面の人と話題のきっかけを作るために、相手と自分に共通する話題がないかを探る力です。

「どこの学校出身?」とか「何部だった?」とか「何学部?」とか。

入学式の日にこんな会話をした覚えはありませんか?

こういった話のきっかけを探る力が①で、これは協調会話力でも必要な力ではあるのですが、協調会話力では今後の関係性づくりのきっかけとして行うのに対して、戦闘会話力においては、全ての基本動作として使う点が異なります。

協調会話力の中で①は、きっかけさえ作ってしまえば役を終えるため、非常に面倒でエネルギー消費が激しいけれど、今後のために必要な投資という位置付けです。

それに対して戦闘会話力の文脈では基本の所作になる。

実は協調会話力が既にある程度身についている人はできない訳ではないスキルなので、あとは共通点を探るやりとりを意識的に練習し、苦が無くできるように訓練すればいいわけです。

 

第二のスキル「情報開示」

 

②の情報開示というのは、自分というキャラクターをわかりやすく相手に伝える能力です。

実はサークルや仲間などの内輪ノリが得意な人はここが一番苦手な場合が多いです。

なぜなら、そういった協調会話力で戦えるコミュニティにおいては、すでに自分のキャラクターが認知されている場合がほとんどだからです。

友達同士の場合、どこでどんなことを言うのか、どういう性格なのかという情報が既に共有されていますが、初対面の場合はそうはいきません。

まずは自分の「らしさ」を知ってもらうことから始めなければいけません。

そのために必要なのが⑴自分のキャラクターを言語化して自覚しておくことと、⑵そのキャラクターに基づいて会話に若干のデフォルメをすることです。

例えば自分ならどういう話題を振られたらどんな反応をするのだろうというのを書き出したり、自分が頑張った時や大笑いした時の理由を書き出したりして、共通点を見つけてみる。

これが⑴の作業です。

また、それが分かったら会話の中で意識的に「らしさ」が出そうな部分は協調し、「らしくない」部分では一歩引いてみるというようなことをしてみるのが⑵です。

こうして自分はどういう扱い方をすればいいのかという取扱説明書を提示するのが情報開示です。

 

第三のスキル「相手への関心」

 

最後に③について。

③は相手の話題や相手自身に対してどれだけ興味を持てるかというもの。

これも苦手な学生さんが多い印象です。

以前学生さんの悩み相談に乗っていたら、「志望度合いが高くないから興味が持てない」といわれ、「ん?」と思ったことがありました。

「興味を持つ」ことは相手由来のことじゃ無くて自分のスキルの問題だよ、と。

「好きだから興味を持つ」は協調会話力の世界では必要なスキルの一つですが、戦闘会話力の世界では「興味を持つ」は自分で意識的に使いこなすことが必要なスキルです。

極端な話、居酒屋で飲んだくれてマウントを取ってくるオッサンに対しても自分で興味を持とうと決めたらどんどん観察・質問・掘り下げができるのがこのスキルです。

 

戦闘会話力を磨きつつ面接準備を進めよう

以上が僕が考える戦闘会話力です。

いわゆる大学でコミュニケーション能力をウリにしている学生さんがいう「コミュニケーション能力」とは少し違いませんでしたか?

もちろん仲間同士で盛り上がるスキルは必要です。(特にこれがないが故に会社に入ったあと、能力はあってもうまくいかないと悩む人も...)

しかし、殊就活においてはそれだけでは突破できません。

戦闘会話力は就活以外にもあらゆる場面で役に立つコミュニケーション手法です。

今、何かしら就活で苦戦をしていると思う方がいたら、日頃のコミュニケーションから、「戦闘会話力」というものを意識してみてください。

 

アイキャッチは「人は聞き方が9割」

 

 

9月から逆転内定の就活術②〜面接が盛り上がらない理由と解決策〜

面接は楽しい?面接はつまらない?


突然ですが、みなさんは面接を受けて楽しいと思いますか?それともつまらないと思いますか?
「面接なんて楽しいわけあるかい」と思うかもしれませんが、面接をスイスイと通過できる人にとっては、面接は楽しいものに感じていたりします。
ちなみに誤解がないように断っておくと、これは決して「面接がうまくいくから楽しい」ではありません。
あくまでも「面接が楽しいからうまくいく」のです。
そんなバカなと思う人は、もしかしたら「面接」というものを誤解しているかもしれません。
自分が挑戦しているゲームのルールを誤解したままプレーしていれば、攻略するのが難しいのは当たり前ですよね。
今回は面接とは何か?というゲームのルールから考え、うまくいかない人に多いパターンと、その解決策を具体例を見ながら説明していきたいと思います。


面接というゲームのルールを理解しよう


おそらく今時点(9月時点)で思うように内定が取れていない方の多くが、ここまでにたくさん面接を受けてきていると思います。
それらの面接を受ける際、みなさんは面接のゴールは何で、何をすることでそのゴールに近づけると考えて取り組んでいたでしょうか?
おそらくこの質問に対して、はっきりと答えられる人はそれほど多くないように思います。
面接のゴールを端的にまとめれば「この人なら仲間にしたいと思ってもらえること」、そしてその手段が「面接官との信頼関係を積み上げる」です。
つまり面接における基本的な行動法則は「限られた時間の中で信頼関係を構築しつつ、仲間にしたいと思ってもらう」ことなわけです。
凄いと認めさせることでも、自分を押し通す事でもありません。
まして「論破」なんかじゃない(笑)
いかにいい雰囲気で信頼関係を構築するかが大事なわけです。
というわけで、次節では、面接で信頼関係を築くマインドセットの作り方を説明していきたいと思います。


「信頼関係の構築」の意識の有無とそれによる面接の空気感の違い


皆さんは「令和の虎」というYouTubeの番組をご存知ですか。
毎回「虎」と呼ばれる投資家の社長さんたちの前に出資を求める志願者が現れ、プレゼンを行うことで支援に漕ぎ着けるという番組です。
もちろん毎回お金が出るわけではなく、お金が出るか出ないかは志願者のその場での力量で決まってきます。
まさに「面接」一本勝負の場と言えるでしょう。
この番組には、面接での基本姿勢を考える上でのヒントで溢れているので、少し次の2本の動画をご覧下さい。


https://youtu.be/ZXgReJw3664
【大堀 蒼汰 3/3】反論が止まらない志願者に困惑する虎達。果たして金を出す虎は現れるのか…[61人目]


https://youtu.be/eBTWk4LfUM8
【令和の虎 神回】異次元!歴代最強の志願者!事業プラン・説明・受け答え・人柄 すべてが完璧【切り抜き 石川加奈子


対照的だと思ったのでこの2者を引用したのですが、みなさんは2つを見比べて何を感じたでしょうか。
僕がこの2者を比較して最も感じたのは、時間が経つにつれてのその場の空気の変化でした。
1本目の志願者の場合は、最後までどこかピリピリしていた空気感であるのに対し、2本目の志願者の場合は収録が進むほど空気が緩やかになってきます。
そして、前者はやや攻撃的なやり取りであるのに、後者は徐々に砕けたやり取りになってくる。
そして何より、後者では出資者のみなさんが「出したい」という気分になっています。
これはまさに僕が前の節で言った、「信頼を積み上げ仕事をしたいと思わせるゲーム」を制した証と言えるでしょう。


2本目に出てきた志願者の方は、自分の経歴や商品を過大に見せることをせず正直に語り、出資者の方の質問に正確に返し、何よりその場でのコミュニケーションに重きを置いている。
それにより時間と共に信頼が積み上がり、結果として希望金額を受け取ったわけです。


もちろん提案したサービスの質もあるでしょう。
でもあの画面を見ていると、それ以上に「この人にならお金を出せる」という出資者の空気感が漂っています。
これは就活の面接にもそのまま当てはまります。
たしかにスペックの良し悪しは少なからずあるかもしれませんが、それ以上に「この人と働きたい」と思われることが大事なわけです。
そしてそのために面接の時間内にしなければいけないのは、その時間内に面接官に「この人となら働きたい」と感じさせるだけの信頼の積み上げです。
それができるようになったとき、おそらくみなさんは面接が「怖い」から「楽しい」と感じられるようになることと思います。


それでは、次回のエントリでその具体的なやり方をまとめたいと思います。

 

アイキャッチは令和の虎主宰の岩井さんの本。

 



 

9月から逆転内定の就活術①〜志望理由の具体例〜

僕は仕事柄かつての教え子だったり、知り合いの会社のインターン生やボランティアさんだったりと、学生さんから就活の相談を受けることがあります。

そんなわけで少なからず就活生を見ているため、「ああこの子は苦戦するやろな」というのが話し方や考え方をきくと思うことも少なくありません。

みんな大体同じようなところでつまずき、同じような悩みを抱いているように感じます。

ということは、他にも同じように悩む人がいるのではないかと思ったため、今回から数回に分けて、僕が感じる夏以降の就活で悩む人が抱える原因と、その理由についてまとめたいと思います。

 

と、そのまえに

 

就活で悩む人の原因と解決策を書いてみますと言ってはみましたが、読者にとっては「お前が言うのは本当なんか?」と思うのが普通だと思います(笑)

したがって今回は、まず僕が志望動機の書き方の具体例みたいな物を作って見ることにしました。

それを見て、「確かに一理あるかも」と思っていただけたのなら、次回以降のエントリも読んでいただけたら幸いです。

 

志望理由書を実際に作ってみる

 

実際に僕が学生だった頃を踏まえて、志望理由書の方針を作っていきたいと思います。

僕がまず考えるのは①自分の志望職種、②自分の得意な戦い方、③企業分析の3点です。

僕の場合、①は塾業界。ここは確定させてしまいます。

次に②について。

当時塾でバイトをしていたので、②の自分の得意な戦い方というのは今回は塾のバイト経験から構築していきます。

色々な経験がありますが、僕が最も結果を出せたのは中学生の集団指導でした。

最も結果が伴い、かつ自分がやっていて楽しかったのは最難関というよりは成績下位層を中位層に上げる集団指導。

やり方は前のテストのだいぶ早い段階からスケジュールを立てることと徹底的に並走すること。

バイトでは時間を多く割けないので、スケジュールシートを作り、自分の別の出勤日に短時間でチェックができる、或いは他科目の担当の先生にチェックをお願いしていました。

この辺を僕の強みとした時、自分が得意とするのは、a下位〜中位をターゲットにすること、b沢山の時間をかける(少人数)、c集団指導あたりになります。

この辺をおさえた上で、今度は業界の分析を。

 

企業分析って何をしたらいいの?

 

最後に③の企業分析をしようと思うのですが、ここでいう企業分析は、皆さんが思うそれとは少し違うかもしれません。

僕の企業分析とは、市場規模だとか企業ランキング、上場、平均収入、労働形態といったものではありません。

そんなもの②の僕の強みとはまるで関係がないからです。

僕が強みを踏まえて自分の志望に合った企業を見つけるのに必要な情報は、ⅰその塾の指導形態とⅱメインターゲット層の2点です。

これの2点の情報をリスト化していきます。

 

まずⅰに関してはリクナビなどのサイトを使えばいいでしょう。

リクナビなどの企業検索で塾を検索し、その中から個別指導専門塾、指導者採用でない塾を除外します。

また、強みを生かせるのは中学生の少人数集団指導なので、それも条件に加える。

その際、自分が住みたい地域での絞り込みもしておきます(今回は仮に東京に住みたいということで勤務地を東京、埼玉、神奈川に絞ります)

条件に合致した塾は全てリストにして、次はⅱの絞り込みに。

ここに関しては直接的に明言されていることは少ないので、自分なりの基準で調査しなければなりません。

僕ならバイト先の社員さんの何人かにそれぞれの塾の形態やターゲットを聞きますが、必ずしもインタビューという形式がとれる人ばかりではないと思うので、今回はあえて誰でもアクセスできる情報から考えます。

誰でも手に入れられる情報で、ターゲットが分かりやすいのは塾の広告と合格実績でしょう。

おそらくⅰの時点である程度数は絞られていると思うので、僕ならそこから各塾の本部サイト、画像検索で出てくる広告、各教室のサイトに掲載される合格実績をみます。

それらを見た時、最難関校の対策講座や合格実績を全面に押し出している塾は、おそらく上位層向けであると想定できるので除外。

逆に無名でも全ての合格実績を掲載していたり、定期テスト対策を謳っていたりする塾は下位〜中位を想定している可能性が高い。

こういった情報から絞れば10社くらいにはなるでしょう。

(ちなみに僕ならこの絞った10社の話を「最後に質問はありませんか?」と面接で聞かれた時に、「僕はこの10社を先の根拠で候補に挙げたが、業界の人間から見てこの見立ては正しいか?」という質問に使います。)

 

志望理由書のプロットを実際に書いてみる

 

以上で情報が揃いました。

僕ならこれらを踏まえて志望理由書を作るでしょう。

仮に上の条件に該当する塾の一つがA塾だったとしたら、僕は次のようなプロットで志望理由書とします。

 

大学時代は4年間塾講師をしていた。

きっかけは高3の時の予備校の先生。

塾バイトで手応えがあったので将来は塾業界に入りたいと思うようになった。

自分が一番結果を出せたのは下位の子を平均に引き上げるクラス。

やり方は計画作成と小まめな管理。

このやり方で実績が伴い、クラスを満席にしたこともある。

就職先を探すにあたり、自分の強みが生きる塾を考え、大人数の塾と最上位層がターゲットの塾は除外した。(個別は講師の管理が中心なので除外)

その中で見つけたのがA塾。

A塾の理念からも自分がやりたい指導に近いと感じたので志望する。

 

いかがでしょうか?

ちょっとだけ説得力があるように見えませんか?

次の記事ではこの文章の構成の理由や、ざっくりとした意図を書き、そこから具体的に今から内定を得るまでに必要なことを一つずつまとめていきたいと思います。

もし、少しでも参考になれば幸いです。

 

アイキャッチは大学入試の参考書

就活の入口としても使えると思います。

 

 

指定校推薦の校内選抜を攻略するための1つの視点と3つの武器

毎年、夏〜この時期にかけて、指定校推薦やAO入試の相談が増えてきます。

また、お盆休みにはかつての教え子の子たちから、就職活動の相談をチラホラ受けました。

彼ら彼女らの話を聞いていると、共通して悩んでいる箇所があるように感じたので、今日はその辺についてまとめたいと思います。

 

君の熱意は買うけれど...

 

ここ数日、立て続けにきたのが面接についてどういう準備をすればいいか?というもの。

中には先輩や先生にリサーチをかけて、過去の質問内容を集めている生徒さんもいました。

具体的に「この質問に対してこんな返しを考えたのだけどどう?」みたいな質問もチラホラ。

もちろんこうした事前準備は非常に大切です。

一方でそうした質問に対する準備をする前に、そもそも「面接」というゲームのルールを理解することから始めてもいいんじゃないの?と思うことも...

過去に出題された問題に関してリサーチをして、「あなたが自分を褒めるとしたら?」という質問の答えをいくら綺麗に準備した所でその質問が今年も来るとは限りません。

それよりもまずはもっと上流のところで、「面接」という試験のルールを知る事が大事だと思うのです。

 

面接を受ける際に重要な1つの視点と3つの武器

 

僕は面接関連の質問に対して、「1つの視点と3つの武器を持とう」という話をします。

過去問や参考書に載っているひとつひとつの質問に対して個別に準備をするのではなく、面接のルールを理解して、その場で対応できるように準備をしておこうというのが僕のスタンス。そのために有効なのがこれから書く「1つの視点と3つの武器」なのです。

 

結論から言えば、1つの視点とは「『面接』という試験の設定意図を考えよう」というもの、3つの武器とは「面接の質問は熱意型、キャラ型、興味型に分けられる」というものです。

まずは「1つの視点」から。

 

学内選考でも大学の試験でも、もっと言えば就職試験でもそうですが、そもそも何の為に面接時間を課すのでしょうか?

志望理由を確かめたいのなら志望理由書を読めばいいはずです。

事前準備の厚さを見たいのならそれこそペーパーテストで十分です。

あるいはその面接は何分なのか?何人で行うのか?質問は何問なのか?という内容のうちいくつか分かるものがあったとして、その時間や人数設定にはどういった意図があるのでしょう?

昨日質問してくれた生徒さんの学校では、1グループ15〜20分、5人で入室、質問は3〜4問課せられるということでした。

こういった情報があれば、大体1人あたりに割ける時間は3〜4分、各質問にかけられる時間は1分が目安という事が分かります。

さらに、詳しくは後で書きますが、仮に質問できるのが3問だとしたら、その質問内容で評価したいことは当然それぞれ違うはず。

こういった「試験官はなぜその質問をしたのか?」という視点から面接を調べてみるというのが、1つの視点です。

 

次に3つの武器について

 

以下の面接の質問例を見てください。

「志望理由」「高校時代頑張ったこと」「座右の銘」「大学でやりたい事」「将来の夢」「尊敬する人」「最近のニュースで興味があるものは?」「高校で学んだ事」「あなたの長所」「今後の社会情勢に関するあなたの考え」「あなたの短所」「○○学部を目指す理由」「最近読んだ本」

どれも典型的な質問ですが、これらの全てに対して準備することはちょっと大変です。

しかも、これらにさえ準備しておけば大丈夫かと言えば、決してそんな事はないですよね。

こうした質問の設定意図を考えると大きく次の3つに分類できます。

①熱量把握型

②キャラ把握型

③興味関心型

 

①の武器『具体性』

 

①の熱量把握型というのは、面接を受けにきた生徒が、どれくらい真剣にその学校を志望しているのかを知りたくてする質問、②のキャラ把握型とは目の前の生徒さんはどんな性格で、どういった時にやる気になるのかという人となりを知るための質問、そして③の興味関心型は日頃から知的好奇心をどれくらい持って生活をしているのか、学ぶことに対するアンテナの感度はどんなものかを測る質問です。

先に挙げた典型質問群を①〜③に分類すると次のようになります。

①「志望理由」「大学でやりたい事」「将来の夢」「高校で学んだ事」「○○学部を目指す理由」

②「座右の銘」「高校時代頑張ったこと」「尊敬する人」「あなたの長所」「あなたの短所」

③「最近のニュースで興味があるものは?」「今後の社会情勢に関するあなたの考え」「最近読んだ本」

 

①〜③には、①熱量把握型ならいかに具体的に書かれているか、②キャラ把握型ならその人のコンセプト(やる気のスイッチが入るタイミング)が何なのか?、③興味関心型ならいかに早く簡潔に質問に反応できるかと、それぞれ伝わりやすいポイントがあります。

熱量があるなら、当然具体的なエピソードが多くなるはずです。

だから①の系統の質問で「コミュニケーション能力」やら「文武両道」やら「リーダーシップ」やら「多様性」やら言われても伝わらない。

対して、こんな文言が入っていたらどうでしょう?

「私は英語に興味があった。今の高校を選んだのは留学制度があったからだが、コロナでそれができなかった。だから私にとって大学選びでは充実した留学制度が何より大切だ」

先に挙げたふんわりした言葉がたくさん並んだ答えより、熱意が伝わりませんか?

こんな風に①タイプの質問には、いかに掘り下げ、自分の言葉で志望する理由を用意しておく事が大切です。

 

②の武器『コンセプト』

 

②の質問に関しては、あなたのモチベーションの所在を聞きたいという意図が根底にあると考えられます。

こうした質問に対応する為に必要なのは、自分のコンセプトを明確にしておく事。

コンセプトとは、自分がどんな時にスイッチが入るのかということです。

みんなで協力する時、人と競争する時、仕組みや理屈を掘り下げる時、誰かに期待される時、理想の人に近づきたいと思った時etc...

こういった、自分のスイッチが入る瞬間を明確に把握しておくと、不意に飛んできた②の質問に対しても、即座に対応する事が可能です。

例えば、自分のコンセプトが「ライバルに負けたくない」なら、長所は「強いライバルがいるほど立ち向かう」ですし、座右の銘は「切磋琢磨」、尊敬する人は「本田圭佑」とかになるでしょう。

コンセプトが明確ならば、仮に「あなたを動物に例えると?」みたいなトリッキーな質問が来ても、「ライバルと競うイメージの動物ってなんだろう?」と考えて、チーターなり、競走馬なり答えが出やすくなるわけです。

 

③の武器『瞬発力』

 

最後の③興味関心型に関しては、詳しい内容や切れ味のいい意見というよりは、小さくてありきたりでも、テンポよく質問に答えられる瞬発力が大事になってきます。

うんうん唸った末に、「ウクライナとロシアの戦争が気になる」(2022,8月時点)なんて言っても本当に興味あるの?と感じてしまう。

あるいは最近読んだ本と言って『舞姫』が出てくるっていうのも、「日常生活の中での興味関心」という観点からはイマイチですよね。(もちろん本当に熱い感想があるならば別ですが)

③に該当する質問には、出来るだけスッと答えたいところ。

この系統の質問に答えるためには事前準備が大事になってきます。

少なくともひと月前くらいから(時間がない人は今すぐに!)ノートを用意して、気になる事があれば「全て」そこにメモをする。

しかもできればそこにひと言感想を付け加える。

最低でも1日1ページ、これを続ければ③の質問に素早く反応ができるようになります。

 

以上が僕が面接の質問を受けた時に答える「1つの視点と3つの武器」です。

この辺を意識するだけでも、短期間でだいぶ変わるんじゃないかなと思います。

もし面接が近く、不安に思う人がいたら、実践してみて下さい。

 

アイキャッチは僕の面接対策の元になっている就活の本『内定力』。下手な入試用の参考書よりも実践的なので高校生のみなさんもぜひ!

 

 

back number『ベルベットの詩』考察〜機織りをモチーフにした作者の意図と、主人公の変化を追う〜

先日、8月26日に発売されたbuck numberの『ベルベットの詩』。
あまり新曲の貸し考察はしないのですが、ちょうど知り合いから詞についてたずねられたので、今回は新曲の考察をしてみたいと思います。

 

タイトルの分類とこの曲のタイトルの難解さ

 

曲のタイトルにはaikoさんの『カブトムシ』やYOASOBIさんの『夜に駆ける』のように①歌詞の中のキーワードをタイトルにしたもの、King Gnuさんの『白日』やポルノグラフィティさんの『黄昏ロマンス』のように直接その言葉は歌に登場しなくても②歌詞を要約した内容になっているもの、③BUMP OF CHICKENさんの『K』やヨルシカさんの『ヒッチコック』(この言葉は歌詞にも出てきますが、ヒッチコックのサスペンスの手法を知らなければこの曲の真意にはたどり着けないという意味でここに該当すると判断しました)のような③タイトルが曲の伏線になっているなど、いろいろなパターンがあるのですが、『ベルベットの詩』はいずれにも属さないタイプ。
あえているのなら、タイトルが曲全体のコンセプトを婉曲的に示しているといった感じです。
最近だと、嗅覚を中心に歌詞を構成した上で「隠していても香りでわかるでしょ?」ということを歌った椎名林檎さんの『公然の秘密』がここに該当します。
コンセプト型の曲は、歌詞そのものの前に、その正体を突き止める必要があります。
したがって今回は変則的に、タイトルから考察を始めたいと思います。

 

「ベルベットの詩」とはどういう意味か?

 

というわけでまずはこの曲のタイトルの意味を考えます。
「ベルベット」とは繊細に織り込まれた柔らかな織物のこと。
日本では「ビロード」と言う方がなじみが深いかもしれません。
この曲は、繊細で柔らかな織物がコンセプトに作られています。
buck numberさんはこの曲の配信に寄せるインタビューで、強い曲はできたけれどそれに負けないだけの歌詞を作るのに苦戦したというようなことを述べています。
そして、そんな悩む過程をそのまま歌にしたらいいのではないかと思い出来上がったのがこの「ベルベットの詩」なのだそう。
https://rockinon.com/news/detail/202996

〈耳を澄ますと微かに聞こえる雨の音 思いを綴ろうと ここに座って言葉探してる 考えて書いてつまずいて 消したら元通り 12時間経って並べたもんは 紙クズだった〉
僕がこのインタビュー記事を読んだ時にはじめに浮かんだのは、スキマスイッチさんの『ボクノート』の冒頭に出てくる上のセリフでした。
この曲も当時のインタビューによると、あまりに歌詞が浮かばず悩んでいたときに、相方の時田さんが「悩んでいる気持ちをそのまま歌詞にしてみたら?」と言ったことから生まれたのがこの歌詞なのだとか。
作詞者である清水依与吏さんのこのインタビューを読んだとき、このスキマスイッチのエピソードを思い出し、だったらこの『ベルベットの詩』というタイトルそのものが、苦悩して曲を生み出した様そのものに重なるのかなと思ったのです。
スキマスイッチの大橋さんは〈生み出せない気持ち〉を〈12時間経って並べたもんは紙クズだった〉と、ストレートに表現しましたが、清水さんはそれを「織物」に例えています。
『ベルベットの詩』というタイトルを見た時、僕ははじめ、この歌に出てくる繊細で多彩な感情の揺れ動きを、織物の繊細な模様や質感に例えたんだなと思ったのですが、Googleで織物の画像を検索したとき、ふと織物の縦糸と五線譜が似ているなということに気が付きました。

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清水依与吏さんは、感情の機微をその繊細な質感に例えたのはもちろんですが、その作曲過程そのものを織物に例えたのではないかと思ったのです。
ちょうど横糸をひとつひとつ丁寧に織り込む事で一枚の織物に仕上げていくように、五線譜に一音一音、音を、そして言葉を並べて一つの歌にする。
そう解釈した時に初めて、この『ベルベットの詩』というタイトルの意味が分かるような気がするのです。

 

『ベルベットの詩』歌詞考察

 

歌詞自体はベルベット、つまりビロードとは直接的に関係しません。
大きな方針としては一歩一歩泥臭く、着実に進む事で素晴らしい人生という「織物」になるという、抽象化したところで題名と繋がっているというもの。
したがって今回は要所要所をつまみながら考察をしていきます。

〈心が擦り切れて ギシギシと軋む音が 聞こえないように 大きな声で歌おう〉
こう始まる1番のAメロでは、周囲の理不尽に心をすり減らしても、負けないように頑張る主人公が描かれます。
主人公は理不尽な環境に置かれ続ける中で、気づくとそれが当たり前になってしまっていた。
それが心が擦り切れそうになった原因でしょう。
そんな中、主人公はそもそも自分は自由であるということを思い出してサビに入ります。

〈自分のままで生きさせて 決して楽ではないが きっと人生は素晴らしい 青くさい なんて青くさい 綺麗事だって言われても いいんだ夢見る空は いつだって青一色でいい〉
サビはこれでもかというくらいの「きれいごと」で構成されています。
Aメロ、Bメロで描かれた主人公が心を痛ませた周囲の理不尽というのが現実(=今)だとしたら、サビで描かれる「綺麗事」は主人公が思い描く理想、もっと言えば主人公が見据える未来でしょう。
今目の前にある理不尽やうまくいかない現実に負けそうになるし、夢を折られそうになるけれど、それでも自分だけは理想の未来を思い描いて前へ進みたい。
そんな思いが感じられます。
と、同時にこの「つらい今」と「綺麗な未来」というのは、織物の工程にも当てはまります。
一本の横糸だけでは、どんな模様が生み出されるのか見当もつきません。
そしてその横糸をひとつひとつ通していく作業はまるで理不尽なつまらない作業。
ちょうどこれが先の見えない、理不尽な今に重なります。
しかし織物の完成形には素晴らしい模様や質感がある。
この出来上がりをしっかりとイメージしていなければ織物は完成しないでしょう。
これがこの主人公が言う「青一色でいい」未来の姿に重なります。
こんな風に、今を生きる主人公が未来を見据える様が、ベルベットを作る過程そのものなのだというのが僕の解釈です。


以後2番以降もずっと「つらい現実に歩けなくなりそうな心」と、「綺麗な未来を諦めず一歩ずつ進もうとする姿」が対比て描かれます。
〈恐れない人はいない 追いかけて来る震えを 振り解くように 誰もが走っている〉
Aメロでは人々の弱い部分が描かれます。
自分だけじゃなく誰もが不安な今をもがきながら生きている。
〈人がさ繊細で でもとても残酷だって事 僕もそうだと 実はもう知っている〉
これは1番の「周囲の理不尽に負けそうになる」と訴えた主人公の言葉に対応したものでしょう。
実はそういう理不尽は自分だって周囲にしていまっている。
人はそうやってもがいているのだと言う言葉です。
清水さんの歌詞にはこういう自分にどこか自信のない人が多く(『春を歌にして』『高嶺の花子さん』『ハッピーエンド』など)、それは清水さん自身の価値観なのかなと思わされます。
そしてそんな人間の性質が〈ああ嫌だ悲しいね〉と叫んで2番のサビへ。

 


〈あるがままの姿で 自分のままで生きさせて 正直者は馬鹿をみるが きっと人生は素晴らしい〉
ここで「未来を信じて進もう」というメッセージが再び出てきます。
ただしここでは「自分のままで生きさせて」という言い方になり、自分に自信がない事が描かれます。
1番とは違い強がったって主人公も不安はあるという様が描かれることで、グッと感情移入がしやすくなっています。
そして、「正直者は馬鹿をみるが人生は素晴らしい」と未来を思い描く描写が描かれる。
そして〈下らない なんて下らない 無駄な事だって言われても いいんだ下を見ないで ひたすら登って行けたらいい〉というのは、笑われても前を向いて進もうという1番と同じメッセージでしょう。


そして1番のAメロを繰り返し、最後のサビに入ります。
ラストサビは2番目のサビと入り方が同じです「あるがままの〜」と入りますが後半が〈努力は実りづらいが きっと人生は素晴らしい〉と変わります。
同様にサビの繰り返しも「泥くさい〜」の入りは同じですが後半が〈だからこそ綺麗な綺麗な虹を 見つける権利がある〉と変わっています。
2番のサビよりも、より未来には綺麗な姿が待っているというメッセージが強くなっています。
そして、とにかく前を見て歩こうと、聞いた人の背中を押す力も強くなります。
ここでこの曲が強い応援ソングである事がわかります。


サビ終わりのAメロに見る主人公の変化


さて、本来ならこの大サビで終わってもいいようなメッセージ性の強さのこの曲ですが、『ベルベットの詩』には最後にもう一度Aメロが登場します。
〈音がさ 外れても たとえ口塞がれても 僕は僕だと 自分の声で歌おう 代わりはいないと 自分の声で歌おう〉
あえてAメロを重ねたのは、主人公の変化を明確にする為でしょう。
冒頭のAメロでは、「自分の心の悲鳴が聞こえないように歌おう」という、どこか消極的なものでした。
それが最後のAメロでは、「どんな事があっても自分を示すために歌おう」という確固たる決意のようなものになっている。
「自分を守るために歌う」から「自分らしく生きるために歌う」に主人公の気持ちは大きくシフトしています。
そしてそれが「未来を思い描く」ことだし、それはベルベットのような美しいものなのでしょう。
『ベルベットの詩』にはそんな作詞者の気持ちが描かれているように思いました。

 

アイキャッチはback numberの『ハッピーエンド』