僕が就職活動をしていたとき、とある企業の集団面接で「君が今持っているものを何でもいいから僕に買いたいと思わせてくれ」という課題が出されました。
その時は5人で面接だったのですが、合格者はゼロ。
その場で面接官は、「今のプレゼンで買いたいと思ったものは無かった」と言ったのち、それぞれが面接官にプレゼンをした「商品」に関して、「僕ならこうする」という、面接官の型が「模範解答」を見せてくれたのを今でも覚えています。
その面接官の方はあえて口にしないようにしていたのでしょうが、僕たち受験者のプレゼンに対するフィードバックで、僕たちに顧客視点を伝えてくれました。
「その人が今どんなものを欲しているかを考える」
就職活動をしていると、いろいろな課題が出されることがありますが、そのほとんどがこの一点で乗り切れるように思います。
先の面接の例で言えば、僕たちが一番先にしなければならないのは、自分がどんなものを持っているかを確認することではなくて、面接官を徹底的に観察することでした。
もし肩にちょっとしたホコリがついていることに気づけば、それを取るためにガムテープやセロテープを面接官に売り込むことができました。
或いは一本だけ髪の毛が跳ねているのに気がつけば、それを切るためにといってハサミを売り込むことができますし、もっと極端にいえば髪の毛が跳ねていると確認する術が面接会場には無かったので、手鏡だって売り込むことはできたかもしれません。
「何でもいいから僕に商品を買いたい気持ちにさせてくれ」というこの面接での解法の第一歩は、自分が持っているものを確認する前にまず相手のことを観察することだったのです。
社会に出ればこうした視点は当たり前のように身につくものですが、学生生活の中ではなかなか気づくことができません。
実際にその面接(3次面接でした)では、参加者の全員がわれさきにと自分のカバンの中を払拭し始めました(笑)
相手にとって何が価値であるのかを考える力は、マーケティングとか顧客視点とかいろいろな言葉で表現されています。
プレゼン能力やフェルミ推定のようなロジカルシンキングの重要性を説く就活本をよく見かけますが、僕は就活において一番役に立つのは「相手にとって何が価値であるのか」を見抜く力であると思っています。
相手にとって何が価値かを考えるクセがついていると、特殊な面接とのきばかりでなく、エントリーシートを書く場合にも非常に役に立つでしょう。
また、相手の聞きたい内容がしっかりと汲み取る習慣がついていれば、1次面接や2次面接も簡単に通過できるようになるはずです。
初めの方の面接の場合、たいていの落ちる人の原因は劣っているからではなく、何が言いたいのかがそもそも伝わらないことにあるからです。
「あなたの強みはなんですか?」という質問には「私たちの企業で働く上で役に立つ」という言葉が言外に含まれていることに気づけない。
介護をしている会社の面接に行って「日本語以外に三ヶ国語話せます!」なんて言っても刺さらないわけです。
それよりも意外と体力が必要な介護業界であるならば3年間ずっと引越しのバイトをしていて、体力には自信がありますとかの方がよっぽど刺さる。
「相手にとっての価値」という視点を持てば、自分がアピールしたいポイントと相手の企業にとって魅力的に感じるポイントの差異をしっかり認識することができるようになります。
それだけ面接官には既に周りの学生よりも頭一つ飛びぬけて見えています。
面接のときでもエントリーシートを書くときでもそうですが、常に相手の視点を意識してみてください。
ただのグラス一杯の水道水だって、熱中症で死にかけの人には、お金を出して買うだけの価値はあるのです。
当初のお品書きとは若干ずれてしまいますが、ここに含めておきたい内容でしたので。。。
この手の話のときのアイキャッチはもちろん安定のちきりんさん!
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